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マーケットコメント
2018年10月10日 【ナスダック総合指数は4日ぶりに反発、下げ止まる兆し】
10月9日(火)のニューヨーク金融市場
相場のポイント
- 9日の米国市場でニューヨークダウ平均は前日比56ドル安と続落、ナスダック総合指数は2ポイント上昇と4日ぶりに反発。ダウは寄り後162ドル安まで売られたあと、53ドル高まで上昇するなど荒い値動きとなった
- 人民元安や中国の景気の先行き懸念でキャタピラーなど中国向け売上比率の高い銘柄を中心に売りが広がった
- 大手化学メーカーがコスト高や製品の需要減少を背景に収益見通しを引き下げ、化学大手のダウ・デュポンは3%超下落、スリーエムなど素材株も売られ相場の重しに
- ナスダック総合はアップルやアマゾン・ドット・コムなどFAANG株に買戻しが入り反発した
米長期金利
- 10年国債利回り3.2%で取引を終えた。一時3.26%まで上昇し、7年5カ月ぶりの水準に上昇
ニューヨーク外国為替相場
- ドル/円相場1ドル=112.90~113.00円とややドル高・円安の動き
米主要株価指数
- ニューヨークダウ30種:26,430ドル(前日比:‐56ドル)
- S&P500種株価指数:2,880ポイント(前日比‐4)
- ナスダック総合指数:7,738ポイント(前日比+2)
- 米フィラデルフィア半導体指数(SOX指数):1,300ポイント(前日1,301ポイント)
- 米VIX指数(恐怖指数):15.95(前日15.69)
S&P500種株価指数の主な上昇・下落業種
- 上昇:エネルギー、公益、不動産など
- 下落:素材、資本財・サービス、金融など
ニューヨークダウ30種平均への主な上昇寄与度・下落寄与度銘柄
(ダウ平均変動幅への影響)
- 上昇寄与:アップル、ウォルマート・ストアーズ、マクドナルドなど
- 下落寄与:キャタピラー、ユナイテッド・テクノロジーズ、スリーエムなど
国際商品市況
- ニューヨークWTI原油先物
1バレル=74.96ドル(前日比+0.67ドル)
- ニューヨーク金先物
1トロイオンス=1,195ドル(前日比+2.9ドル)
データを参照したサイト
https://nikkei225jp.com/nasdaq/
金融市場に影響したと思われる材料
- IMFは9日、2018年の世界経済見通しの改定値を発表。18年の世界経済の成長率見通しは前回7月の見通しと比べて0.2ポイント下方修正の3.7%成長とした。貿易戦争がさらに悪化すれば世界景気は19年以降に最大0.8ポイント下振れするリスクがあると警告。IMFによる世界経済見通しの下方修正は16年7月以来、約2年ぶり→IMFは最近、米国の金融引き締め、新興国からの資金流出、トランプ米政権の対中追加関税等貿易政策による成長率の下振れリスクに警鐘を鳴らしている。中立的な機関であるIMFの2年ぶりの経済成長率の下方修正はグローバル投資家のアセットアロケーションに影響をあたえるため、注意深く見守りたい
参照したサイト(IMF世界経済見通しの改定)
https://www.imf.org/ja/Publications/WEO/Issues/2018/09/24/world-economic-outlook-october-2018
- 米インフレ期待は横ばい。米ニューヨーク連銀が発表した米インフレ期待(9月調査)は、1年先、3年先ともそれぞれ中央値で+3%となった。8月調査と見通しは変わらず。消費者の間で物価の安定が意識されている模様→インフレ期待が安定していることは米債券市場の安心材料
- 米9月のNFIB中小企業楽観度指数は107.9となった。市場予想(108.9)や前回(108.8)よりもやや低下したが、依然として歴史的に高い水準にあり、米中小企業の経営者心理は良好な状況が継続している→中小企業は国内売上高比率が高いため、米内需の強さを示唆し、米株式市場の好材料
参照したサイト(中小企業楽観度指数)
https://jp.investing.com/economic-calendar/nfib-small-business-optimism-537
- 米住宅ローン金利30年物固定が8年ぶり5%台に乗せた。米金利上昇を受けたものだが、1年前の3%台後半、2015年は3.5%以下だった→今後じわじわと米住宅市場の逆風になるリスクがあり、月次の住宅関連指標に注意が必要
当面の東京市場のポイント
- 9日の日経平均は9月19日に空けた窓埋め(23,672円~23,481円)を達成した。他のテクニカル指標では日経平均の25日移動平均値(23,343円)に+0.5%まで接近したほか、200日移動平均線(22,505円)とのかい離は+4.2%まで縮小した。ストキャスティクス(ファースト)は12%まで低下したが、騰落レシオ(25日移動平均)は96%。徐々に市場の過熱感は沈静化しつつある
- 日経平均は先週の高値24,448円から9日の安値までほぼ1,000円超下落、値幅調整もそれなりに進んだ感はある。ニューヨークダウは下げ止まる兆しを見せるが、金利上昇で相対的に高いPERの調整を余儀なくされたナスダック総合が下げ止まるかがポイント。
- 今週は米国の9月分の生産者物価、輸入物価、消費者物価が公表され、原油高や対中制裁関税の影響でインフレ指標の伸び率が予想以上に上振れる可能性も否定できず、まだ予断を許さない。
- 日銀は5日に続き、9日も大規模ETFを買い入れており、相場が乱高下する局面での買いが継続する見通し
9日の東京株式市場
主要株価指数
- 日経平均株価:23,469円 (前日比‐314円)
- TOPIX:1,761ポイント(前日比‐31)
相場のポイント
- 9日の日経平均は4日大幅続落、前日比-314円で引けた
- 前日の米株式市場でハイテク中心にナスダック総合が下落したことで半導体関連や電子部品関連に売りが膨らんだ
- 1ドル=112円台後半までドル安・円高が進んだことが嫌気され、TOPIX業種別では電機が1位、自動車など輸送機器が2位の下落となった
- 中国人民銀行は景気対策のひとつとして預金準備率を引き下げたが、中国人民元や上海総合指数の下落で中国リスクが意識され、海運や機械・FA関連など中国関連も見送られた
- 朝方、東証の一部システム障害が発生し、40社弱の証券会社で注文を受け付けできない状況となったことも投資家の様子見姿勢を強めた
- 菱地所や三井不など不動産が逆行高となったほか、ユニー・ファミマやしまむらなど消費関連がしっかりでファーストリテイは1銘柄で日経平均を25円押し上げた
- 日銀は9日、インデックス型の大規模ETFを703億円買い入れた(5日に続き10月で2回目)
参照したサイト(日銀ホームページ)
http://www3.boj.or.jp/market/jp/menu_etf.htm
主要な市場内指標
- NT倍率(日経平均÷TOPIX):13.33倍(前日13.27倍)
- 東証1部売買代金:3兆380億円
- 東証1部年初来高値銘柄数/年初来安値銘柄数:27/139
- 東証1部値上がり銘柄数/値下がり銘柄数:247/1,823
- 東証1部騰落レシオ(前日):96.39(前日103.89)
- TOPIX33業種
上昇上位:不動産のみ1業種
下落上位:電気機器、輸送用機器、鉱業など32業種
- 日経平均寄与度(日経平均の変動幅に影響した値幅)
上昇寄与度:ファーストリテイ+25円、ユニー・ファミマ+19円、キッコーマン+2円など
下落寄与度:ソフトバンクG-41円、東エレク-25円、ファナック-19円など
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