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2019年3月14日
【安全資産に逃避する投資マネー】(3月14日配信)

おはようございます。

 

【安全資産に逃避する投資マネー】

 

 

【13日の海外市場】

  

13日の米国株はそろって上昇、ナスダックはほぼ5ヵ月ぶりの高値

 

  • 13日の米金融市場は、NY株式市場の主要3指数はそろって上昇、NYダウは反発、ナスダックは3日続伸と堅調でした。英議会で英国がEUとの合意なく離脱することに反対する動議を賛成多数で可決したため、英ポンドは対ドルで前日比大幅に上昇しました。ドル/円相場は111円台と小幅な値動きとなりました。原油先物も値上がりし、13日は全般的にリスク資産に資金が流れていました。
  • NYダウは前日比148ドル(0.58%)高い25,702ドルと反発しました。S&P500種は同0.69%高で引けました。航空機事故を起こしたボーイングはカナダが運航停止を決め、製造国の米国も運航停止の大統領令を下したため一時同3.2%安まで売られる場面がありましたが、結局0.5%高で引けました。
  • アマゾン・ドット・コムやフェイスブック、マイクロソフトなど大型IT関連がしっかりでナスダック総合は同52ポイント(0.69%)高と3日続伸、ほぼ5ヵ月ぶりの高値まで買われました。インテルは同1.4%上昇、エヌビディアも値上がりするなど半導体関連も買われ、フィラデルフィア半導体指数(SOX指数)は0.4%高で引けました。投資家の不安心理を示す米VIX指数は13.41と前日の13.77からさらに改善しました。
  • 国際商品市場ではWTI原油先物は1.39ドル高の1バレル=58.26ドルで引けました。一時58.47ドルと4ヵ月ぶりの高値まで買われました。
  • 1月の米耐久財受注額は前月比0.4%増え、市場予想(0.5%減)に反して改善しました。1月の米建設支出は前月比1.3%増の1兆2,796億ドルと、予想の0.4%増を大幅に上回って増加しました。公共投資が急増し公共部門が約8年ぶりの高水準となったことが要因です。明るい米指標は米景気が底堅いことを示唆しています。
  • 2月の米PPIは、前月比0.1%上昇と市場予想の中央値0.2%上昇を下回りました。前日に発表されたCPIも物価上昇圧力の弱まりを示しており、FRBの利上げ期待を後退させる材料となります。堅調な米景気指標と安定するインフレ指標がリスク資産に資金を向かわせた一つの要因と考えられます。
  • 英議会下院は13日夜、英国がEUとの合意なく離脱することに反対する動議を賛成多数で可決しました。英ポンドは対ドルで1.6%上昇、対円でも1.4%上昇しました。離脱の延期にはEU全加盟国の承認が必要で、英・EUが延期で合意できれば、「合意なき離脱」の回避が正式に固まる見込みです。

 

 

【今日のポイント】 

 

安全資産に逃避する投資マネー

 

  • 世界的な景気減速に伴う期待インフレ率の低下を受けて主要国の長期金利の低下が目立っています。13日午後の東京債券市場では長期金利が一段と低下し10年国債利回りは前日比0.015%低い(債券価格は高い)マイナス0.055%まで低下し、1月4日と2月22日に付けた今年の最低水準に並びました。国内景気の減速懸念から日銀の追加緩和の思惑も広がり、債券に買いが増えています。
  • 12日の欧州市場ではドイツの10年国債利回りが0.055%と過去52週間の最低を更新しました。先週、OECDが2019年の世界経済見通しを下方修正した際に、ユーロ圏の見通しを大きく引き下げたことや、ECBがユーロ圏の成長率見通しの引き下げを発表し、利上げの時期を2020年に先送りしたことで、ユーロ圏諸国の長期金利は下値を探っています。先週はドイツだけでなくフランスやスペインの長期金利が52週安値を更新しています。英国ではEU離脱協定案を巡る議会の採決が今週、大きなヤマ場を迎えており、リスク回避のために国債に資金が向かいやすくなっています。
  • オーストラリアとニュージーランドの長期金利も12日、52週安値を更新しました。オーストラリアは年後半に利下げの思惑が浮上しているほか、先週の中国全人代で2019年の経済成長率目標が引き下げられたことで、貿易面で関係が深い両国の景気に悪影響を与える懸念から国債の買い(金利低下)材料となっています。
  • 米国の長期金利は12日に2.60%に低下、今年1月3日に付けた最低の2.554%を上回っているものの、かなり接近しています。米FF金利誘導目標である2.25~2.50%や、米2年国債利回りの2.451%に接近、いわゆる逆イールドが市場で意識されています。
  • 逆イールドは景気後退のサインといわれますが、逆イールドが示現しても、景気後退入りするまでタイムラグがあります。
  • 1978年以降の、米国の逆イールド(米10年国債利回り-米2年国債利回り)が出現した5回のケースでは、初回発生から米景気がピークを付けるまで平均で19.8ヵ月、最短でも10ヵ月のタイムラグがあります。逆イールド後の株式市場は日米ともに堅調で、相場が天井を付けるまで平均で15.6ヵ月、上昇率も2割前後となっています。長短金利が接近・逆転してしまうと利ざや確保のためにリスクが高い資産に資金が流れる傾向があるためです。すでに東京市場ではREITや好配当株式など利回り商品に資金が流れています。逆イールドが示現してもすぐに景気が悪化し株価が下落するわけではなく、タイムラグがあることは大切なポイントです。
  • なお、上述のリスク材料が債券価格に織り込まれた後に、経済の先行きに楽観的な材料が出ると長期金利は一転して反転する可能性があります。それは例えば、米中貿易協議で一定の枠組みでの合意が実現し、相互の追加関税を半減もしくは全廃するケース、米国の期待インフレ率が底入れ・反転するケース、中国のこれまでの景気対策の効果が出始めて明るい経済指標が増えるケース、欧州市場で経済の底打ちを示す指標が増えるケース、などが考えられます。
  • この場合、債券(安全資産)市場に滞留していた投資マネーは一斉にリスク資産市場に向かう(債券売り・株式買い)可能性があります。FRBとECBは緩和を続ける姿勢を継続しているため、短期金利はそれほど上昇せずに、長期金利が上昇するため、利回り曲線(イールドカーブ)は期間が長い金利がより上昇する(傾きが急になる)わけです。こうしたシナリオが実現する可能性は一定程度あると見られます。4月以降に注目しておきたいと思います。

 

 

3月13日(水)

 

米国金融市場の主な指標

 

  • 米10年国債利回り:2.62%(前日2.60%)
  • ニューヨーク市場ドル円相場:1ドル=111.28-111.29円(前日111.34-111.35円)
  • ニューヨークダウ30種平均:25,702.89ドル(前日比+148.23ドル)
  • ナスダック総合株価指数:7,643.41ポイント(前日比+52.37ポイント)
  • S&P500種株価指数:2,810.92ポイント(前日比+19.4ポイント)
  • 米フィラデルフィア半導体指数(SOX指数):1,360.77ポイント(前日1,355.12ポイント)
  • 米VIX指数(恐怖指数):13.41(前日13.77)
  • ニューヨークWTI原油先物1バレル=58.26ドル(前日比+1.39ドル)
  • ニューヨーク金先物1トロイオンス=1,309.3ドル(前日比+11.2ドル)

 

 

東京株式市場

 

  • 日経平均株価:21,290.24円(前日比-213.45円)
  • TOPIX:1,592.07ポイント(前日比-13.41ポイント)

 

データを参照したサイト(ダウ30種銘柄の上昇・下落寄与度はこちら↓)

https://nikkei225jp.com/nasdaq/

 

 

(お願い)

海外市場のデータは取得時のものであり、速報値の可能性があります。

閲覧・購読者自身でご確認いただきますようお願いします。

 

以上

 

 

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