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2019年3月20日
【3月FOMCの注目点】(3月20日配信)
おはようございます。
【3月FOMCの注目点】
【19日の海外市場】
19日の米国株は小動き、米FOMCを前に売買を手控えるムード
- 19日のニューヨークの米株式市場で主要3指数はまちまちの展開となりました。FOMCの発表を20日に控え投資家は様子見姿勢を決め込んでいます。米中貿易協議で中国側が米国の要求に抵抗していると報道され、株価の重石になっています。欧州ではドイツの景況感指数が市場予想を大きく上回りドイツDAX指数が1%を超す上昇、5ヵ月ぶりの高値となりました。英FTSE100指数は7日続伸となりました。半導体関連が軒並み買われたほか、大型IT株も堅調でハイテク関連はリスクを取る動きが続いています。
- 債券市場は米長期金利が2.61%と前日の2.60%から上昇(債券相場は下落)しました。ドル円相場は111.39円と前日の111.42円からほぼ変わらずで推移しました。
- NYダウは前日比26ドル安の25,887ドルと5日ぶりに反落しました。S&P500種は同0.37ポイント安と小幅安で引けました。米FRBの利上げ停止姿勢が強まるとの期待から、ダウ平均は上昇して始まり、上げ幅は一時195ドルに広がりました。ボーイングが買われ、ファイザー、ジョンソンエンドジョンソン、ユナイテッド・ヘルス・グループも上昇しダウを押し上げました。半面、ウォルト・ディズニーが2.7%下落しダウを約21ドル引き下げた他、トラベラーズ・カンパニーやゴールドマン・サックス、アップルなどが下落しました。
- ハイテク株が多く取引されるナスダック総合は同9ポイント(0.1%)高の7,723と3日続伸しました。AMDが同11%上昇し、マイクロン・テクノロジーやエヌビディア、ブロードコムなど半導体関連が買われフィラデルフィア半導体指数(SOX指数)は1.34%高で引けました。アルファベットやツイッター、アマゾン・ドット・コムなど大型IT関連も堅調に推移しました。
- スクエアやペイパルといったフィンテック関連が買われました。米金融サービス大手のフィデリティ・ナショナル・インフォメーション・サービシズ(FIS)が18日、決済サービス大手の米ワールドペイを、負債を含めて総額430億ドル(約4・8兆円)で買収すると発表。ECサイトのオンライン決済を手掛ける大型M&Aで、キャッシュレス取引やECの拡大で需要が拡大する決済基盤が改めて注目されています。東京市場にも関連銘柄人気が波及する可能性があります。
- ドイツの欧州経済センター(ZEW)が発表した3月の独ZEW景気期待指数はマイナス3.6で、前月のマイナス13.4から改善しました。市場予想はマイナス11.0でした。ドイツの自動車生産の落ち込みが最悪期を脱したほか、英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)が延期される可能性があるとの期待が支援要因となった模様です。ドイツは中国との貿易を通じて景気に与える影響が大きく、今後中国の景気底入れムードが広がれば、ドイツ経済への影響も注目されます。
- グーグルが19日、サンフランシスコで開催されているゲーム開発者会議「GDC2019」でゲーム事業に参入すると発表しました。スンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)が記者会見で述べたもので、専用機がなくてもテレビやパソコン、スマートフォン(スマホ)など「画面」付きの端末があればクラウド経由でゲームを楽しむことができるサービスを年内に始めると発表しました。任天堂やソニーの悪材料となる可能性があります。
【今日のポイント】
3月FOMCの注目点
- 米FOMCの結果発表を20日に控え世界のマーケットは動きにくい展開が続いています。今回は政策決定、経済・金利見通し公表、FRBの記者会見(20日)が行われる会合であり、注目度が極めて高いと思われます。
- 大荒れだった世界の金融市場の下落を食い止めたのが、1月以降のFRBによるハト派姿勢への大転換で、投資家がそれを「真正ハト派」に転換したと確信したのが前回1月のFOMC会合(29-30日)でした。今回の会合はその具体的なアクションが発表されるわけで市場の注目度が高いのも無理はありません。
- 現時点の市場の読みは、パウエルFRB議長は金融政策のハト派姿勢を最大限に強める公算が高いとみており、具体的には4つの手法が予想されています。
- 政策金利の見通し(ドットチャート)の引き下げ
(2019年の利上げ回数を現在の2回→1回もしくはゼロ回へ) - 景気見通しの下方修正
- 中立金利(現在2.75%)の引き下げ
- FRBが保有する資産圧縮の年内終了を表明
- 政策金利の見通し(ドットチャート)の引き下げ
- なかでも市場が注目するのがバランスシートの縮小停止です。FRBは自らのバランスシート縮小を年内にも停止すると宣言、金融政策が足元の景気減速を加速させないよう配慮すると声明を発信する可能性があります。
- ちなみにFRBのバランスシート規模は2015年1月の4.50兆ドルから直近で3.97兆ドルへ11.8%減少。FRBのバランスシートが米国のGDPに占める比率は2014年10月の25.6%から直近で19.1%に低下しています。金融市場の流動性(金余り度合い)が低下しリスク資産価格に影響が出ると心配されたのが昨年後半でした。
- マーケット参加者がFRBの金融政策を探る際に注目する指標に米CMEグループが算出するFed Watchツールがあります。Fed Watchツール(18日時点)によると、今年12月末時点でFRBが現状のFF金利(2.25~2.50%)を据え置く確率は72.2%と1ヵ月前(2月19日時点)の90.5%から大きく低下しました。これに対して利下げ(2.00~2.25%)確率は1ヵ月前の7.5%から24.3%まで上昇しました。これが来年1月末時点では、現状維持は64.2%まで低下し、利下げ確率は29.6%まで上昇しています。市場はFRBが緩和基調を維持する政策より、緩和を強化する政策への期待を強めつつあるようです。
- しかし、FRBが金融政策の舵取りを大きくハト派に転換した1月と比べて金融環境の引き締まり(株価急落など幅広い資産価格の下落や中国や欧州など海外経済の懸念)の程度はかなり和らいでいます。米国の半導体関連株や上海総合指数の急回復を見れば、これ以上の緩和強化を期待すると、逆に反動安を招くことになりかねず、注意したいところです。
3月19日(火)
米国金融市場の主な指標
- 米10年国債利回り:2.61%(前日2.60%)
- ニューヨーク市場ドル円相場:1ドル=111.39-111.40円(前日111.42-111.43円)
- ニューヨークダウ30種平均:25,887.38ドル(前日比-26.72ドル)
- ナスダック総合株価指数:7,723.95ポイント(前日比+9.47ポイント)
- S&P500種株価指数:2,832.57ポイント(前日比-0.37ポイント)
- 米フィラデルフィア半導体指数(SOX指数):1,407.35ポイント(前日1388.77ポイント)
- 米VIX指数(恐怖指数):13.56(前日13.10)
- ニューヨークWTI原油先物1バレル=59.03ドル(前日比-0.06ドル)
- ニューヨーク金先物1トロイオンス=1,306.50ドル(前日比+5.0ドル)
東京株式市場
- 日経平均株価:21,566.85円(前日比-17.65円)
- TOPIX:1,610.23ポイント(前日比-3.45ポイント)
データを参照したサイト(ダウ30種銘柄の上昇・下落寄与度はこちら↓)
https://nikkei225jp.com/nasdaq/
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