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2019年5月20日
【大型連休後の相場下落が一服し、底入れとなるか確認する週】(5月20日配信)
メルマガ 2019年5月20日(月)
おはようございます。
【大型連休後の相場下落が一服し、底入れとなるか確認する週】
【17日の海外市場】
米中協議の不透明感を誘う報道を受けNY株式主要3指数は反落
- 17日の米金融市場は、長期金利はやや上昇しドル高、主要株価指数は反落しました。ダウ30種平均は前日比98ドル(0.4%)安の25,764ドルで引けました。
- 朝方は米国とカナダなどの通商問題の進展や5月ミシガン大消費者信頼感指数速報値の上振れなどが好感され堅調に推移する場面もありました。その後、米中貿易協議の不透明感を誘う報道が相次ぎ、キャタピラーなど中国事業の比率が高い銘柄を中心に午後は売りが優勢となりました。
- 中国の商務部の報道官が16日に「米国は貿易を巡る論争を一方的にエスカレートさせている。交渉の深刻な後退につながるだろう」と話し、米政権を強く批判したと伝わりました。17日午後には米メディアCNBCが「米中貿易交渉は行き詰まっている」と報じ、投資家心理がやや悪化しました。
- IT関連ではアップルやアマゾン・ドット・コム、アルファベット、ネットフリックスなど主力株が売られました。ハイテク株比率が高いナスダック総合指数は前日比81ポイント(1.0%)安の7,816で終えました。ファーウェイ問題が引き続き売り材料となりブロードコムが前日比-2.4%、クアルコムが同-1.5%、AMD同-1.8%、エヌビディア同-2.2%、マイクロン・テクノロジー同-3.3%など半導体関連が大きく下落、フィラデルフィア半導体指数(SOX指数)は同2%近い下落となりました。
米国金融市場の主な指標
金利・為替
- 米10年国債利回り:2.39%(前日2.37%)
- ドル円相場:1ドル=110.01-110.02円(前日109.84-109.85円)
株式相場
- ニューヨークダウ30種平均:25,764.00ドル(前日比-98.68ドル)
- ダウの主な上昇寄与:ユナイテッドヘルス・グループ、ボーイング、ベライゾン・コミュニケーションなど
- ダウの主な下落寄与:キャタピラー、スリーエム、IBM、ゴールドマン・サックスなど
- S&P500種株価指数:2,859.53ポイント(前日比-16.79ポイント)
- S&P業種別上昇セクター:公益事業
- S&P業種別下落セクター:資本財、エネルギー、情報技術、一般消費財など
- ナスダック総合株価指数:7,816.28ポイント(前日比-81.76ポイント)
- フィラデルフィア半導体指数(SOX指数):1,402.01ポイント(前日1,430.11ポイント)
- 米VIX指数(恐怖指数):15.96(前日15.29)
商品相場
- ニューヨークWTI原油先物1バレル=62.76ドル(前日比-0.11ドル)
- ニューヨーク金先物1トロイオンス=1,275.7ドル(前日比-10.51ドル)
米国市場に影響したと思われる主な材料
米国がカナダ、メキシコに課す鉄鋼とアルミニウムの追加関税を撤廃することで両国と合意したことは良いニュースです。
- 5月のミシガン大学が消費者態度指数(速報値)は102.4と市場予想の97.5を上回り、前月の97.2から改善した。約15年ぶりの高さ。
- トランプ米政権は17日、日本や欧州連合(EU)などの国・地域から輸入する自動車・同部品に対する関税発動を180日延期し、その期間内にこれらの貿易相手との交渉を目指すよう通商代表部(USTR)に指示した。
- トランプ米政権は17日、カナダ、メキシコに課す鉄鋼とアルミニウムの追加関税を撤廃することで両国と合意したと発表した。カナダ政府によると、米国が2018年6月から上乗せする鉄鋼とアルミ関税を2日以内に解除する。
【今週のポイント】 (5月20日-5月24日)
大型連休後の相場下落が一服し、底入れとなるか確認する週
- 先週の東京市場は米国による2,000憶ドル分の対中関税引き上げに続き、中国の輸入品全てに制裁関税を課す「第4弾」の手続き開始も明らかになり、貿易戦争激化を警戒したリスク回避の売りが拡大しました。
- 日経平均は5月14日まで7日続落と3年ぶりの連続安を記録、同日は一時20,751円台と2月12日以来の安値を付けました。週末にかけては米国でAMATやシスコなどの好決算や、ソニーのマイクロソフトとの提携や自社株買い発表が好感され、一時前日比335円高の21,398円と大きく反発しました。
- 今週の日経平均は大型連休後の相場下落が一服し、底入れとなるか確認する局面となりそうです。ファーウェイを巡る悪材料は尾を引く可能性はあるものの、先週のNY株式市場の反応を見ると、直接影響を受ける半導体など一部の関連銘柄に限られそうです。投資家の不安心理を示す米VIX指数は15.96(17日)と一時の20.5からは低下しつつあり、投資家心理も落ち着きつつあります。
- 週末に米国がカナダ、メキシコに課す鉄鋼とアルミニウムの追加関税を撤廃することで両国と合意したと発表したことは、トランプ大統領が来年の大統領選を意識して、強硬姿勢から宥和路線に転換しつつあることを示します。これは米国と中国の通商交渉が将来一定の合意に向かう可能性を示唆します。
- 東京株式市場の騰落レシオ(25日移動平均)が78%と80%を割り込んでいるほか、ストキャスティクス(SLOW)が22%まで低下するなどテクニカル指標は沈静化しており、自律反発も期待できそうです。ドル円相場が110円台で安定できるかがカギとなりそうです。
- 今週の相場材料としては米金融政策に関連して20日のパウエル議長の講演や22日のFOMC議事録(4月30日-5月1日)が注目されます。市場が予想する年内の利下げ確率は70%を超え、株式相場を支える最大の材料となっています。利下げ期待を低下させる内容となれば市場のボラティリティが上昇する可能性があります。経済指標では4月の米中古住宅販売件数や5月の米製造業PMIなどが注目されます。23日から始まる欧州議会選挙は反EUなどポピュリズム政党の台頭が懸念されており、ユーロ相場に影響しそうです。
- 国内では前期比年率でマイナス成長が予想される1-3月期GDPが注目されます。消費税増税の延期の議論や衆参同日選の思惑が広がる可能性があり、市場のボラティリティを高める可能性があります。
- 週末にはトランプ大統領がいよいよ令和初の国賓扱いで来日します。報道によると安倍首相らと大相撲夏場所、26日の千秋楽を観戦。優勝力士には「トランプ杯」を手渡すそうです。世界中の話題になると同時に日米の良好な友好関係をアピールする機会になると思われます。マーケットでも話題になるでしょう。
- 当面の日経平均(17日の引け値21,250円)の価格ポイントは以下の通りです。下値ポイントは昨年12月安値から今年4月の高値までの上昇幅のフィボナッチ指数の38.2%押しとなる21,103円や、週足先行スパン(雲)の下限である21,087円、3月に下値抵抗となった20,900円台など21,000円前後に重要な節目があります。
- 一方、上値は日足転換線21,470円や基準線21,557円、25日移動平均線(21,795円)や200日移動平均線(21,851円)を回復できるかがポイントです。特に大型連休明け5月7日から8日に急落する過程で空けたマド(21,875~21,639円)は早く埋める必要があります。
- NYダウ平均(17日の引け値25,764ドル)の下値ポイントは、下値を切り上げる日足一目均衡表の先行スパン(雲)の下限25,495が重要です。また200日移動平均線25,428ドル、26週移動平均線25,218ドルなどがポイントとなりそうです。逆に上値は75日移動平均線25,915ドル、日足基準線25,959ドル、週足転換線25,990ドル、25日移動平均線26,227ドルなどがポイントです。
- なお、中長期で見るとNYダウ平均は2018年から2019年に26,600~26,800ドル台で3回高値を付ける「三尊天井」(2018年1月26日26,616ドル、同10月3日26,828ドル、2019年4月23日26,656ドル)に近い形となっています。23,500ドルを下回ると「三尊天井」が確定し、2018年と19年が歴史的な高値となる可能性が出てきます。現時点ではそこまでの心配は必要ありませんが、米中貿易戦争が一段と悪化し、米企業収益に決定的な影響が出るようですとシナリオが変わってきます。注意したいところです。
今週の重要イベント
(5月20日-5月24日)
20日(月)
- パウエル米FRB議長の講演
- クラリダFRB副議長の講演
- 米農家支援策〈第2弾〉発表(週内、見込み)
- 日米「貿易交渉」事務レベル協議(大統領訪日前、ワシントン)
- ユーロ圏経常収支
- 日本1-3月期GDP(一次速報値)
21日(火)
- 米4月の中古住宅販売件数
- 【ロシア疑惑】マクガーン・ホワイトハウス元顧問議会証言→下院委要請中
- カーニー英中銀総裁の講演
- OECD「世界経済見通し」
- 4月訪日外国人観光客数
- 4月の全国百貨店売上高
22日(水)
- 米1-3月期家計部門の負債統計(NY連銀)
- FOMC議事録(4月30日-5月1日分)
- 「バーナンキショック」から6年
- ウィリアムズNY連銀総裁、パネル討論参加
- ドラギECB総裁、ブラード専務理事任期(5月31日)で講演
- OECD閣僚会議(~23日、パリ)
- 南アフリカ議会、大統領選出
- インドネシア大統領選(4月17日実施)公式結果期日
- 英CPI
- 3月機械受注
- 4月貿易収支
23日(木)
- 米5月製造業PMI(速報値)
- 米4月新築住宅販売件数
- 新規失業保険申請件数(5月17日)
- ECB理事会議事録(4月10日分)
- ボーイング737MAX問題、FAA、IATAが会議開催
- 欧州議会選挙(~26日)→英国投票日は23日
- 5月ユーロ圏PMI(速報値)
- スペイン新議会招集期日
- インド総選挙(一斉)開票
24日(金)
- 米4月耐久財受注(速報値)
- 南アフリカ大統領就任式(25日予定)
- タイ議会招集→月内に首相指名選挙
- 4月消費者物価指数
- 4月月例経済報告
- 全産業活動指数
25日(土)
- トランプ大統領訪日(25‐28日)
(注)太字は注目されるイベント
(予定であり変更の可能性があります)
東京株式市場
- 日経平均株価:21,250.09円(前日比+187.11円)
- TOPIX:1,554.25ポイント(前日比+16.70ポイント)
データを参照したサイト(ダウ30種銘柄の上昇・下落寄与度はこちら↓)
https://nikkei225jp.com/nasdaq/
(お願い)
海外市場のデータは取得時のものであり、速報値の可能性があります。
閲覧・購読者自身でご確認いただきますようお願いします。
以上
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