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2019年2月6日
【アナリストの下方修正が底入れする時期】(2月6日配信)
おはようございます。
【アナリストの下方修正が底入れする時期】
【ニューヨーク市場】
5日の米国株は続伸、ハイテク株がけん引
- 5日のニューヨークの金融市場はドル高、株価上昇となり、リスクオンの流れが続きました。経済指標がやや弱く債券市場も買われ長期金利はやや低下しました。為替は小動きです。英国やドイツなど欧州の主要な株価指数が前日比1.5~2%以上上昇しており、米国株にも買いが波及しています。半導体関連や大型IT株も堅調でリスクを取る動きが続いています。
- ダウ工業株30種平均は前日比172ドル(0.68%)高い25,411ドルと3日続伸となりました。S&P500種もテクノロジーがけん引し続伸となりました。終盤を迎えた米主要企業の決算も総じて堅調とあって、株式市場に資金を移す動きが強まっています。
- 個別では航空機のボーイングが3%超上げ、ダウ平均を89ドル押し上げているほか、アップルも1.6%上昇し2銘柄でダウを約108ドル押し上げました。アマゾン・ドット・コムは1.5%上昇、ファイスブックやツイッタ-、アルファベットも上昇。米ナスダック総合は同0.7%上昇しました。
- 米債券相場は長期金利が2.69%と前日の2.72%からやや低下(債券価格は上昇)、ドル円相場は110円前後で推移しています。
- 投資家の不安心理を示す米VIX指数は15.57と前日の15.73から改善しています。
- 1月の米ISM非製造業景況指数は56.7と市場予想の57.2をやや下回りました。マークイットが発表した1月の米総合購買担当者景気指数(PMI)は54.4とほぼ前回(54.5)並みとなりました。
- 全米小売業協会(NRF)は5日、2019年通年の米小売売上高が前年比3.8~4.4%増になるとの予測を発表しました。18年実績は17年比4.6%増になったとの暫定数値を合わせて発表しました。同協会は雇用や賃金の伸びが続き、物価上昇も比較的抑えられているためと説明しています。米個人消費はGDPの7割を占めるため、2019年も堅調な個人消費が米経済成長を支えると見込まれます。
【今日のポイント】
アナリストの下方修正が底入れする時期
- 企業の決算発表が続く中で主要企業の業績の全体像が徐々に見えてきました。日本経済新聞社が全国上場の3月期決算会社(注1)の2019年3月期通期の業績を集計(2月4日時点で開示済みの企業38.7%が対象)したところ、経常利益は、前年同期比1.0%減、当期純利益は同2.1%減となりました(注1:金融、ジャスダック、東証マザーズ、上場子会社を除く)。
- 野村証券が2月1日時点で集計した国内主要企業(金融を除く132社)の18年10-12月期(3ヵ月)の経常利益は前年同期比14.3%減となりました。このうち一時的な損失計上を除くと6%程度の減益に留まる見込みです。
- ここで日経平均採用銘柄の利益(EPS)が変わらないと仮定して、株価収益率(PER)の低下した比率を株価が業績下方修正を織り込んだと見做して考えると、昨年12月25日に大底を付けた時点で約12%程度の下方修正を織り込んだ見ることができます。日経平均のPERは、3月期決算発表が終了した2018年5月(平均)の13.51倍から12月(同)には11.78倍に低下しています。株価の下落から推測すれば、野村証券の集計に近い線かもしれません。
- 一方、個別銘柄のアナリストの業績予想を指数化したリビジョンインデックスは依然として低下が続いていますが、マイナス幅は縮小してきており底打ちの兆しもあります。
- 前回の上場企業の業績が悪化した局面はチャイナショック後の2015~16年にかけてです。当時、リビジョンインデックスのピークは2015年8月の中国人民元切り下げの前で、その後の中国景気減速懸念、上海総合指数の急落などを受けて日本の企業業績も急激に悪化しました。リビジョンインデックスは下落基調を強め、結局2016年6月のBrexitまで悪化しました。業績底打ちまで約1年を要したわけです。
- 今回のリジビョンインデックスの悪化は、米国が中国に対して鉄鋼とアルミニウム製品に対して追加関税を発動した2018年3月頃から始まっています。足元ではその影響が顕在化していると考えられます。
- パナソニックに代表されるように中国の販売不振を理由に業績を下方修正する動きが出ていますが、決算発表後の株価は安く寄り付いた後は株価が下げ渋り、日足が陽線となる銘柄が増えている印象です。業績発表を受けてアナリストが予想を下方修正する動きはしばらく続くと思われますが、下方修正が一服すればリビジョンインデックスが切り返しに転じる可能性があります。
- 2015-16年と同様に1年程度かかると仮定すれば今年の春頃がそのタイミングと考えられます。経験則では業績悪化が止まる局面で株価は本格的な反発局面に転じることが多いので注目しています。
2月5日(火)
米国金融市場の主な指標
- 米10年国債利回り:2.69%(前日2.72%)
- ニューヨーク市場ドル円相場:1ドル=109.93-109.94円(前日109.87-109.88円)
- ニューヨークダウ30種平均:25,411ドル(前日比+172ドル)
- ナスダック総合株価指数:7,402ポイント(前日比+54ポイント)
- S&P500種株価指数:2,737ポイント(前日比+12ポイント)
- 米フィラデルフィア半導体指数(SOX指数):1,300ポイント(前日1,293ポイント)
- 米VIX指数(恐怖指数):15.57(前日15.73)
- ニューヨークWTI原油先物1バレル=53.66ドル(前日比-0.90ドル)
- ニューヨーク金先物1トロイオンス=1,319.2ドル(前日比-0.10ドル)
東京株式市場
- 日経平均株価:20,844円(前日比-39円)
- TOPIX:1,582ポイント(前日比1ポイント)
https://nikkei225jp.com/nasdaq/
データを参照したサイト(ダウ30種銘柄の上昇・下落寄与度はこちら↓)
https://nikkei225jp.com/nasdaq/
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