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2019年3月6日
【中国全人代とマーケット】(3月6日配信)

おはようございます。

 

【中国全人代とマーケット】

 

 

【ニューヨーク市場】  5日の米国株はもみ合い後に主要3指数はそろって続落

 

  • 5日のニューヨークの金融市場は、長期金利は小動きで、主要3株価指数はもみ合い後にそろって小幅に続落となりました。好調な米経済指標の発表を受けドル/円相場は一時、昨年12月以来のドル高水準を付けました。5日に開幕した中国の全人代を受け上海総合指数が上昇し、ドイツ、フランスなど欧州株は堅調に推移しました。
  • NYダウは前日比13ドル安の25,806ドルで引けました。朝方は安く始まりました。その後はプラス圏で推移したものの、結局、大引けは小幅に下落しました。米中貿易交渉の行方を見極めたいムードが強く、買い控えにつながっています。中国政府が2019年の経済成長率の目標を引き下げたことも心理的に相場の重荷になっている模様です。ダウ採用銘柄では航空機のボーイングやキャタピラー、スリーエムなど中国関連の下落が目立ちました。一方、最近急落していた医療保険のユナイテッドヘルス・グループが同2.2%高と反発しました。
  • 債券市場は長期金利が2.71%と前日の2.72からやや低下(債券価格は上昇)しました。ドル/円相場は1ドル=111.86円と前日の111.74円からドル高で引けました。一時112.13円と昨年12月以来、およそ3ヵ月ぶりのドル高・円安となりました。
  • ナスダック総合は同1ポイント下落の7,576で引けました。フィラデルフィア半導体指数(SOX指数)は同0.4%下落しました。投資家の不安心理を示す米VIX指数は14.74と前日の14.63からやや上昇しました。
  • 2月の米ISM非製造業景況感指数は59.7となり、前月より3.0ポイント上昇しました。3カ月ぶりの上昇で市場予測(57.2程度)を上回りました。指数を構成する4つの個別項目のうち「新規受注」が65.2で7.5ポイント上昇したほか、「事業活動・生産」も64.7で5.0ポイント上昇。一方、「雇用」は55.2で2.6ポイント低下しました。米国のサービス業の経済活動は依然としてかなりの好況を維持していることが示唆されます。
  • 2018年12月の米新築一戸建て住宅販売件数は62万1,000戸で、前月の改定値より3.7%増加しました。市場予測(60万5,000戸程度)を上回り、2カ月連続の増加となりました。18年5月以来7カ月ぶりの高水準となりました。住宅ローン金利の低下を受け、住宅市場も回復に転じつつあります。
  • 米ダラス連銀のカプラン総裁は5日に発表した小論文で、米経済の成長が鈍化した場合、リスクになり得るとして、増大する米企業債務に警告を発しました。「米非金融セクターの企業債務の対国内総生産(GDP)比率は、前回のピークだった2008年末を上回っている」と指摘。景気が下降すれば、こうした融資を巡る問題は「金融状況の悪化に拍車を掛ける」とし、「米経済成長の鈍化を一段と深刻にする可能性もある」と説明しました。過剰債務問題は米企業だけでなく中国も含めて世界経済のリスク材料であることをマーケットでも警戒しています。

 

 

【今日のポイント】 

 

中国全人代とマーケット

 

  • 5日に中国で開幕した全人代では大方の予想通り、2019年の経済成長率見通しを引き下げました。減税や手数料の大幅削減、インフラ投資の拡大、中小企業に対する一層積極的な融資を通じ、一段の減速が見込まれる中国経済を支援する方針を示しました。全体的に現状の厳しい経済環境を認めたうえで、積極的に景気を支える政府の姿勢が伺えます。特に財政赤字の対GDP比率を引き上げたことで自動車や家電の買い替え補助など内需拡大で個人消費を喚起させることが期待されます。半面、景気回復を優先するあまり、中長期の経済成長に必要な構造改革が先送りされるリスクが指摘されます。
  • 興味深いのは、経済報告のなかでハイテク産業育成策「中国製造2025」の言及を避けた点です。2018年まで4年連続で報告に盛り込みましたが、今回は米国の批判に配慮した格好です。また「住宅は投機対象ではない」と呼び掛けていた習近平国家主席の発言が盛り込まれなかった点も注目されます。中国が住宅市場規制の緩和にオープンな姿勢に転じた可能性を示唆しています。
  • 5日の上海総合指数の終値は前日比26ポイント上昇の3,054と2018年6月半ば以来、およそ9カ月ぶりの高値を付けました。午後に上げ幅を拡大しこの日の高値で引けました。マーケットでは中国経済に対する過度な警戒感はやや後退する可能性が高いと思われます。特に日本は中国市場に設備投資や中国企業向け電子部品や半製品の供給、中国の消費市場で依存度を高めている企業は多く、中国経済の減速は昨年の日本の株式市場の最大の悪材料となってきました。今回の全人代は日本の株式市場の大きなプラス材料となると思われます。
  • 主要なポイントをピックアップします。

 

経済成長率・財政赤字目標

  • 2019年の経済成長率は6.0~6.5%を目標とする(現行の目標は6.5%前後)。
  • 消費者物価の上昇率は3%前後とする。住民所得の伸び率を経済成長率とほぼ同じとする。
  • 19年の財政赤字は2兆7,600億元、財政赤字の対GDP比率は2.8%とし、18年の予算より0.2ポイント引き上げる。
  • 19年の財政支出は6.5%増の23兆元強とする。財政収支や特別債の発行などの要素を総合的に考慮し、今後生じるリスクに対処できるようにする

 

人民元の安定、金融緩和

  • 人民元為替レートの合理的な均衡水準での基本的安定を保つ。
  • 中小銀行向けの預金準備率の引き下げを拡大し、供給した資金はすべて民営や中小零細企業への融資に回す。
  • 国有の大手企業も中小零細企業向け融資を18年に比べて30%増やす。

 

減税・実質所得増強策

  • 景気押し上げに向け、中国の財政政策は「一段と積極的」になる。大規模な企業向けの減税を実施し、増値税(付加価値税)の改革を進める。
  • 製造業の増値税は現行の16%から13%に、交通運輸や建築業などは10%から9%に下げる。
  • 電気料金も平均10%下げ、中小企業向けの通信料も引き下げる。
  • 社会保険料負担も大幅に軽減する。年間で企業の税負担と社会保険料の負担を2兆元弱軽減する。
  • 2019年の企業の税金や手数料を約2兆元削減する方針(減税幅は18年の1兆3,000億元を上回る規模)。

 

インフラ投資

  • 鉄道投資に8,000億元、道路・水運投資1兆8,000億元を達成し、交通や災害対策などのインフラ投資にさらに力を入れる。
  • 次世代情報インフラの整備を強化し、昨年より400億元増やして5,776億元を投資する。

 

産業振興

  • 大衆による起業目的などの金融債の発行を奨励し、ベンチャー投資の発展をサポートする。

 

貿易戦争

  • 中米経済貿易協議を引き続き進展させる。
  • 約束したことは真摯に履行し、自ら合法的な権益は断固として守り抜く。
  • 知的財産権の保護を全面的に強化し、侵害に対する懲罰的賠償制度を整える。

 

(以上)

 

 

3月6日(水)

 

米国金融市場の主な指標

 

  • 米10年国債利回り:2.71%(前日2.72%)
  • ニューヨーク市場ドル円相場:1ドル=111.86-111.87円(前日111.74-111.75円)
  • ニューヨークダウ30種平均:25,806.63ドル(前日比-13.02ドル)
  • ナスダック総合株価指数:7,576.36ポイント(前日比-1.21ポイント)
  • S&P500種株価指数:2,789.65ポイント(前日比-3.16ポイント)
  • 米フィラデルフィア半導体指数(SOX指数):1,356.9ポイント(前日1,363.25ポイント)
  • 米VIX指数(恐怖指数):14.74(前日14.63)
  • ニューヨークWTI原油先物1バレル=56.56ドル(前日比-0.03ドル)
  • ニューヨーク金先物1トロイオンス=1,284.7ドル(前日比-2.8ドル)

 

 

東京株式市場

 

  • 日経平均株価:21,726.28円(前日比-95.76円)
  • TOPIX:1,619.23ポイント(前日比-8.36ポイント)

 

データを参照したサイト(ダウ30種銘柄の上昇・下落寄与度はこちら↓)

https://nikkei225jp.com/nasdaq/

 

 

 

(お願い)

海外市場のデータは取得時のものであり、速報値の可能性があります。

閲覧・購読者自身でご確認いただきますようお願いします。

 

以上

 

 

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