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おはようございます。
【日経平均は下値を固める展開か、米1月小売り売上高や工作機械受注などに注目】
【8日の海外市場】 8日の米国株は小幅に続落、米雇用統計が予想比下振れ
- 8日の米金融市場は、2月の米雇用統計が市場予想を下回ったことで米長期金利が低下(債券価格は上昇)し、主要株価指数はそろって小幅に下落しました。NYダウ30種平均は5日続落となりました。前日のECBの経済成長率見通し引き下げや、アジア時間で発表された中国の弱い輸出データが投資家心理に影響しました。世界経済の減速見通しが一段と強まった格好です。
- 週間ではNYダウ30種平均が2週続落し、S&P500種が6週ぶりに反落、ナスダック総合は11週ぶりの反落となりました。8日は日経平均が2%を超す下落となったほか、中国上海総合指数も4%を超す大幅下落となりました。英国やドイツなど欧州株式市場も前日比0.5~0.7%下落するなど世界的に株式市場は下落しており、1月から続いた世界の株式市場は戻り一巡感を示しているように見えます。
- 8日の米国株式市場でダウ30種平均は前日比22ドル(0.09%)安の25,450ドルと5日続落で終えました。S&P500種は同0.2%安と小幅の下落となりました。2月の米雇用統計で非農業部門の雇用者数の増加幅が前月比2万人増と市場予想を大幅に下回ったことが悪材料視されました。前日に欧州中央銀行(ECB)が経済見通しを引き下げていたこともあり市場のリスク回避ムードは強く、NYダウの下げ幅は一時200ドル超に達しました。
- 米債券市場は長期金利が2.63%と前日の2.64%から低下(債券価格は上昇)しました。一時は2.60%と1月4日以来の低水準となりました。ドル円相場は111.10円と前日の111.56円からややドル安・円高となりました。
- アルファベットやツイッター、アマゾン・ドット・コムは小幅に下落し、ナスダック総合は同13ポイント(0.18%)安と続落しました。投資家の不安心理を示す米VIX指数は16.05(前日は16.59)とやや低下しました。国際商品市場では世界景気の減速懸念でWTI原油先物は0.59ドル安い1バレル=56.07ドルで引けました。一時54.5ドルと約3週間ぶりの安値となりました。
- 2月の米雇用統計で、景気動向を敏感に反映する非農業部門の雇用者数が前月比2万人増となりました。増加幅は前月(31万1,000人増)から急減速し、市場予想(同約18万人増)も大幅に下回りました。ニュースヘッドラインは失望させられましたが内容をみると改善している点も見られます。平均時給は前年同月比3.4%増と1月の同3.2%増、市場予想の同3.3%増を上回り約10年ぶりの大きさとなりました。失業率は3.8%と前月から0.2ポイント改善し、半世紀ぶりの低水準に低下しました。職探しをあきらめた人やパートタイマーも失業者に加えた「U6」と呼ばれる広義の失業率は7.3%と前月から0.8ポイントも下がりました。単月の下落幅としては過去最大で、この先労働市場に入る人が減り、需給逼迫が続くことを示唆します。全体的にみると米労働市場は堅調に推移していると判断することができると思います。
- 米国家経済会議(NEC)のクドロー委員長は8日、米中両政府が貿易問題をめぐって開催を検討している首脳会談について「フロリダ州にあるトランプ大統領の別荘で3月下旬か4月上旬にあるかもしれない」と述べました。当初の「3月中の開催」からは後ろにずれ込んでいる模様です。両政府は不公正な産業政策など中国の構造問題を水面下で協議しています。
【今日のポイント】
日経平均は下値を固める展開か、米1月小売り売上高や工作機械受注などに注目
- 今週の東京市場は、日経平均が下値模索から値を固める展開になると予想されます。先週の海外市場では世界経済の減速が強まっていることを示すイベントが相次ぎました。中国は全人代で2019年の経済成長率の目標を「6~6.5%」に引き下げました。OECDは世界経済成長率見通しを昨年11月時点から引き下げました。またECBは7日の理事会でのユーロ圏経済成長率見通しを下方修正したうえで、年内の利上げを見送る方針を発表しました。ユーロが対ドルで過去52週間の安値を更新し、ドル高が米グローバル企業の収益に打撃を与える懸念から米国株下落の材料となりました。
- 国内では1月の景気動向指数で景気の現状を示す一致指数が前月比2.7ポイント低下した97.9となりました。3ヵ月連続の悪化で2013年6月以来、5年7カ月ぶりの低水準となりました。チャイナショックとBrexit騒動で揺れた2016年5~6月の水準を下回っています。また国内大手半導体企業が中国での需要減の影響で国内工場の操業を一定期間停止する方針を発表しました。欧州、中国、日本で弱い指標が発表となり世界経済の減速懸念がリスク資産の売り材料となりました。
- 一方、主要国の株式市場は1月以来、一本調子で上昇してきました。2018年末を起点にした株価上昇率(3月7日時点)は、ナスダック総合は+11.8%、ニューヨークダウは+9.2%、ドイツDAX指数は+11.3%、フランスCACは+11.4%、日経平均は+7.2%、上海総合は+24.5%、ハンセン指数は+11.3%となっています。3ヵ月半の上昇率としてはかなり高いと言えます。米FRBの緩和長期化観測や米中協議への進展期待、中国の政策発動など期待先行の面も強く、足元の実体経済とのギャップが逆に目立ってきました。ここで、土台を固めないと次の上値を目指せないわけです。土台が安定しているかどうかは経済の状況(=企業収益)にあるわけで、今後、改めて経済指標の点検が重要となります。
- 今週も重要な経済指標が注目されます。まず1月の米小売売上高は11日に発表されます。12月分が急減速しており持ち直しているかがポイントです。中国では14日に1~2 月固定資産投資、鉱工業生産、社会消費品小売り総額が発表されます。
- 国内では11日に2 月工作機械受注が発表されます。1月まで3ヵ月連続の前年同月比2ケタマイナスとなっており、今回は悪化に歯止めがかかるかがポイントです。また12 日に 1~3 月期法人企業景気予測調査、13 日に機械受注の発表があります。
- 日経平均は3月1日に21,822円まで上昇した後、反落しました。22,000円の大台を手前に押し戻されました。下落傾向にある200日移動平均線(22,021円、8日時点)が相当に重い抵抗ラインとして意識されています。この水準を超えるためには新しい買い材料が必要と考えられます。当面の下値メドは一目均衡表のスパン(雲)20,800円や13週移動平均線(20,691円)水準が意識されます。
今週の重要イベント
(3月11日-3月15日)
11日
・米1月小売売上高
・トランプ米大統領「予算教書」発表
・パウエル米FRB議長の講演
・ユーロ圏財務相会合
・トルコの2018年国内総生産(GDP)
・日銀2月のマネーストック
・2月の工作機械受注
(米国、冬時間から夏時間に移行、10日~)
12日
・米2月のCPI
・米2月NFIB中小企業楽観指数
・ライトハイザーUSTR代表、上院で「WTO」関連証言
・ブレイナードFRB理事の講演
・英議会、離脱修正案採決→否決時〈13日までに〉「合意なき離脱」採決→さらに否決時〈14日〉「離脱延期」採決
・EU財務相理事会
・1-3月期の法人企業景気予測調査(財務省、内閣府)
13日
・米1月の耐久財受注(速報値)
・米1月の建設支出
・1月の機械受注時計(内閣府)
14日
・米2月の輸入物価指数
・米1月の新築住宅販売件数
・ムニューシン財務長官、上下両院で「予算教書」関連証言
・1~2月の中国固定資産投資、社会消費品小売り総額、工業生産
・日銀金融政策決定会合(~15日)
・20カ国・地域の経済界サミット(B20、都内で15日まで)
・中国家電博覧会(上海、17日まで)
・テスラが新型SUV「モデルY」を初披露
・オフィスビル市況
15日
・米3月のニューヨーク連銀製造業景気指数、米消費者態度指数
・米2月の鉱工業生産、同設備稼働率
・米3月ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)
・【USMCA(新NAFTA)】→ITC米経済影響報告書をUSTRに提出
・中国2月の主要20都市新築住宅価格動向
・黒田日銀総裁会見
・IEAの石油市場レポート
・中国〈全人代〉閉幕
(予定であり変更の可能性があります)
3月8日(金)
米国金融市場の主な指標
- 米10年国債利回り:2.63%(前日2.64%)
- ニューヨーク市場ドル円相場:1ドル=111.10-111.11円(前日111.56-111.57円)
- ニューヨークダウ30種平均:25,450.24ドル(前日比-22.96ドル)
- ナスダック総合株価指数:7,408.14ポイント(前日比-13.32ポイント)
- S&P500種株価指数:2,743.07ポイント(前日比-5.86ポイント)
- 米フィラデルフィア半導体指数(SOX指数):1,318.21ポイント(前日1,319.09ポイント)
- 米VIX指数(恐怖指数):16.05(前日16.59)
- ニューヨークWTI原油先物1バレル=56.07ドル(前日比-0.59ドル)
- ニューヨーク金先物1トロイオンス=1,299.3ドル(前日比+13.2ドル)
東京株式市場
- 日経平均株価:21,025.56円(前日比-430.45円)
- TOPIX:1,572.44ポイント(前日比-29.22ポイント)
データを参照したサイト(ダウ30種銘柄の上昇・下落寄与度はこちら↓)
https://nikkei225jp.com/nasdaq/
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海外市場のデータは取得時のものであり、速報値の可能性があります。
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