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2019年6月19日
【リスクオフ(債券買い・株式売り)がリスクオン(債券売り・株式買い)に転じるシナリオ】(6月19日配信)

メルマガ 2019年6月19日(水)

 

おはようございます。

 

【リスクオフ(債券買い・株式売り)がリスクオン(債券売り・株式買い)に転じるシナリオ】

 

 

【18日の海外市場】  

 

追加緩和期待と米中貿易協議の進展期待でNYダウは353ドル高

 

  • 18日の米金融市場は、欧米の追加緩和期待と米中貿易協議の進展期待でNY市場の主要株価指数が大幅に続伸しました。ECBの追加緩和期待でドイツDAX指数、仏CAC指数は2%を超える上昇となり、米株式市場の追い風となりました。長期金利は2.06%と前日の2.09%から低下(相場は上昇)しました。ECBのドラギ総裁が追加緩和を示唆したことでドイツの国債が買われ、米国債市場に波及しました。ドル円相場は108.40円で引けました。
  • 18日のNYダウ平均は大幅に続伸し、前日比353ドル(1.4%)高の26,465ドルで引けました。トランプ米大統領が6月末のG20大阪サミットで中国の習近平国家主席と首脳会談を開く予定だと表明。米中協議進展への期待が高まり、リスクを取る動きが強まりました。ダウは一時上げ幅を414ドルに広げる場面がありました。ECBのドラギ総裁が18日の講演で追加緩和を示唆ことも追い風になりました。
  • ダウ採用銘柄では航空機のボーイングが前日比5.3%上昇し1銘柄でダウを129ドル押し上げました。2度の墜落事故を起こした機種「737MAX」を英航空大手から200機受注したとの発表が好感されました。米中貿易協議の進展期待からスリーエム、キャタピラー、アップルなど中国の売上高が大きい銘柄が買われ、ボーイングを含めた4銘柄でダウを前日比222ドル押し上げました。半面、ウォルト・ディズニー、P&G、ベライゾンが下落しました。
  • S&P500種指数は前日比28.08ポイント(0.97%)高い2,917と続伸しました。セクター別では資本財・サービス、情報技術、エネルギーが買われ、生活必需品、不動産、公益事業が売られました。
  • ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は前日比108ポイント(1.39%)高と大幅に続伸しました。インテルは前日2.6%高、ブロードコムは同4.5%高、クアルコムは同4.1%高、ザイリンクスは同6.9%高など大手半導体関連が大幅高となりました。米中が首脳会談を開く見通しとなり、中国市場への収益依存度が高い半導体株に追い風になると期待が高まりました。中国通信機器大手、ファーウェイと米企業との取引禁止が緩和されると思惑も買いにつながっています。フィラデルフィア半導体指数(SOX指数)は同4.33%高く引けました。米半導体関連株の上昇は本日の東京株式市場の追い風になると見られます。

 

 

米国金融市場の主な指標

 

金利・為替

  1. 米10年国債利回り:2.06%(前日2.09%)
  2. ドル円相場:1ドル=108.40-108.50円(前日108.45-108.46円)

 

株式相場

  1. ニューヨークダウ30種平均:26,465.54ドル(前日比+353.01ドル)
  2. ダウの主な上昇寄与:ボーイング、スリーエム、アップル、ゴールドマン・サックスなど
  3. ダウの主な下落寄与:ウォルト・ディズニー、P&G、ベライゾンなど
  4. S&P500種株価指数:2,917.75ポイント(前日比+28.08ポイント)
  5. S&P業種別上昇セクター:資本財・サービス、情報技術、エネルギー、金融など
  6. S&P業種別下落セクター:生活必需品、不動産、公益事業など
  7. ナスダック総合株価指数:7,953.88ポイント(前日比+108.86ポイント)
  8. フィラデルフィア半導体指数(SOX指数):1,406.16(前日1,347.86ポイント)
  9. 米VIX指数(恐怖指数): 15.15(前日15.35)

 

商品

  1. ニューヨークWTI原油先物1バレル=53.90ドル(前日比+1.97ドル)
  2. ニューヨーク金先物1トロイオンス=1,350.70ドル(前日比+7.8ドル)

 

 

マーケットが注目したと思われる主な材料

 

  • ブルームバーグによると、トランプ米大統領は18日、中国の習近平国家主席 と「とても良い」電話会談ができたと明らかにした。来週、大阪で開催される20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)で同主席と「時間をかけて会談する」意向を示した。中国国営中央テレビも18日、米中が首脳会談の開催で合意したと伝えた。この材料を受け、NY株式市場は上げ幅を拡大した。
  • ドイツの欧州経済センター(ZEW)が発表した6月の独ZEW景気期待指数はマイナス21.1と、前月のマイナス2.1から急低下した。2カ月連続の低下で2018年11月以来の低水準。市場予想はマイナス5.9だった。ZEWは、最近の経済指標が弱い内容で、米中貿易戦争も激化していると指摘した。
  • 欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は18日、ポルトガルのシントラで開催されたECBの年次会議で、物価の伸びが低迷し、目標を達成できない状況が続いた場合、ECBは利下げや資産買い入れなどの金融緩和を再度行うと明言し、物価押し上げへの決意を表明した。欧州株式の買い材料となった。

 

 

【今日のポイント】 

 

リスクオフ(債券買い・株式売り)がリスクオン(債券売り・株式買い)に転じるシナリオ

 

  • 米中貿易摩擦の長期化懸念や世界経済の減速懸念を背景に世界の投資マネーは安全資産の債券にシフトするリスクオフの状態が続いています。ドイツの長期金利は6月7日にマイナス0.262%とチャイナショック翌年の2016年の水準を下回る過去最低を更新しました。
  • 日本の長期金利も6月14日にマイナス0.135%と2年10ヵ月ぶりの低水準に低下しました。米国の長期金利は4月の2.5%から急低下し6月に2.0%台を付けました。18年10月に3.2%台を付けていたことを考えれば、驚くほどの金利低下となりました。
  • 世界経済がリセッションしたわけでもないのに、やや過剰反応のように感じられます。グローバル投資家は株式のリスクに相当敏感になっているものと思われます。この結果、債券市場は株式市場と比べるとかなり割高になっているはずです。ちなみに、米S&Pの予想PERは16.5倍、株式投資から得られる利回りである益回り(PERの逆数=1/PER)は6%と、米債券の利回りを大きく上回ります。日経平均のPERは12倍程度、益回りは8.3%になります。日本の場合、株式市場参加者が主要企業の業績に関して一定の下方修正を織り込んでいる可能性が高いと思います。
  • この流れが反転するには、株式市場の好材料が出て株式が買われるというよりも、債券市場の売り材料が出て資金の流れが変わる可能性が高いと思います。債券市場で利益確定売りを誘発しそうな材料は何か?今後のイベントからいくつかピックアップしてみましょう。

 

 

【考えられるリスクオン・シナリオ】~日銀短観を受けた大規模経済対策に注目~

  1. 米FOMC:6月18・19日の米FOMCで、FRBが次回7月のFOMCにおける市場追認型の予防的利下げの可能性を強く示唆する。米景気の下振れ懸念が後退し米国市場ではリスクオンムードが強まる。米長期金利は利益確定売りとポジション調整売りで反転・上昇(価格は下落)、国内長期金利も連れ高となる。
  2. 日銀金融政策決定会合:国債のイールドカーブが超長期ゾーンを中心に買われ過ぎの(金利が低すぎる)水準まで低下したことから、6月19・20日の日銀金融政策決定会合で黒田総裁が過度な利回り低下をけん制する発言を行う。実際に日銀がイールドカーブコントロール政策を導入した際に示唆していた「概ね現状程度」のレベルを大きく下回っており、この状態を放置できない可能性がある。
  3. 米中の貿易協議の決裂回避:6月28・29日の大阪G20サミットに合せて開催される可能性がある米中首脳会談で、米中貿易協議の継続協議が決まり、米国による対中追加関税・第4弾の発動が見送られる。米中対立を巡る過度な悲観論が後退し、リスクオフ・ムードが和らぐ。買われ過ぎていた各国国債には利益確定売りが出てくる。
  4. 大規模経済対策:7月1日公表の6月日銀短観で大企業・製造業の業況判断DIが一段と悪化し、景気動向指数とともに景気がすでに後退局面している可能性が改めて強まる。10月の消費税増を既定路線としている政府は大規模な追加景気(消費増税)対策を参議院選の公約にする。債券市場では国債発行による需給悪化や財政悪化懸念が急浮上し国債の格下げ懸念から売りが優勢となり、逆に株式市場ではリスクオンのムードが台頭する。

 

 

東京株式市場

 

  • 日経平均株価:20,972.71円(前日比-151.29円)
  • TOPIX:1,528.67ポイント(前日比-11.07ポイント)

 

 

データを参照したサイト(ダウ30種銘柄の上昇・下落寄与度はこちら↓)

https://nikkei225jp.com/nasdaq/

 

 

(お願い)

海外市場のデータは取得時のものであり、速報値の可能性があります。

閲覧・購読者自身でご確認いただきますようお願いします。

 

以上

 

 

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