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2019年3月19日
【ボーイング新型機の運航停止と米中貿易協議の行方、本日の日経平均のポイント】(3月19日配信)
おはようございます。
【ボーイング新型機の運航停止と米中貿易協議の行方、本日の日経平均のポイント】
【18日の海外市場】
18日の米国株は続伸、米FOMCを控え全体的には様子見ムードが強い
- 18日のニューヨークの金融市場は、米長期金利と為替相場は小動きで推移し、NY株式市場の主要3指数はそろって続伸となりました。米FOMCを控えておりポジションを取りづらく、様子見ムードが強い印象です。 NY原油先物価格はOPECなどの減産継続期待から一時4ヵ月ぶりの高値を付けました。
- NYダウは前日比65ドル(0.25%)高い25,914ドルと4日続伸しました。ドイツの金融再編で欧州の金融株が上昇したことを受けてゴールドマン・サックス(GS)が同2%上昇、エクソンモービルやキャタピラーが同1%超上昇しました。2015年以来となる小型タブレット端末「iPad mini」の新機種を発表したアップルは約1%高、マイクロソフトは1.3%高とダウをけん引しました。
- 一方、ボーイングは事故を起こした「737MAX」について、米運輸省が米連邦航空局(FAA)の機体認証手続きに問題がなかったか調査していると伝わり同1.7%下落し1銘柄でダウを46ドル引き下げました。ディズニーも同1.6%下落しました。S&P500種は0.37%高と続伸しました。
- ロイターの報道によると、香港の英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは、関係筋の話として、通商問題を巡る米中首脳会談が6月に先送りされる可能性があると報じました。
- 債券市場は長期金利が2.60%と前日の2.59%から小幅に上昇(債券価格は下落)しました。ドル円相場は111.42円と前日の111.48円からややドル安・円高となりしました。
- ナスダック総合は25ポイント(0.34%)高の7,714で引けました。フィラデルフィア半導体指数(SOX指数)は同0.26%安で引けました。投資家の不安心理を示す米VIX指数は13.10と前日の12.88から上昇しました。
- 国際商品市場ではWTI原油先物は同0.57ドル高の1バレル=59.09ドルで引けました。一時59.23ドルと約4ヵ月ぶりの高値を付けました。エクソンモービルなど石油株が上昇する材料となりました。石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなど非加盟の有力産油国が18日、アゼルバイジャンで会合を開き、6月末で終了する予定の協調減産の延長を協議。減産延長の可能性が意識されました。
- 全米住宅建設業協会(NAHB)が18日発表した3月の住宅市場指数は62で、前月の改定値から横ばい、市場予測(63程度)をわずかに下回りました。内訳は「現在の住宅販売状況」が68で2ポイント上昇、「今後6カ月の販売見通し」も71で3ポイント上昇。一方「客足」は44で4ポイント低下しました。
【今日のポイント】
ボーイング新型機の運航停止と米中首脳協議、本日の日経平均のポイント
- 米ボーイング新型機「737MAX」の運航停止が米中貿易協議に影響する可能性が出てきました。18日早朝のテレ東「モーサテ」では米中首脳会談の開催時期そのものが、これまでの「4月中」の予想から後ずれする可能性を報道で取り上げていました。昨日、香港の英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは、関係筋の話として、通商問題を巡る米中首脳会談が6月に先送りされる可能性があると報じました。
- 英メディアのFT紙によると、中国側がこれまでの米中協議では「6年間で1兆2,000億ドル(約134兆円)」分の米国製品購入計画を打ち出していました。その目玉と想定していた「737MAX」の先行きが不透明になったことで、厳しい状況になったと報じています。ボーイング機は米国製品購入リストの大きな部分を占めていた模様です。その他の品目は大豆やトウモロコシ、天然ガス、原油などです。
- また中国の米国製品購入計画実現のためには、双方の追加関税を存続していては障害になるため、既存の追加関税を全廃するという見方も一部にありました。ボーイング機新型機の事故によって米中協議の先行きが不透明となってきました。
- ボーイング機の事故の原因が特定できないと中国としては大規模な米国製品購入計画が約束できないわけです。「4月中」にも開催されるとされた米中首脳会談開催の延期を中国側から申し出ている可能性があります。仮に米中首脳会談の開催が遅れるとすれば、米中協議決着後に交渉が始まると見られていた、日米両政府による物品貿易協定(TAG)交渉も大幅に遅れる可能性が高いと思われます。
- 18日のマーケットで、上海総合指数は先週末比2.47%(74ポイント)高と大幅続伸となりました。今のところ上海市場では米中協議の先行きについて材料視していない可能性があります。
- 日米物品貿易協定の交渉では、米国が日本の自動車や農産物の市場開放に向けて様々な要求を突き付けてくると予想されており、円高リスクの材料として位置付けられていました。仮に日米交渉の開始時期が遅れ、例えば夏以降、参議院選の後にずれ込むようであれば、為替、株式市場にとって当面の不安材料の後退と受け止められます。
本日の日経平均のポイント
- 18日の東京市場で日経平均は前日比133円(0.62%)高と続伸し、2週間ぶりの高値となりました。財務省は2月の貿易統計速報を発表し、貿易収支は3,390億円と5カ月ぶりに黒字、うち対米輸出は前年比2.0%増、対中輸出も同5.5%増となったことなどが好感されました。
- 日経平均は26週移動平均線を上回ってきたため、次のポイントは3月4日に付けた直近高値21,860円や200日移動平均線21,978円となります。下値サポートは26週移動平均線21,469円、25日移動平均線の21,373円、転換線21,311円、基準線21,087円などとなります。一目均衡表(日足)では6日後(3月27日)に先行スパンAと先行スパンBがクロスする、いわゆる「スパンのねじれ」となります。経験則的には変化日となります。それまでのトレンドが反転するか、または、そのトレンドが加速するかなどが考えられます。
- 本日の予定としては米1月製造業受注指数、米1月耐久財受注(確報値)、国内では2019年の公示地価、2月の訪日外国人観光客数などが注目されます
3月18日(月)
米国金融市場の主な指標
- 米10年国債利回り:2.60%(前日2.59%)
- ニューヨーク市場ドル円相場:1ドル=111.42円(前日111.48-111.49円)
- ニューヨークダウ30種平均:25,914.10ドル(前日比+65.23ドル)
- ナスダック総合株価指数:7,714.48ポイント(前日比+25.95ポイント)
- S&P500種株価指数:2,832.94ポイント(前日比+10.46ポイント)
- 米フィラデルフィア半導体指数(SOX指数):1,388.77ポイント(前日1392.36ポイント)
- 米VIX指数(恐怖指数):13.10(前日12.88)
- ニューヨークWTI原油先物1バレル=59.09ドル(前日比+0.57ドル)
- ニューヨーク金先物1トロイオンス=1,301.5ドル(前日比-1.4ドル)
東京株式市場
- 日経平均株価:21,584.50円(前日比+133.65円)
- TOPIX:1,613.68ポイント(前日比+11.05ポイント)
データを参照したサイト(ダウ30種銘柄の上昇・下落寄与度はこちら↓)
https://nikkei225jp.com/nasdaq/
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