アナリスト・トレーニング

お気軽にお問い合わせください!

TEL 03-3518-9611

受付:土日祝祭日以外の9:00~18:00まで

会員ニックネーム:ゲスト  状態:ログアウト
会員種別:不明  ログインする
会員ID:ゲスト  状態:ログアウト 
会員種別:不明  ログインする 

メルマガ

HOME >メルマガ

メルマガ

2019年7月31日
米FOMCは「今後も利下げは続く」と金融市場に信じ込ませることができるか(7月31日配信)

メルマガ 2019年7月31日(水)

 

おはようございます。

 

米FOMCは「今後も利下げは続く」と金融市場に信じ込ませることができるか

 

 

  • 日銀は30日の会合で金融緩和策の現状維持を賛成多数で決めました。現在の超低金利政策を「少なくとも20年春ごろまで」続けるとしている政策金利の先行き指針(フォワードガイダンス)を継続しました。
  • ただし、会合後の声明文で「先行き、物価安定の目標に向けたモメンタム(勢い)が損なわれるおそれが高まる場合には、ちゅうちょなく、追加的な金融緩和措置を講じる」と明記しました。黒田総裁は「リスクを未然に防ぐ方針をさらに明確にする必要があると判断した」と説明し、「金融緩和に前向きになったと言っていい」と追加緩和余地に言及しました。FRBが利下げに踏み切った場合、「緩和に乗り遅れる日銀」→「円高」という市場の見方を牽制する狙いがあるものと見られます。
  • 31日の米FOMCでは金融先物市場が織り込んでいる0.25%の利下げが行われ、政策金利は2.50%から2.25%へと引き下げられる見通しです。米国の利下げは2008年12月以来、10年7ヵ月ぶりです。大きな政策の転換点に来たといえます。
  • ポイントは今回の利下げがいよいよ米国が「景気減速」から「景気後退」に向けての連続的な利下げの始まりなのか、それとも景気減速に先手を打つ「予防的」な(数回の)利下げかという点です。今回は景気減速に先手を打って利下げをすることで、景気が悪化する前に市場心理を改善させ、金融システムに低金利で大量の資金を供給して安定性を高めることが狙いと考えられます。
  • 前回の「予防的」利下げの代表例として94年と98年のケースがあります。米国は引き締め局面にあった94年(メキシコ危機)と98年(ロシア危機)に、利上げを一時休止し、それぞれ3回の利下げを実施しました。ISM製造業景況指数は一時的に境目の50を割り込みましたが、FRBの柔軟な対応で米経済は景気後退に陥ることなく、結局91年から2001年にかけて120ヵ月もの戦後最長の景気拡大を続けた実績があります。FOMCの一部のメンバーは最近、この98年のケースを引き合いに出し、あくまでも「予防的」な利下げで米景気の持続的な成長をサポートすると発言しています。
  • 今回のFOMCは声明文で「データ次第ながら追加の金融緩和措置は依然として必要である」と金融緩和の維持を強調することと、パウエル議長の記者会見でこの姿勢を補強する発言を行う可能性が高いと思われます。為替や株式市場参加者に対して「今後も利下げは続く」と信じ込ませることができるかが焦点です。

 

 

【30日の海外市場】 

 

FOMC開催で様子見ムードが強まり、主要株価指数はそろって下落

 

  • 30日の米金融市場は、米FOMCが始まり市場の様子見姿勢が一段と強まりました。NY株式市場の主要3指数はそろって小幅に下落しました。欧州市場は、ドイツDAXは前日比2.18%安、フランスCAC40は同約1.6%安、イタリアFTSE・MIBは約2%安、スペインIBEX35は同2.5%と軒並み下落しました。
  • NYダウ平均は小幅に3営業日ぶりに反落し、前日比23ドル安の27,198ドルで引けました。市場予想を上回る好決算を発表した日用品大手のプロクター・アンド・ギャンブル、ボーイング、ゴールドマン・サックスの上昇がダウ平均を下支えました。インテルやアップル、マイクロソフトなどIT関連やマクドナルド、キャタピラーが下落しました。
  • 30日、中国・上海で閣僚級の米中協議が再開しました。トランプ米大統領は中国批判を相次いでツイッターに投稿したことでダウ平均は151ドル安まで下げ幅を広げる場面がありましたが、その後は徐々に下げ幅を縮小しました。

 

米国金融市場の主な指標

 

金利・為替

  1. 米10年国債利回り:2.06%(前日2.06%)
  2. ドル円相場:1ドル=108.55-108.65円(前日108.75-108.85円)

 

株式相場

  1. ニューヨークダウ30種平均:27,198.02ドル(前日比-23.33ドル)
  2. ダウの主な上昇寄与:ボーイング、P&G、ゴールドマン・サックスなど
  3. ダウの主な下落寄与:マクドナルド、ファイザー、ビザなど
  4. S&P500種株価指数:3,013.18ポイント(前日比-7.79ポイント)
  5. S&P業種別上昇セクター:エネルギー、不動産、素材、資本財・サービスなど
  6. S&P業種別下落セクター:公益事業、情報技術、一般消費財など
  7. ナスダック総合株価指数:8,273.61ポイント(前日比-19.71ポイント)
  8. フィラデルフィア半導体指数(SOX指数):1,593.82ポイント(前日1,598.02ポイント)
  9. 米VIX指数(恐怖指数):13.94(前日12.83)

 

商品

  1. ニューヨークWTI原油先物1バレル=58.05ドル(前日比+1.18ドル)
  2. ニューヨーク金先物1トロイオンス=1,441.8ドル(前日比+8.5ドル)

 

 

マーケットが注目したと思われる主な材料

 

  • 6月の個人消費支出は前月比0.3%増と、緩やかな伸びとなった。個人消費支出(PCE)価格指数は前月比0.1%上昇と、小幅な伸びだった。6月の前年同月比は1.4%上昇した。変動の大きい食品とエネルギーを除いたPCEコア指数は前月比0.2%上昇。前年同月比は1.6%上昇と、前月の1.5%上昇から加速した。PCEコア指数の前年同月比はFRBが物価の目安として注目しているが、FRBの物価目標である2%を下回り続けている。FRBの利下げを後押しする材料となる。
  • 米民間調査機関コンファレンスボードが30日発表した7月の米消費者信頼感指数は、135.7と8カ月ぶりの高水準に持ち直した。市場予想の125も大きく上回った。前月は124.3(速報値121.5)に上方修正された。現況指数は170.9に上昇(前月164.3)、期待指数は112.2に上昇(前月97.6)と昨年11月以来の高水準となった。
  • 6月の米中古住宅販売成約指数は前月比2.8%上昇と市場予想の同0.3%上昇を上回り3カ月ぶりの大きさで上昇した。住宅ローン金利低下と雇用の堅調な伸びに支えられ、需要が持ち直している可能性が示唆された。
  • 中国国営の新華社通信によると中国共産党中央政治局は30日、需要喚起など景気刺激策を強化すると表明した。不動産市場を活用した刺激策は行わず、消費拡大や製造業分野の投資安定化を推進する考えを示した。「中国経済の発展は新たなリスクや課題に直面しており、経済への下押し圧力が強まっている」と指摘。財政政策を強化するとともに、潤沢な流動性を確保するため穏健な金融政策を維持すると表明した。

 

 

東京株式市場

  • 日経平均株価:21,709.31円(前日比+92.51円)
  • TOPIX:1,575.58ポイント(前日比+7.01ポイント)
  • 日経平均は3日ぶりに反発。日経平均上昇寄与はファナック、東京エレク、アドバンテのハイテク3社が上位、逆に下落寄与はソフトバンクGが1銘柄で日経平均を約45円引き下げ。東証1部年初来高値銘柄数は7月4日の125銘柄以来の多さ。

 

データを参照したサイト(ダウ30種銘柄の上昇・下落寄与度はこちら↓)

https://nikkei225jp.com/nasdaq/

 

 

(お願い)

海外市場のデータは取得時のものであり、速報値の可能性があります。

閲覧・購読者自身でご確認いただきますようお願いします。

 

以上

 

 

—–** アナリスト・トレーニング **—–

このページの先頭へ