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マーケットコメント
2018年10月12日 【ニューヨークダウは2日間で1,300ドル超下落】
10月11日(木)のニューヨーク金融市場
相場のポイント
- 11日の米株式市場は3日続落、ニューヨークダウは前日比545ドル安の25,052ドルで取引を終えた。7月23日以来、約2カ月半ぶりの安値。ダウの下げ幅は一時700ドルに迫ったが引けにかけて下落幅をやや縮小した
- 朝方発表された米CPIが市場予想を下回り、株式市場は小幅な値動きで取引が始まったが、午後に入り次第に下げ幅を拡大した
- S&P500種は同57ポイント安と6日続落、4月以来、初めて200日移動平均線を割り込んだ
- ナスダック総合は同92ポイント安となり5月上旬以来約5ヵ月ぶり安値。アマゾン・ドット・コムや映像配信のネット・フリックスなど今年の上昇幅の大きい銘柄の下げが目立った。ただ、下落率はダウの‐2.1%に対してナスダックは‐1.2%と小さかった
- S&P500種の11業種はすべて下落した。原油先物価格の下落を受けエネルギーが最大の下落、週末に決算発表を控える金融株が2番目の下落率
- 投資家心理を示す米VIX指数(恐怖指数)は25前後に高止まりしており、依然として株式相場が不安定な状況にあることを示唆
米長期金利
- 10年国債利回り3.13%(前日3.16%)とやや低下した
ニューヨーク為替相場
- ドル/円相場1ドル=112.12円(前日112.23円)
米主要株価指数
- ニューヨークダウ30種:25,052ドル(前日比:‐545ドル)
- S&P500種株価指数:2,728ポイント(前日比: -57)
- ナスダック総合指数:7,329ポイント(前日比‐92)
- 米フィラデルフィア半導体指数(SOX指数):1,229ポイント(前日1,242ポイント)
- 米VIX指数(恐怖指数):24.98(前日22.96)
S&P500種株価指数の主な上昇・下落業種
- 上昇:なし
- 下落:エネルギー、金融、不動産、ヘルスケアなど。下落率が小さいのはコミュニケーション
ニューヨークダウ30種平均への主な上昇寄与度・下落寄与度銘柄
(ダウ平均変動幅への影響)
- 上昇寄与:なし
- 下落寄与:ボーイング、ユナイテッドヘルス・グループ、スリーエム、マクドナルドなど
国際商品市況
- ニューヨークWTI原油先物
1バレル=70.97ドル(前日比‐2.2ドル)
週間石油在庫統計を受け下落
- ニューヨーク金先物
1トロイオンス=1,227ドル(前日比+34ドル):3日続伸し一時1,230ドルと8月初め以来の高値水準。株安で安全資産とされる金先物にリスク回避目的の買いが入った
データを参照したサイト
https://nikkei225jp.com/nasdaq/
金融市場に影響したと思われる材料
- 9月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.3%上昇、伸び率は前月から0.4ポイント低下し、市場予想(2.4%上昇)を下回った。エネルギーと食品を除くコアは2.2%上昇と伸び率は前月と変わらず→インフレ率の上振れを懸念していた債券市場には買い材料(金利低下材料)、株式市場にとって、銀行株には逆風だが市場全体にはポジティブ材料
- 米石油在庫が予想を上回る。EIAが11日発表した週間石油在庫統計(6日までの1週間)は598万バレル増と市場予想(262万バレル増)を大幅に上回った。3週連続増加→原油先物価格の下落に影響
- 米紙ウォール・ストリート・ジャーナル紙(電子版)は11日、トランプ米政権が米中間選挙後の11月末に米中首脳会談の開催を中国側に打診したと報じた→金融市場の混乱を受けてトランプ大統領の強硬な姿勢が軟化する可能性も→実現可能性は不透明だが市場は注目
当面の東京株式市場のポイント
- 当面の日本株のポイントは為替相場。現時点で1ドル=111~112円台とドルが下げ渋っている。今年2月の株価急落時は1月の1ドル=113円台から3月の105円割れまで大幅な円高が進んだ。米国の経済指標が当時よりも強く、FRBの利上げ見通しへの信頼感も当時よりも強まっているため、ドルを売りにくい状況にある。円高が限定的ならば企業収益への懸念も限られるため、日本株は見直されやすい。しかし、今後さらに円高が進むと株安リスクは残る
- 現在の米国市場の環境は米株価が急落した今年2月と比べて良好な状態にある。2018年の米企業収益は20%超の増益が予想されているほか、19年も10%程度の増益が見込まれている。FRBは緩やかな利上げを市場に織り込ませているため、緩やかなインフレ率の改善が進む状況は企業収益にもプラスに働く。既に8回利上げを実施したFRBは次のショックが発生した場合も、日米欧の中銀の中で最も機動的に「利下げ中止も含めて打つ手は十分に備えている状況」。しかしトランプ米大統領が株安の原因を「最近の利上げは間違い」と発言し、米FRBを批判している点は今後のリスク材料
- 日経平均の水準感としてはかなり調整が進んだ印象。昨日の急落で9月からの急騰局面で最初に空けていた窓(9月19日と18日の窓:23,672円~23,481円)を埋めた。来週以降、下げ止まり感が意識されやすくなる。引き続き日経平均は200日移動平均値(22,508円)がサポートラインとして強く意識されるが、まずは米国の株価下落が止まることが先決
- 11日の引け値ベースで予想株価収益率(PER)は13.02倍まで低下した。2013年のアベノミクス期間中の予想PERの下限ラインに来ている。しかし米国市場と同様に日本の株式市場の変動率が高い。日経平均のボラティリティ(日経平均VI)は7カ月ぶりに高い水準にあり、引き続き乱高下が続くことを示唆している。VIの落ち着きどころを探りながら、時間と価格分散を重視したい
- 昨日、JPX日本取引所グループが発表した裁定買い残(10月5日現在)は前週比で2,119億円減の2兆3,509億円となった。4週間ぶりの減少。過去3週間で計1.1兆円以上増加していたが、早くも裁定解消売りが出ている。9月の日本株上昇のエンジン役が10月からの下げを加速させている
参照したサイト(JPXグループ、裁定残)
https://www.jpx.co.jp/markets/statistics-equities/program/nlsgeu000003li8t-att/20181005.pdf
10月11日の東京株式市場
主要株価指数
- 日経平均株価:22,590円 (前日比‐915円)
- TOPIX:1,701ポイント(前日比‐62)
相場のポイント
- 11日の東京株式市場は米国株安を嫌気して全面安の展開となった
- 日経平均は前日比915円超安の22,590円で終えた。9月10日以来、およそ1カ月ぶりの安値水準で、下げ幅は今年3番目の大きさ
- 米国で主要3指数のなかでナスダック総合の下落率が大きかったこともありソニー、TDK、ファナックなどハイテク系が大幅安
- 株価指数先物でポジションをヘッジする動きが強まり、ファーストリテイやソフトバンクGといった指数寄与度の高い銘柄が大きく下げ、日経平均の下落幅は一時1,000円を超えた
- 上海総合指数が5%超下落し3年11ヵ月ぶりの安値となり、機械や精密など中国関連銘柄の売りが拡大した
- 日銀はインデックス型ETFを3日連続で703億円買い入れたこともあり、午後は下げ渋った
主要な市場内指標
- NT倍率(日経平均÷TOPIX):13.27倍(前日13.33倍)
- 東証1部売買代金:3兆7,587億円
- 東証1部年初来高値銘柄数/年初来安値銘柄数:4/362
- 東証1部値上がり銘柄数/値下がり銘柄数:56/2,050
- 東証1部騰落レシオ:96.35(前日99.33)
- TOPIX33業種
上昇上位:なし
下落上位:石油石炭、鉱業、機械、精密など。下落率が小さかったのは小売、空運、水産農林など
- 日経平均寄与度(日経平均の変動幅に影響した値幅)
上昇寄与度:大和ハウス+0.2円のみ
下落寄与度:ファーストリテイ-94円、ソフトバンクG-65円、ファナック-51円など
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