メルマガ
マーケットコメント
2018年10月2日 【米国とカナダのNAFTA再交渉の合意で投資家心理改善】
10月1日(月)のニューヨーク金融市場
相場のポイント
- NYダウは大幅に3日続伸。北米自由貿易協定(NAFTA)の見直し交渉で、米国とカナダが合意したことで不透明感が後退、投資家心理が大幅に改善。ダウは一時298ドル高まで上昇した
- 素材や資本財、自動車など貿易交渉の影響を受けやすい銘柄を中心に買いが優勢
- 原油価格が大幅に上昇したことで資源関連も堅調
- 米長期金利が高止まりしており金融株にも見直し買い
- ナスダックは小幅に反落
- 為替相場は1ドル=114円台に迫る
米長期金利
- 10年国債利回り3.08%(前日3.07%)とほぼ横ばい
貿易摩擦の懸念後退で安全資産とされる米国債には売り
ニューヨーク為替相場
- ドル/円相場1ドル=113.98円(前日113.69円)とドル高・円安
米主要株価指数
- ニューヨークダウ30種:26,651ドル(前日比+192ドル)
- S&P500種株価指数:2,924ポイント(前日比+10)
- ナスダック総合指数:8,037ポイント(前日比‐9)
- 米フィラデルフィア半導体指数(SOX指数):1,370ポイント(前日1,366ポイント)
- 米VIX指数(恐怖指数):12.00(前日12.12)、投資家心理は一段と改善
S&P500種株価指数の主な上昇・下落業種
- 上昇:エネルギー、素材、資本財・サービスなど
- 下落:不動産、公益事業、一般消費財など
ニューヨークダウ30種平均への主な上昇寄与度・下落寄与度銘柄
(ダウ平均変動幅への影響)
- 上昇寄与:ボーイング、ユナイテッドヘルス・グループ、シェブロンなど
- 下落寄与:インテル、トラベラーズ・カンパニーズ、ウォルト・ディズニー
国際商品市況
- ニューヨークWTI原油先物
1バレル=75.3ドル(前日比+2.05ドル)
一時75.77ドルと14年11月以来、約3年10カ月ぶりの高値。米・カナダのNAFTA再交渉の合意で不透明感後退
- ニューヨーク金先物
1トロイオンス=1,191ドル(前日比‐4.5ドル)
データを参照したサイト
https://nikkei225jp.com/nasdaq/
金融市場に影響したと思われる材料
- トランプ米政権は30日、NAFTA再交渉でカナダと合意したと発表。既に合意済みのメキシコと合わせて3カ国協定を維持したうえで再交渉を妥結→米貿易問題の不透明感が後退、リスクオン材料
- 9月の米ISM製造業景況指数は59.8と先月より1.5ポイント低下。2カ月ぶり低下だが、依然として好不況の50を大きく超えており米国の企業センチメントは良好→米長期金利を支える材料
- ノーベル生理学・医学賞、京都大学の本庶祐特別教授と米テキサス大学のジェームズ・アリソン博士に授与すると発表。受賞理由は「免疫抑制の阻害によるがん治療法の発見」。この仕組みを生かした治療薬は小野薬と米大手製薬ブリストル・マイヤーズスクイブが共同開発した「オブジーボ」→株式市場では改めて新薬やバイオ関連、ヘルスケア関連を見直す材料に
参照したサイト(ブリストル・マイヤーズスクイブの株価)
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/us/chart/BMY?ct=z&t=1y&q=c&l=off&z=m&p=m65,m130,s&a=v
参照したサイト(小野薬のホームページからニュースリリース)
https://www.ono.co.jp/jpnw/news/index.html
参照したサイト(小野薬品の最近の値動き)
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/us/chart/OPHLY
当面の東京株式市場のポイント
- 日銀短観9月調査で2018年度の事業計画の前提となる想定為替レートは1ドル=107.40円と6月調査(107.26円)とほぼ変わらずで、足元の為替(114円前後)と比べて大幅な円高を想定。依然として日本企業の収益計画は慎重な前提を置いている
- 大企業製造業の18年度経常利益計画は短観6月調査と比べて減益率が2%ポイント近く縮小(上方修正)、3月期決算企業の9月中間期決算に対する期待は高まった
- 短観の大企業全産業の18年度設備投資計画は前年度比13.4%増と二ケタ増の計画。人手不足への対応やIoTの進展、ビッグデータ・AI投資、セキュリティ対策、自動車の電動化など幅広い投資需要を背景に今回の設備投資は持続性が高い可能性も
参照したサイト(日銀短観)
www.boj.or.jp/statistics/tk/gaiyo/2016/tka1809.pdf
- 9月後半に日本の株式相場は大きく回復したが、昨年末と比較した9月末の株価騰落率は日経平均が+6%、TOPIXは-0.02%とマイナス。ニューヨークダウの+7.0%、S&P500種株価指数の+9.0%、ナスダック総合指数の+16%と比べて大きく劣後している
- 組み入れ比率を大きく低下させた海外投資家の買戻しは継続するとみられ、短期的な過熱感から株式市場が調整に入っても深押しは考えにくい
- マーケットが考える日経平均の上値のポイントは24,600円程度。5月の高値から7月の安値の下落幅を5月高値に上乗せした計算値(倍返し)。一方、安値水準ポイントは23,500円程度。9月19日に空けた窓(23,481~23,670円)埋めが目安
- 日本人のノーベル賞受賞、小野薬ほか医薬品、バイオ、ヘルスケアに物色か
10月1日の東京株式市場
主要株価指数
- 日経平均株価:24,245円 (前日比+125円)と2日続伸
- TOPIX:1,817ポイント(前日比+0.7)と小幅に2日続伸
相場のポイント
- 日経平均は続伸し前週末比125円高の24,245円で終えた。1月23日以来となる年初来高値を更新し1991年11月13日以来、約27年ぶりの高値更新となった
- トランプ米政権が9月30日NAFTA再交渉でカナダと合意したと発表、ニューヨークダウの先物に買いが入り株価上昇したことで、日本株も上げ幅を拡大
- 為替市場でドル円相場が1ドル=114円台に接近、日銀短観9月調査で大企業製造業の2018年度想定為替レートが107.40円と発表されたことで改めて収益改善期待が高まった
- 前週末の米国市場でインテルなど半導体関連が買われたことで、東京エレク、アドバンテストなど半導体関連が買い戻された
- ニューヨーク原油先物価格が1バレル=73ドル台に上昇したことで、資源関連も物色された
主要な市場内指標
- NT倍率(日経平均÷TOPIX):13.34倍(前日13.27倍)へ上昇
- 東証1部売買代金:2兆4,411億円
- 東証1部年初来高値銘柄数/年初来安値銘柄数:79/38
- 東証1部値上がり銘柄数/値下がり銘柄数:958/1,079
- 東証1部騰落レシオ(前日):127.66%(前日131.65%)
- TOPIX33業種
上昇上位:鉱業、卸売、繊維など16業種
下落上位:陸運、空運、非鉄金属など17業種
- 日経平均寄与度(日経平均の変動幅に影響した値幅)
上昇寄与度:ファーストリテイ+33円、東エレク+12円、ファナック+11円など
下落寄与度:ヤマハ-6円、武田-5円、ソフトバンク-3円
(お願い)
海外市場のデータは取得時のものであり、速報値の可能性があります。
閲覧・購読者自身でご確認いただきますようお願いします。
以上
—– アナリスト・トレーニング —–