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2018年11月12日
【9日のニューヨークダウは前日比201ドル安、原油安や中国懸念が影響】(11月12日配信)
2018年11月12日 マーケットコメント
【9日のニューヨークダウは前日比201ドル安、原油安や中国懸念が影響】
11月9日(金)のニューヨーク金融市場
相場のポイント
- 9日の米株式市場でニューヨークダウは反落、前日比201ドル安の25,989ドルで終えた。S&P500種とナスダック総合は続落となった。米卸売物価指数が上振れし、インフレリスクが意識され株価の上値を重くした他、WTI原油先物価格の下落、中国の新車販売の不振が世界経済の減速をイメージさせた
- 米10月の卸売物価指数が前月比0.6%上昇し、2012年9月以来6年1ヵ月ぶりの大きな伸び率となった。朝方の米長期金利は売りが先行(金利は上昇)する場面があった。アマゾン・ドット・コムやフェイスブックなど高PER銘柄が下落し、アップルやアルファベットなど主力ハイテクの悪材料となった。S&P500種業種別で情報技術(IT)が最大の下落、コミュニケーションは3位の下落率。ナスダック総合は同123ポイントの下落。マイクロン・テクノロジーなど半導体関連やバイオ関連も下落した
- キャタピラーやスリーエムといった景気敏感株も安い。WTI原油先物の下落や、中国の10月の新車販売台数が減少、世界経済の減速が意識された
- WYI原油先物価格は10日連続下落し9ヵ月ぶりの安値となった。一時1バレル=60ドルを割り込んだ。米メディアによると10日続落は34年ぶりだという。
米長期金利
- 10年国債利回り:3.18%(前日3.242%)
ニューヨーク為替相場
- ドル円相場:1ドル=113.75-113.85円(前日113.99-114.00円)
米主要株価指数
- ニューヨークダウ30種平均:25,989ドル(前日比-201ドル)
- S&P500種株価指数:2,781ポイント(前日比-25)
- ナスダック総合株価指数:7,406ポイント(前日比-123)
- 米フィラデルフィア半導体指数(SOX指数):1,229ポイント(前日1,252ポイント)
- 米VIX指数(恐怖指数):17.36(前日16.72)
S&P500種株価指数の主な上昇・下落業種
- 上昇:生活必需品、不動産、公益
- 下落:情報技術、一般消費財、コミュニケーションなど
ニューヨークダウ30種平均への主な上昇寄与度・下落寄与度銘柄
(ダウ平均変動幅への影響)
- 上昇寄与:ディズニー、P&G、マクドナルドなど
- 下落寄与:ゴールドマン・サックス、キャタピラー、アップルなど
国際商品市況
- ニューヨークWTI原油先物:1バレル=60.19ドル(前日比-0.4ドル)、一時60ドルを割り込んだ
- ニューヨーク金先物:1トロイオンス=1,208ドル(前日比-16.5ドル)
データを参照したサイト
https://nikkei225jp.com/nasdaq/
当面の東京マーケットのポイント
- 今週の東京市場は米中間選挙という大イベントを通過し、再び内外の景気動向などファンダメンタルズを見極める局面になると予想される。日経平均は安値から約1,600円程度上昇したが、25日移動平均が200日移動平均を下回るデットクロスとなり、戻り相場の一巡感が浮上しやすい。上値には一目均衡表・基準線(22,609円)や10月の下落幅の半値戻り(22,710円)水準が控え、上値は重そうだ。今週は内外で重要な経済指標やイベントも多くリスクが意識されやすい。今週のリスクは中国人民元、米国の長期金利、イタリアの長期金利に警戒したい
- 国内では7-9月期GDP(一時速報値)や10月の工作機械受注が注目される。日本の7-9月期GDPは相次ぐ自然災害による設備投資の減少や生産減少の影響で、市場予想は前期比年率で0.3%減と2四半期ぶりのマイナス成長が予想されている。9月の工作機械受注は全体で前年同月比3%増と伸び率が鈍化傾向となった。中国向けは同22%減とマイナス幅が拡大しており、10月の中国向けが注目される
- 中国では10月の重要な経済指標の発表集中日が14日。小売売上高(市場予想は前年比+9.2%)、鉱工業生産(市場予想は同+5.8%)、固定資産投資(市場予想は年初来累計で前年同期比+5.5%)と概ね前月から横ばいの市場予想となっている。中国は今夏以降、インフラ投資再開や個人所得減税等、景気刺激策を次々と打ち出した。景気対策の効果が出始めたか否か注目される。中国人民元の不安定な動きも注目。先週は1ドル=6.91台から6.93台と7元を意識した動きが続いている。元安は中国の資本流出や景気懸念等中国リスクが意識されやすく、市場ではリスクオフの材料と受け止められやすい
- 米国では14日の10月CPI(消費者物価指数)と15日の米小売売上高が注目される。CPIの市場予想は前月比+0.30%と前月(+0.10%)から上昇、前年同月比は+2.50%(前月+2.30%)といずれも前月よりも伸び率が高まると予想されている。米長期金利は3.20%前後で高止まりしており、市場の反応次第で10月9日に付けた最高値である3.259%をブレイクする可能性も否定できない。米国株に影響は避けられないだろう。10月の米小売売上高の市場予想は前月比+0.5%と前月(+0.1%)を上回る伸び率を想定している。10月の米株式相場は大きく荒れたが、株価下落による米小売売上高への影響と年末商戦の前哨戦として注目される
- 米企業決算では15日の画像処理半導体の世界的メーカーであるエヌビディアと、世界最大の小売企業であるウォルマートの決算が注目される。前月に決算を発表したAMDやTIなど半導体大手は市場予想に届かず、株価が急落した経緯がある。ウォルマートはEコマースの成長が続いていることが確認できるだろう。
- ユーロ圏ではイタリアの19年予算案の欧州委へ再提出期限が13日に迫る。イタリアが修正に応じなければ制裁金が科せられる可能性がある。EUとイタリアの対立は長引くとみられるが、イタリアの長期金利が直近高値をブレイクするようであれば、ユーロ圏のリスク材料と受け止められる
11月9日の東京株式市場
主要株価指数
- 日経平均株価:22,250円 (前日比-236円)
- TOPIX:1,672ポイント(前日比-8)
相場のポイント
- 9日の東京株式市場は反落、日経平均は前日比236円安の22,250円で取引を終えた
- ただし、東証1部の騰落銘柄数は値上がり銘柄1,047、値下がり銘柄971と値上がり銘柄数が多く、市場全体としては買いが優勢と言える。TOPIXの前日比騰落率は-0.49%と日経平均の-1.05%の半分程度にとどまっている
- 上海総合指数の下落をきっかけに中国景気の先行き不透明感が改めて意識された。ファナックや安川電、ダイキンなどの機械・FA関連が値を下げた。米長期金利の上昇も意識された。週末を控えてポジション調整となった面もある
- 日経平均への影響が大きい銘柄の下落が目立ち、下落寄与度はファナックで36円、ファーストリテイ28円など上位5銘柄で日経平均を約118円も引き下げている
主要な市場内指標
- NT倍率(日経平均÷TOPIX):13.3倍(前日13.38倍)
- 東証1部売買代金:25,967億円
- 東証1部年初来高値銘柄数22 /年初来安値銘柄数29
- 東証1部値上がり銘柄数1047 /値下がり銘柄数971
- 東証1部騰落レシオ82.57:(前日83.75)
- TOPIX33業種
上昇上位:繊維、空運、陸運など
下落上位:石油製品、鉱業、非鉄金属など
- 日経平均寄与度(日経平均の変動幅に影響した値幅)
上昇寄与度:丸井G(+6円)、スズキ(+4円)、ユニー・ファミマ(+4円)など
下落寄与度:ファナック(‐36円)、ファーストリテイ(‐28円)、ダイキン(‐21円)など
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