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マーケット見通とポイント

2023年12月27日
 24年は「甲辰」、旧来のしきたり、悪習を破り、革新を進める年

2024年(令和6年)の干支は「甲辰(きのえ・たつ)」。十干(じっかん)の「甲」(きのえ)はよろい(鎧)をつけた草木の芽が、その殻を破って頭を少し出す様子を象(かたど)った文字である。旧来のしきたりや悪習を破って革新の動きが始まることを意味する。一方、十二支の「辰」(たつ)は理想に向かって辛抱強く、慎重に、様々な抵抗や妨害を乗り越えて歩を進めていくという意味となる。したがって「甲辰」の字義に照らせば、24年は「困難を乗り越えて革新の歩を進める年」と解釈されよう。企業経営にとっては資源価格の高止まり、人手不足、地政学的リスクといった様々な困難に直面するなかでも、「現状維持でなく、イノベーションの実現に向けて歩みを進める年」といえる。

戦後の辰年を振り返ると、近年では2000年に米国のITバブル崩壊、12年に欧州の債務危機問題をきっかけとした海外経済減速により日本経済はいずれも景気後退に陥っている。この点、24年の日本経済は、欧米における金融引き締めや、中国の不動産市場の問題を端緒として海外経済減速は大きなリスク要因である。もっとも米国は23年11月にインフレの安定が確認されつつある。大統領選を控え、インフレ退治から景気重視に移る可能性があり、早ければ24年半ばから利下げが見込まれる。

一方、23年の日本経済は物価高が消費の重荷となったと同時に、家計や企業の期待インフレ率を高めている。経済活動正常化、インバウンド需要、円安などにより企業収益は好調だ。結果として24年も相応の賃上げが実施される可能性が高い。同時に23年に日本経済全体は「不足」状態になった。コロナ禍で世界的に政府支出が増えて需要が回復、日本の輸出産業の人手や設備は不足した。一方、コロナ禍による行動制限が解除され内需も急回復。国内のサービス業は観光や外食、介護・医療分野を中心に急激な人手不足に陥った。国中で人手と設備がさらに不足する状態になったからである。24年は、日本企業が成長分野に人材を投入し、人手不足の中で賃金を引き上げ、これまで溜め込んできた資金を設備投資に振り向ける動きが加速しよう。日本経済は明るさを増しそうだ。

辰年の平均上昇率は+28%、翌年の巳年も好パフォーマンス

 

株式相場にとって辰年は縁起が良い。戦後6回ある辰年は4勝2敗、日経平均の騰落率(単純平均)は+28%と十二支のなかで最高の実績。しかも前年の卯年から辰年、そして翌巳年も好成績で「辰巳天井」の相場格言にあるように、25年に向けて株式市場は明るい展望が期待できる。過去の辰年を振り帰り、投資のヒントを探ってみよう。

■1952年(昭和27年)の日経平均は前年比+118.4%と急上昇した。朝鮮戦争(1950〜53年)特需を受けた賃金上昇や、豊作による農業収入増が消費を盛り上げた。電力、鉄鋼などの重点産業を中心に旺盛な投資が続いた。

■1964年(昭和39年)の日経平均は前年比▲0.7%と冴えなかった。東京オリンピック開催に向けて競技場、道路、鉄道等のインフラ投資が集中的に行われ好景気に沸いた。しかし、特需の反動による需要減少懸念と証券不況が深刻化し、64年1月に日本共同証券、65年1月に日本証券保有組合が設立された。

■1976年(昭和51年)は第1次石油ショック後の不況から2年目の年。景気回復が軌道に乗り始め、安定成長への移行が明確になり始めた。日経平均は前年比+14.5%と2ケタ上昇。

■1988年(昭和63年)の日経平均は前年比+39.9%と絶好調。バブル景気の本格化で株価や地価の急上昇が消費や設備投資に拍車が掛かった。

■2000年(平成12年)は世界的に「IT革命」が流行語となるなか、情報通信機器や半導体の生産拡大が景気のけん引役となった。日経平均はバブル崩壊後の最安値である98年10月の1万2879円から2000年4月に2万0833円まで約62%上昇、8月に日銀はゼロ金利の解除に踏み切った。一方、米国では景気過熱を抑制するためFRBが99年6月から利上げを開始。FF金利が2000年5月に6.5%まで引き上げられるとNY株価が急落、ITバブルが崩壊した。日経平均は前年比▲27.2%と厳しい年だった。

■2012年(平成24年)は欧州債務問題を端緒とした海外経済の減速や円高で輸出や設備投資が軟調となり、日本経済は景気後退に陥った。しかし、日経平均は前年比+22.9%上昇した。12月に実施された衆院選で自民党が圧勝、第2次安倍内閣発足を好感し、株価は急伸した。

■2024年(令和6年)は日本に追い風となるイベントが目白押しだ。まず、新NISAのスタートによって新しい資金が株式市場に流れ込んでくる。7月には新紙幣が発行される。自動販売機や券売機などの改修やソフトウエアの更新需要などが見込まれる。7月にパリで夏季オリンピックが開催され、スポーツ用品やテレビなどの買い替えで消費が盛り上がる可能性がある。政治の世界では3月にロシアで、11月に米国で大統領選が予定されている。ロシアや中国を睨んだ日本の防衛力強化の機運は一段と高まるだろう。

以下の銘柄に注目したい。ゆうちょ銀行(7182)は日銀の政策修正期待に加えて、バリューや好配当利回り株物色の観点から注目。新NISAのスタートで個人投資家の注目を集める可能性もあろう。丸井グループ(8252)は、今24年3月期に新たにDOE(株主資本配当率)8%の方針を採用し、12期連続増配となる101円(前期比42円増配)を計画。クレジットカード取扱高は24年3月期第2四半期に過去最高となった。日本製鋼所(5631)は原発と防衛関連といった本業が息を吹き返している。電力・原子力関連を含む素形材・エンジニアリング部門の受注は21年3月期の327億円から今24年3月期は510億円まで回復すると予想。産業機械部門の内「その他」(含む防衛関連)受注は21年3月期の404億円から今3月期は820億円を予想している。伊藤忠商事(8001)は、今24年3月期は総還元性向(40%)を目途に株主還元を実施する方針。同社は今3月期の純利益計画に300億円のバッファーを設けており、不測の事態がなければ更なる上方修正の可能性もある。新紙幣関連では日本金銭機械(6418)、グローリー(6457)、富士電機(6504)に注目しておきたい。

(12月20日記)

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