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2019年7月30日
半導体市場の底入れは世界の景気敏感株が多い日経平均上昇を後押し(7月30日配信)

メルマガ 2019年7月30日(火)

 

おはようございます。

 

【半導体市場の底入れは世界の景気敏感株が多い日経平均上昇を後押し】

 

 

  • 米フィラデルフィア半導体指数(SOX指数)は先週、再度過去最高値を更新しました。半導体受託製造最大手のTSMC(台湾)や半導体ステッパー最大手ASML(オランダ)が相次いで先行きの業容改善を示唆し、低迷していた半導体市場の底入れ期待が高まりました。昨年10月から12月にかけての世界的株価急落の理由の一つが半導体市場の先行き不透明感だっただけに、世界経済の先行きにも明るい光が見えてきたといえるでしょう。
  • 米SOX指数は変化の早い半導体業界の先行きを1年以上先取りする傾向があります。米SOX指数回復の背景には、韓国の半導体メーカーの減産による米国半導体メーカーへの需要シフト、半導体市況の回復、中国のスマホ市場の底入れ期待などが考えられます。米SOX指数は電機、精密、機械・FAなど世界の景気敏感株が多く採用される日経平均に先行する傾向があり、半導体市場の底入れが確認されれば、日本株の見直し買いが進む可能性があります。
  • 経産省が7月4日、韓国向けの半導体材料3品目(フッ化ポリイミド、レジスト、フッ化水素)の輸出管理の運用見直しを発動しました。韓国の半導体メーカーはこうした半導体材料の在庫は一定量を保有しているはずで、足元の生産にすぐに影響するとは考えにくいですが、数か月後には影響するはずです。韓国の大手半導体メーカー、SKハイニックスは7月25日、2019年のNAND型フラッシュメモリの生産を18年実績に比べて15%減らすと表明しました。
  • ブルームバーグの報道によると、韓国の半導体輸出額が7月1-20日の期間に前年同期比30%減少したと報じました。6月の半導体輸出はすでに同25%も減少しており、極端に悪化したわけではありません。韓国勢によるこうした半導体の生産や輸出が滞る場合、米マイクロン・テクノロジーなど米国のライバル企業に対する発注が増えるとの見方が市場にあり、これは米SOX指数を押し上げる材料となります。これが一つ目の理由です。
  • 二つ目に、7月11日以降、半導体メモリのスポット価格が反発しています。直近安値からDRAM、NANDフラッシュともに1割前後上昇しました。韓国のサムスン電子とSKハイニックスでDRAM市場の73%、NAND型フラッシュ市場の49%のシェアを保有しています。韓国メーカーの供給減が半導体市況に影響している可能性があります。半導体市況の上昇は業界全体にはプラス材料となります。SKハイニックスは7月25日、NANDフラッシュの在庫削減ペースが加速するとの見通しを示しました。また同社はDRAMに関しては、データセンター向けは市場の踊り場となるものの、5Gに対応したスマホ向けのモバイルDRAMの需要増は続くとの見通しを示しました。
  • 最後に中国におけるスマホ市場の底入れです。DRAMやNAND型フラッシュの用途の約4割を占めるスマホの出荷台数は17年10月以降前年同月比マイナスが続いてきましたが、国別で約3割の市場シェアを占める中国では改善の兆しが出てきました。中国のスマホ出荷は1-3月の前年同期比10.7%減から、4-6月期は同0.8%増とプラスに転じました。世界のスマホの更新需要がオリンピックイヤーとなる20年にかけて本格化する場合、半導体市場は本格的な回復が期待できると考えられます。

 

 

【29日の海外市場】

 

リスク回避で米国債が買われ長期金利低下、S&P500種とナスダック総合は反落

 

  • 29日の米金融市場は、長期金利は低下(債券価格は上昇)し、NYダウは前週末比小幅に続伸しました。英政権は28日、EUからの「合意なき離脱」を想定して準備に取りかかる方針を示しました。英10年物国債が買われ、米国債にもリスク回避の買いが入りました。米長期金利は一時2.05%と前日の2.07%から低下しました。
  • NYダウ平均は前週末比28ドル高の27,221ドルと小幅に続伸しました。S&P500種とナスダック総合はともに小幅に反落しました。米FOMCの結果発表を31日に控え、様子見ムードが強まりました。
  • 業績や株価が景気の影響を受けにくいディフェンシブ銘柄の上昇が目立ちました。工業用品のスリーエムや製薬・日用品のジョンソンエンドジョンソン、日用品のプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)などディフェンシブがダウを支えました。半面、ボーイングやゴールドマン・サックスなど金融が下落しました。
  • ハイテク株の比率が高いナスダック総合指数は反落し、前週末比36ポイント(0.4%)安の8,293で引けました。前週末に過去最高値を付けていたこともあり、利益確定売りが優勢となりました。30日に決算発表を控えるアップルは上昇したものの、アルファベット、フェイスブック、アマゾン・ドット・コムが下落しました。投資家の不安心理を示す米VIX指数は12.83と前週末の12.16から小幅に上昇しました。

 

 

米国金融市場の主な指標

 

金利・為替

  1. 米10年国債利回り:2.06%(前日2.07%)
  2. ドル円相場:1ドル=108.75-108.85円(前日108.65-108.75円)

 

株式相場

  1. ニューヨークダウ30種平均:27,221.35ドル(前日比+28.9ドル)
  2. ダウの主な上昇寄与:スリーエム、ジョンソンエンドジョンソン、アップルなど
  3. ダウの主な下落寄与:ボーイング、ゴールドマン・サックス、ファイザーなど
  4. S&P500種株価指数:3,020.97ポイント(前日比-4.8ポイント)
  5. S&P業種別上昇セクター:公益事業、不動産、ヘルスケアなど
  6. S&P業種別下落セクター:金融、一般消費財、コミュニケーションなど
  7. ナスダック総合株価指数:8,293.33ポイント(前日比-36.88ポイント)
  8. フィラデルフィア半導体指数(SOX指数):1,598.02ポイント(前日1,593.86ポイント)
  9. 米VIX指数(恐怖指数):12.83(前日12.16)

 

商品

  1. ニューヨークWTI原油先物1バレル=56.87ドル(前日比+0.67ドル)
  2. ニューヨーク金先物1トロイオンス=1,420.4ドル(前日比+1.1ドル)

 

 

東京株式市場

  • 日経平均株価:21,616.80円(前日比-41.35円)
  • TOPIX:1,568.57ポイント(前日比-2.95ポイント)

 

データを参照したサイト(ダウ30種銘柄の上昇・下落寄与度はこちら↓)

https://nikkei225jp.com/nasdaq/

 

 

 

(お願い)

海外市場のデータは取得時のものであり、速報値の可能性があります。

閲覧・購読者自身でご確認いただきますようお願いします。

 

以上

 

 

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