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2019年7月9日
【NYダウは115ドル安、アップルが2%の下落、パウエルFRB議長の議会証言を控え様子見ムード】(7月9日配信)
メルマガ 2019年7月9日(火)
おはようございます。
【8日の海外市場】
NYダウは115ドル安、アップルが2%の下落、パウエルFRB議長の議会証言を控え様子見ムード
- 8日の米金融市場で長期金利が上昇(債券価格は下落)し、主要株価指数は続落しました。中国の景気減速懸念などを背景に上海総合指数が2%を超える下落となったことに加え、イランを巡る地政学的リスク、前週末の米雇用統計を受けた利下げ期待の後退などが株価の重石となりました。米長期金利は2.04%と前週末の2.03%から上昇、為替市場では1ドル=108.70円とドル高・円安で引けました。
- NYダウ平均は続落し、前週末比115ドル(0.43%)安の26,806ドルと続落しました。上海総合指数が前週末比2.58%安と比較的大きく下落、欧州株安の流れが米国に波及しました。早期の利下げ期待が後退し、買いポジションを縮小する動きが強まりました。ハイテク関連全般に弱い値動きになりました。
- アップルは前週末比2%安となり1銘柄でダウ平均を約28ドル引き下げました。ボーイング、スリーエム、ゴールドマン・サックス、ユナイテッド・テクノロジーズのダウ下落寄与上位5銘柄でダウ平均を約104ドル引き下げました。アップルはアナリストが「iPhone XS」の販売低調を理由に投資判断を「売り」に引き下げたことが影響しました。ブルームバーグがまとめた過去のデータによると、アップルに対する「売り」の投資判断としては少なくとも1997年以降で最多になりました。ダウ採用銘柄ではマイクロソフト、シスコシステムズ、インテルなどハイテク株全般に軟調な動きでした。
- 大型IT関連ではアルファベット、フェイスブック、ネットフリックスが安くアマゾン・ドット・コムは小幅に上昇。ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は前週末比63ポイント(0.78%)安と続落しました。半導体はマイクロン・テクノロジーとアドバンスト・マイクロ・デバイシス(AMD)は上昇したものの、ブロードコム、クアルコム、ザイリンクス、エヌビディアが安く、フィラデルフィア半導体指数(SOX指数)は前週末比0.7%安で引けました。
- S&P500種指数は前週末比14ポイント(0.48%)安と続落。セクター別では素材、コミュニケーション、ヘルスケアなどが下落し、不動産、一般消費財、生活必需品が買われました。投資家の不安心理を示す米VIX指数は13.96と前週末の13.28からやや上昇しました。
米国金融市場の主な指標
金利・為替
- 米10年国債利回り:2.04%(前日2.03%)
- ドル円相場:1ドル=108.70-108.80円(前日108.45-108.55円)
株式相場
- ニューヨークダウ30種平均:26,806.14ドル(前日比-115.98ドル)
- ダウの主な上昇寄与:ナイキ、ホームデポ、マクドナルド、P&Gなど
- ダウの主な下落寄与:ボーイング、アップル、スリーエム、ゴールドマン・サックスなど
- S&P500種株価指数:2,975.95ポイント(前日比-14.46ポイント)
- S&P業種別上昇セクター:不動産、一般消費財、生活必需品、公益事業など
- S&P業種別下落セクター:素材、コミュニケーション、ヘルスケア、資本財・サービスなど
- ナスダック総合株価指数:8,098.38ポイント(前日比-63.41ポイント)
- フィラデルフィア半導体指数(SOX指数):1,450.41ポイント(前日1,461.70ポイント)
- 米VIX指数(恐怖指数):13.96(前日13.28)
商品
- ニューヨークWTI原油先物1バレル=57.66ドル(前日比+0.15ドル)
- ニューヨーク金先物1トロイオンス=1,400ドル(前日比-0.10ドル)
マーケットが注目したと思われる主な材料
特になし
【今日のポイント】
2ヵ月連続の利下げと所得減税法案成立でも反発力に限界がある豪ドル相場
- 豪州準備銀行(RBA)は7月2日、2ヵ月連続となる0.25%の利下げを決定、政策金利は過去最低の1.00%となりました。米国の政策金利(2.25~2.50%)と比べても低く、かつての高金利通貨の面影はありません。利下げは市場予想通りの結果であったことから、豪ドル相場への影響は限定的にとどまっています。金融先物市場が織り込む2019年末の政策金利予想では年内にもう1回の利下げが実施される確率が38%とメインシナリオとして見込まれています。
- イベント終了による材料出尽くしから豪ドル相場は対ドルで6月安値の0.6829から7月4日には0.7047まで回復、対円でも6月安値73.89円から7月1日には76.25円まで回復しました。米国は今月のFOMCで利下げが見込まれており、米国と豪州の長期金利差が縮小すると見込まれることから、一時的に豪ドルの買い材料として意識される可能性があります。しかし、RBAが重視するインフレ率(目標は2~3%)の回復に相当な時間がかかると見られ、豪ドルの本格反発には時間がかかりそうです。
- RBAの声明文では「理事会は労働市場の動向への注視を継続し、必要があれば金融政策の調整を行う」と言及、ロウ総裁は景気下支えのため追加利下げを実施する可能性に含みを持たせました。RBAの最新の研究ではインフレにとって中立的な失業率は4.5%程度と推定しており、5月の失業率(5.3%)からみてかなりのかい離があります。RBAは豪州経済の余剰労働力が物価の低迷をもたらしてと分析しています。
- また個人消費を手控えさせる一つの要因である住宅価格は一部の大都市で安定化の兆しがありますが、大幅に前年割れの状態であり、利下げによる住宅価格の下支えが必要です。膨らんだ家計の住宅債務残高から発生する利払い負担を考慮すれば利上げはかなり困難と予想され、緩和期間の長期化が豪ドルの上値を抑えそうです。
- 一方、豪州の上院議会は7月4日、モリソン政権が提案する所得税減税法案を承認しました。下院議会はすでに7月2日に減税法案を承認しており、法案は成立しました。5月の総選挙で与党・保守連合が大勝したことが、7月2日の新議会発足からわずか3日間での所得税減税法案のスピード承認を後押ししました。今回議会で承認された所得税減税の規模は今後11年間で1,579憶豪ドル(約12兆円)と見込まれます。既に成立済みの2018年度予算案の所得税減税を加えると、今後11年間での総規模は3,246憶豪ドル(約24兆円)となります。
- 所得税減税のうち貯蓄に回る部分もありますが、一定の消費押上げ効果はありそうです。金融・財政緩和策により豪ドル相場は下値を徐々に固める展開が予想されますが、反発力は限定的で、当面もみ合いで推移すると考えられます。
東京株式市場
- 日経平均株価:21,534.35円(前日比-212.03円)
- TOPIX:1,578.40ポイント(前日比-14.18ポイント)
データを参照したサイト(ダウ30種銘柄の上昇・下落寄与度はこちら↓)
https://nikkei225jp.com/nasdaq/
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