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2019年2月4日
【投資家のリスク選考姿勢は当面続く見通し】(2月4日配信)
おはようございます。
【投資家のリスク選考姿勢は当面続く見通し】
【ニューヨーク市場】 NYダウは6週連続上昇
- 2月1日のニューヨーク市場は株価上昇、ドル高、金利上昇(国債相場は下落)と景気回復を反映した値動きとなりました。NY株式市場は、ナスダック総合が小幅な下落となりましたが、NYダウとS&P500指数はプラスで引けました。ナスダック総合は1~3月期の売上高予想が市場予想に届かなかったアマゾン・ドット・コムが前日比5.3%下落したことが影響しました。NYダウの上昇をけん引したのは好決算を発表した石油2銘柄と情報技術、金融、素材など景気敏感セクターです。
- NYダウは週間では6週連続の上昇と、2017年10月末までの8週連続以来ほぼ1年3カ月ぶりの長期上昇となりました。1月の米雇用統計と米ISM製造業景況指数が改善を示し、米景気が勢いを保っているとの見方が広がり買いが優勢になりました。
- 1月の米雇用統計は非農業部門の雇用者数の前月比の増加幅は前月比30.4万人と、11カ月ぶりの高い伸びとなりました。前月比17万人増の市場予想を大幅に上回りました。前月比増加数の直近3ヵ月の平均は24万1,000人と5カ月ぶりの高水準です。1月の米ISM製造業景況感指数は56.6となりました。市場予想の54.3を大きく上回りました。ISM製造業指数は昨年12月に54.3と11月の59.3から大幅に低下し米景気減速懸念が強まりましたが、過剰な悲観論は払拭された印象です。
- 強い米景気指標を受けて米債券市場から資金が流出、債券相場が下落し米長期金利は2.68%と前日の2.63%から上昇しました。ドル円相場は109.49円台と前日の108.82円台からドル高・円安の取引となりました。WTI原油先物は55.26ドルと前日比上昇、一時55.66台と2ヵ月ぶり高値となりました。
- 石油大手のエクソンモービルとシェブロンの2018年10~12月期決算は、1株利益がともに市場予想を大幅に上回りました。株価はともに3%台の上昇となり、2銘柄でダウ平均を43ドルあまり押し上げました。
- 投資家の不安心理を示す米VIX指数は16.14と前日の16.57からさらに改善しました。
【今週の注目ポイント】
投資家のリスク選考姿勢は当面続く見通し
- 今週の日本の株式市場は引き続き持ち直しの動きが持続すると見込まれます。先週末に発表された米雇用統計と米企業の景況感が改善を示したため、米経済に対する過度な悲観論が後退、日本株式にも見直し買いが入りそうです。米FRBの緩和スタンスへの転換と、米経済が引き続き順調に回復していることで投資家は再びリスク資産に資金を振り向けつつあります。
- 米国の金融緩和へのスタンスの転換は米国株と新興国市場に影響を与えています。為替市場は新興国や資源国通貨が堅調です。主要国の代表的な株価指数の昨年末と比べた騰落率(1月31日時点)は、トルコイスタンブール100指数+14.0%、ブラジルボベスパ指数+10.8%、ナスダック総合+9.7%、香港ハンセン指数+8.1%、S&P500種+7.8%、NYダウ+7.1%と、日経平均の+3.7%やTOPIXの+4.9%を上回っています。主要国の通貨(対円ベース、昨年末比騰落率)は、米ドルが-0.7%、ユーロが-0.9%と先進国通貨が下落するなかで、南アランドが+7.7%、ブラジルレアルが+5.7%、豪ドルが+2.4%、メキシコペソ+2.1%とリスクが高いと言われる通貨がより上昇しています。
- 経済指標では8日に内閣府が1月の景気ウォッチャー調査を発表します。12月調査は株価が急落したこともあり、景気の現状判断DI、先行き判断DIともに、好不況の分かれ目である50を下回りました。株価急落が個人消費にどの程度、影響を与えているか注目されます。
- 企業決算ではトヨタやSUBARU、パナソニック、三菱電、太陽誘電、SUMCOなど自動車や電機、半導体・電子部品のハイテク関連企業の発表が相次ぎます。三菱商事、住友商事、三菱UFJ、ソフトバンクGなど注目される主要企業の決算も予定されています。決算は今週がピークを迎えるため主要企業の業績の全体像がつかめます。株価収益率などから適正な日経平均の水準も徐々に明らかになります。株式市場の個別銘柄の株価変動が大きくなると見込まれますが、全体として企業業績に対する行き過ぎた悲観論の修正が続くとみられます。
- 一方、米中通商交渉は予断を許さないものの、次回協議や首脳会談の計画など段階的な進展が観測され市場の不安感は徐々に後退している印象です。
- 日経平均はここ2週間ほど20,500円~20,800円台で推移しており、20,500円台を固める動きと見られます。上向き基調にある一目均衡表の転換線(1日時点、20,667円)に支えられています。先週末にはいよいよ25日移動平均線(同20,331円)が上向きに転じました。今後は25日移動平均にサポートされると思われます。投資家心理も落ち着いてきており、日経平均VIは18.35と昨年12月4日以来の水準に低下しました。日経平均レンジは昨年10月以降の下げ幅の38.2%戻しの21,049円がひとまず上値のポイントで、上抜ければ中期移動平均線(80日線)の21,300円台が意識されます。下値は先週の安値20,400円台や25日移動平均線が下値支持線になると予想されます。
今週の重要イベント
(2月4~2月8日)
4日 :中国春節休暇(2月4日~10日)
5日 :米トランプ大統領「一般教書演説」(予定)
:米ISM非製造業景況指数
:米貿易収支
同 :豪州金融政策決定
6日 :ブラジル金融政策決定
同 :パウエル米FRB議長タウンホールミーティング
7日 :英金融政策決定
8日 :オプションSQ
:景気ウォッチャー調査
(予定は変更される可能性があります)
2月1日(金)
米国金融市場の主な指標
- 米10年国債利回り:2.68%(前日2.63%)
- ニューヨーク市場ドル円相場:1ドル=109.49-109.50円(前日108.82-108.83円)
- ニューヨークダウ30種平均:25,063ドル(前日比+64ドル)
- ナスダック総合株価指数:7,263ポイント(前日比-17ポイント)
- S&P500種株価指数:2,706ポイント(前日比+2.4ポイント)
- 米フィラデルフィア半導体指数(SOX指数):1,287ポイント(前日1,272ポイント)
- 米VIX指数(恐怖指数):16.14(前日16.57)
- ニューヨークWTI原油先物1バレル=55.26ドル(前日比+1.47ドル)
- ニューヨーク金先物1トロイオンス=1,322ドル(前日比-3.1ドル)
東京株式市場
日経平均株価:20,788円(前日比+14円)
TOPIX:1,564ポイント(前日比-2ポイント)
データを参照したサイト(ダウ30種銘柄の上昇・下落寄与度はこちら↓)
https://nikkei225jp.com/nasdaq/
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