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2019年3月8日
【トヨタ株が7日続落となっている理由】(3月8日配信)

おはようございます。

 

【トヨタ株が7日続落となっている理由】

 

 

【ニューヨーク市場】  7日の米国株は続落、主要3指数は大幅に続落

 

  • 7日のニューヨークの金融市場は米長期金利が低下(債券価格は上昇)し、主要株価指数は大幅続落となりました。世界経済減速懸念が台頭し投資資金は株式から債券にシフト、リスクオフの状況となりました。欧州中銀(ECB)が域内の経済見通しを引き下げ、年内の金利据え置き見通しを発表しました。新たな貸出条件付き長期資金供給オペ(TLTRO)を実施する方針を示したことを受け、ユーロ圏国債利回りは低下、ユーロが対ドルで下落しました。米国では雇用関連の指標が弱く、米FRBのブレイナード理事のハト派発言も影響し米長期金利は2.6%台に低下しました。  
  • NYダウは前日比200ドル安の25,473ドルと続落しました。ECBが経済見通しを引き下げたことで改めて世界経済の減速懸念が意識されました。ボーイングやキャタピラー、スリーエムといった景気敏感株が売られました。アップルやマイクロソフトも下落しました。米長期金利低下を受けゴールドマン・サックスやビザなど金融株が売られました。
  • ECB理事会を受けドイツなど欧州の国債利回りが低下したことから、米長期金利は2.64%と前日の2.69%から低下しました。ドル円相場は111.56円と前日の111.74円からややドル安・円高となりました。
  • アルファベットやフェイスブック、アマゾン・ドット・コムなど大型IT関連も下落し、ナスダック総合は前日比1.1%下落しました。NYダウの下落率(同0.7%)を上回りました。AMD、マイクロン・テクノロジー、エヌビディアなど大手半導体も下落、フィラデルフィア半導体指数(SOX指数)は同1.1%低下しました。投資家の不安心理を示す米VIX指数は16.59と前日の15.74から上昇しました。
  • 米FRBのブレイナード理事は7日、米経済のリスクが上昇しているほか、現在の経済指標で企業や消費者の支出減少を示す兆候が見られると言及しました。「雇用とインフレから得てきた恩恵を守る最善策は慎重な金利誘導だ」とコメントし、「FRBは経済見通しを変更せずとも利上げ予想を引き下げるべきだ」と述べました。米長期金利の低下の材料となった可能性があります。
  • 欧州中銀(ECB)は7日の理事会で政策金利を据え置くとともに、欧州債務危機後初となる利上げの時期を来年に先延ばしすると発表しました。ECBは最新の経済予測で、2019年のユーロ圏経済成長見通しを1.1%と、昨年12月時点の予想から0.6ポイント引き下げました。19年のインフレ率予想は従来の+1.6%から+1.2%に引き下げました。新たな市中銀行向け長期資金供給プログラムや政策金利据え置きの期間延長を含むパッケージを打ち出しました。ドラギ総裁は「ユーロ圏の先行きの成長を取り巻くリスクは、地政学的要因に絡む根強い不透明感や保護主義の脅威、新興国市場の脆弱性に伴い、依然として下向きに傾いている」と警戒感を示しました。米FRBに続きECBも緩和姿勢を強めることで、世界的に金融が緩和する方向に再び動きつつあります。金融市場の流動性が回復すると見込まれることからリスク資産市場には追い風と受け止められます。ただし、景気の先行きには注意が必要です。
  • 米民間雇用調査会社のチャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスが7日まとめた米企業・政府機関による2月の人員削減計画は前月比45%増の7万6,835人に急増しました。削減計画数は前年同月比2.2倍で、2015年7月以来3年7カ月ぶりの高水準となりました。分野別では工業製品製造業、小売業での削減が目立ちました。最近、米雇用関連で弱い指標が増えているので8日の米雇用統計が注目されます。
  • 中国人民銀行が発表した2月末の外貨準備高は3兆900億ドルと前月から22億6,000万ドル増加しました。これは6か月ぶりの高水準です。米中通商交渉を巡り楽観的な見方が強まり、人民元相場が上昇したことが背景です。金準備は794億ドル相当で、1月末の793億ドルから小幅に増加しました。

 

 

【今日のポイント】 

 

トヨタ株が7日続落となっている理由

 

  • トヨタの株式が2月27日から3月7日まで7日続落となるなど弱い動きが続いています。きっかけは米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表が2月27日の米下院公聴会で、日本との貿易協定交渉について3月にも訪日して正式に開始したいとの意向を示したことです。市場では自動車関連にやや警戒感が高まっています。
  • 今週は欧州委員会のマルムストローム委員(貿易担当)と米ライトハイザー代表がワシントンDCで会談する予定です。2018年7月にEUと米国が関税引き下げに向けた協力に合意して以降、行われてきた協議の続きです。しかし、米商務省が2月17日にトランプ大統領に提出した「1962年通商拡大法232条に基づく自動車・同部品に関する安全保障調査報告書」を受けて、協議が厳しいものになるかもしれないとの懸念があります。同報告書は非公開ながら、輸入車が米国の安全保障にとって脅威であるかどうかの調査結果を詳述している模様です。
  • トランプ大統領は、報告書受領から90日後の5月半ばまでに報告書の指摘事項に関して行動(さらなる関税適用の可能性を含む)を起こすかどうかを決定します。
  • ライトハイザー代表は「日本を含むアジア各国には為替の問題がある」と下院公聴会で述べ、為替も議題にする可能性を示唆しました。米産業界からは対日交渉に関し、貿易に有利な通貨安を封じる「為替条項」や、車の輸出台数を規制する「数量規制」を支持する声が出ています。ライトハイザー代表は3月にも日本との通商交渉を開始したいと発言しています。
  • 日米通商交渉が3月開始となれば、トランプ大統領が5月(新天皇と会見)、6月(G20・大阪)と連月で訪日するスケジュールを考えても、ライトハイザー代表を伴う可能性が高いと思われます。米国の基本スタンスは対米輸出乗用車の関税引き上げ、同輸出数量規制で威嚇しながら、米国産農産物や畜肉の輸入枠拡大・関税引き下げを要求するものと思われます。また韓国とのFTA(自由貿易協定)や今回の米中通商協議でも為替条項(自国通貨安誘導による輸出促進の禁止)が盛られたことを考えると、日本にも為替条項を要求する可能性は否定できません。
  • 夏に参議院選を控える安倍政権は農産物の輸入枠拡大や関税引き下げは受け入れにくい選択肢です。その代わりに米国内での老朽化したインフラ設備の更新投資を促進する資金支援や米国製防衛装備品の購入拡大、さらに自動車の米現地生産の一段の推進による米国人雇用拡大への貢献を前面に押し出し、貿易黒字削減に努力すると表明するものと思われます。日米通商交渉の期間中は為替市場ではドル安・円高材料として捉えられやすく、自動車など輸出関連が悪材料視されやすいでしょう。トヨタ株は、こうした悪材料を意識しながら事前に小口の売りがでているものとみられます。
  • 1990年代前半の米国の対外貿易不均衡の最大のターゲットは日本でしたが、今回の標的は間違いなく中国です。日本は過去20年間で貿易黒字削減のため米国で現地生産を飛躍的に拡大させました。米商務省によると2015年の在米日系企業の雇用者数は85.6万人でG7では英国に次ぐ規模です。産業別ではトランプ大統領の支持層が多い製造業が40万人と最多で、卸売業の26.7万人が続きます。日本自動車工業会のリポートによれば、日本の自動車メーカーは米国で2016年に約9万人を雇用しています。
  • 日米通商交渉は難航が予想され長期にわたる可能性が高いと市場は警戒しています。その分、逆に日本の期待通りに進んだ場合の上昇への反応は大きいと思います。

 

 

 

3月7日(木)

 

米国金融市場の主な指標

 

  • 米10年国債利回り:2.64%(前日2.69%)
  • ニューヨーク市場ドル円相場:1ドル=111.56-111.57円(前日111.74-111.75円)
  • ニューヨークダウ30種平均:25,473.23ドル(前日比-200.23ドル)
  • ナスダック総合株価指数:7,421.46ポイント(前日比-84.46ポイント)
  • S&P500種株価指数:2,748.93ポイント(前日比-22.52ポイント)
  • 米フィラデルフィア半導体指数(SOX指数):1,319.09ポイント(前日1,332.82ポイント)
  • 米VIX指数(恐怖指数):16.59(前日15.74)
  • ニューヨークWTI原油先物1バレル=56.66ドル(前日比+0.44ドル)
  • ニューヨーク金先物1トロイオンス=1,286.1ドル(前日比-1.5ドル)

 

 

東京株式市場

 

  • 日経平均株価:21,456.01円(前日比-140.80円)
  • TOPIX:1,601.66ポイント(前日比-13.59ポイント)

 

データを参照したサイト(ダウ30種銘柄の上昇・下落寄与度はこちら↓)

https://nikkei225jp.com/nasdaq/

 

 

(お願い)

海外市場のデータは取得時のものであり、速報値の可能性があります。

閲覧・購読者自身でご確認いただきますようお願いします。

 

以上

 

 

 

 

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