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おはようございます。
【底入れが鮮明となりつつある3月の工作機械受注】
【不二越の19年11月期は増益予想、ツガミは19年3月期業績の増額修正を発表、ファナックは失望的な見通しを発表】
【24日の海外市場】
24日の米国株は小幅に反落、弱いドイツの景気指標や中国の政策期待後退が影響
- 24日の米金融市場は、長期金利が低下(債券相場は上昇)し株価はそろって反落しました。独のIfo企業景況感指数が市場予想に届かずドイツの長期金利が低下しました。中国人民銀行(中央銀行)が預金準備率をさらに引き下げるとのうわさを否定したと伝わると、中国景気の回復期待もやや後退しました。
- 原油先物価格が下落したことで石油株が下落したほか、米長期金利が2.52%と前日の2.56%から低下したことを受け金融株が下落したこともダウを引き下げました。決算発表を受けてキャタピラーが下落しました。
- 半導体関連は総じて堅調でザイリンクス、AMD、エヌビディア、マイクロン・テクノロジ、アプライドが上昇しSOX指数は反発しました。
米国金融市場の主な指標
- 米10年国債利回り:2.52%(前日2.56%)
- ドル円相場:1ドル=112.16-112.17円(前日111.86-111.87円)
- ニューヨークダウ30種平均:26,597.05ドル(前日比-59.34ドル)
- ダウの主な上昇寄与:マクドナルド、ウォルトディズニー、ボーイング、トラベラーズ・カンパニーズ、など
- ダウの主な下落寄与:キャタピラー、シェブロン、ゴールドマン・サックス、エクソンモ-ビル、ダウなど
- S&P500種株価指数:2,927.25ポイント(前日比-6.43ポイント)
- S&P業種別上昇セクター:不動産、公益事業、生活必需品、情報技術など
- S&P業種別下落セクター:エネルギー、コミュニケーション、素材など
- ナスダック総合株価指数:8,102.02ポイント(前日比-18.81ポイント)
- フィラデルフィア半導体指数(SOX指数):1,589.02ポイント(前日1,574.05ポイント)
- 米VIX指数(恐怖指数):13.14(前日12.28)
- ニューヨークWTI原油先物1バレル=65.89ドル(前日比-0.41ドル)
- ニューヨーク金先物1トロイオンス=1,279.4ドル(前日比+6.2ドル)
米国市場に影響したと思われる主な材料
ドイツの企業景況感指数が市場予想を下回り長期金利が低下したことから、米長期金利も低下しました。原油在庫の増加を受けた原油安と企業決算がダウの下落に影響しました。
- ドイツの4月Ifo企業景況感指数は99.2と市場予想の99.9を下回り予想外の悪化となった。前月の99.7からも低下。発表後にユーロは対ドルで一段安。ドイツの長期金利は低下、米長期金利低下に影響した。
- 米エネルギー情報局(EIA)が発表した19日時点の米国内の原油在庫は前週に比べて550万バレル増えた。市場は減少を予想していたため、在庫増を懸念した売りが出た。ダウ採用銘柄のシェブロンが1銘柄でダウを約25ドル、エクソンモービルが約11ドルそれぞれ引き下げた。
- 米キャタピラーの1-3月(第1四半期)決算は、利益と売上高がともに市場予想を上回った。株価は約3%下落しダウ平均を約29ドル引き下げた。1-3月は在庫が増加したほか、市場シェアの低下や中国の競合企業による価格競争激化が懸念された模様。
- マイクロソフトの1~3月期決算はクラウド事業の好調が続き、純利益が前年同期比19%増。特別項目を除く1株利益は市場予想を大きく上回り、米国市場の時間外取引で株価は3%超上昇。
- フェイスブックの1~3月期決算は、米連邦取引委員会(FTC)に支払う可能性のある制裁金の引当金計上が影響し純利益が前年同期比51%減の24億2,900万ドルとなった。しかし、本業の好調さが確認され時間外取引で株価は10%超上昇。
【今日のポイント】
- 工作機械受注が底入れ傾向を強めています。特に中国からの受注が最悪期を脱した可能性が示唆されます。最近の企業決算では得意とする製品の需要動向によって格差が出ています。
- ロボットや工作機械・工具などに強みを持つ不二越が2019年11月期予想を増益見通しで据え置きを発表。精密工作機械が得意なツガミは19年3月期見通しを上方修正しました。日本電産が20年3月期に2年ぶり最高益更新を見込むなど、景気の先行指標である工作機械やモーター、部品などに明るい話題が増えてきました。
- ただし、25日に決算を発表したファナックの20年3月期の連結業績予想は、スマホ向けロボドリルの回復が遅れるとして、2期連続の減益と厳しい見通しを示しました。日経平均への指数寄与度が高いため本日の東京市場に影響しそうです。
(1)底入れが鮮明となりつつある3月の工作機械受注
- 日本工作機械工業会が4月23日発表した3月の工作機械受注額(確報値)は1,308億円と前年同月比28.5%減、前月比19.2%増となりました。受注額は2019年2月の前年比29.3%減を底に前年比伸び率はボトムアウトしています。このうち外需は767億円と前年同月比28.5%減、前月比12.8%増となりました。外需も前年比伸び率は縮小しました。
- 外需のうち中国からの受注額は前年同月比44%減と2月の同50.4%よりもマイナス幅が縮小しました。2018年11月の同67%を大底にマイナス幅が縮小しています。中国からの受注額も2018年7月以来、8ヵ月ぶりに200億円台を回復しました。日本工作機械工業会の専務理事は中国向けの状況について「底入れが見え出している」と報告。中国政府が景気刺激策を打ち出したことなどで、心理的な改善がみられつつあるとしています。
【工作機械受注推移、前年同月比伸び率】 2018年8月~2019年3月
18/8:受注総額は+5.1%、うち外需は-4.6%、うち中国向けは-37.3%の189億円
18/9:受注総額は+2.9%、うち外需は+1.1%、うち中国向けは-22.0%の189億円
18/10:受注総額は-0.7%、うち外需は-2.4%、うち中国向けは-36.5%の151億円
18/11:受注総額は-17.0%、うち外需は-28.9%、うち中国向けは-67.0%の136億円
18/12:受注総額は-18.3%、うち外需は-23.6%、うち中国向けは-56.4%の150億円
19/1:受注総額は-18.8%、うち外需は-20.4%、うち中国向けは-52.3%の166億円
19/2:受注総額は-29.3%、うち外需は-29.8%、うち中国向けは-50.4%の140億円
19/3:受注総額は-28.5%、うち外需は-28.5%、うち中国向けは-44.0%の200億円
注:黄色の網掛けは3月分、オレンジの網掛けは表示期間内の最も大きいマイナス値
(2)不二越の19年11月期は増益予想、ツガミは19年3月期業績の増額修正を発表、ファナックは失望的な見通しを発表
不二越
- 工作機械、ロボットなどの機械工具事業やベアリングおよび油圧機器などの部品事業を手掛ける不二越(6474)が4月12日発表した2018年12月~19年2月期の連結決算は、売上高は1%増の610億円、営業利益が前年同期比12%減の34億円となりました。中国市場の減速や自動車産業での一部減産があったものの、工具やロボット、建機向け油圧機器の新商品の伸びで補いました。19年11月期通期の業績見通しは増収増益予想を据え置きました。
不二越のリリース
http://www.nachi-fujikoshi.co.jp/ir/earnings/pdf/1904.pdf
ツガミ
- 精密工作機械を手掛けるツガミ(6101)は4月19日、2019年3月期の連結純利益を前の期と比べて45%増の60億円となったと発表しました。従来予想(同17%増の49億円)を11億円上回りました。中国での受注が悪化すると警戒していましたが,想定ほど下振れしなかったことが要因です。中国では高品質な自動車部品のニーズが高まっており、技術力の高い同社製品の販売増が進んだ模様です。
ツガミのリリース
http://www.tsugami.co.jp/uploads/post/1729/2_1.pdf
ファナック
- ファナックが24日発表した20年3月期の連結業績予想は、売上高で前期比16%減の5,369億円、純利益で60%減の623億円となる見通しです。純利益は事前の市場予想の平均値であるQUICKコンセンサス(1,079億円)を400億円以上下回る失望的なものです。2期連続の減益となり、1,000億円を下回るのは10年3月期以来、10年ぶりとなります。同社株は指数寄与度が高いため、本日の日経平均に影響しそうです。ただし、自社株買い(500億円)を同時に発表しているため、若干緩和される可能性があります。
ファナックのリリース
https://www.fanuc.co.jp/ja/ir/announce/pdf/reference201903.pdf
4月24日(水)
東京株式市場
- 日経平均株価:22,200.00円(前日比-59.74円)
- TOPIX:1,612.05ポイント(前日比-10.92ポイント)
データを参照したサイト(ダウ30種銘柄の上昇・下落寄与度はこちら↓)
https://nikkei225jp.com/nasdaq/
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