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メルマガ 2019年7月8日(月)
おはようございます。
【米金融政策を巡る材料に注目】
【5日の海外市場】
市場予想を上回る米雇用統計を受け、NY市場は金利上昇・ドル高、株式市場は利益確定売り
- 5日の米金融市場は、市場予想を上回る米6月雇用統計を受けて利下げ見通しがやや後退、債券が売られ(金利は上昇)、為替市場ではドル高・円安が進みました。債券市場では米長期金利が2.03%と2%台を回復しました。過去最高値圏にあるNY株式市場の主要株価指数は小幅に反落しました。
- NYダウ平均は前営業日比43ドル(0.16%)安い26,922ドルと小幅に反落しました。取引開始前に発表された6月の米雇用統計で非農業部門雇用者の前月比増加数が市場の予想を上回り、米景気の堅調さが確認されました。今月のFOMCで最大0.5%程度の大幅利下げを見込んでいた市場の期待が後退し、株価は利益確定売りに押されました。ダウ平均の下げ幅は一時同230ドルまで広がりました。
- S&P500種指数は前営業日比5ポイントの小幅反落となりました。セクター別では金利上昇で利ざやが広がる期待から金融が買われた他、コミュニケーション、一般消費財が買われました。半面、これまでの長期金利が低下する局面で相対的に魅力が高まっていた高配当利回り銘柄が多いヘルスケア、不動産(リート)、素材が売られました。ジョンソンエンドジョンソン、メルク、ファイザー、スリーエムなどの下落が目立ちました。
- ハイテク株の比率が高いナスダック総合指数は同8ポイント安となりました。半導体関連はインテル、ブロードコム、ザイリンクス、エヌビディアなどが下落し、フィラデルフィア半導体指数(SOX指数)は前営業日比0.6%下落しました。投資家の不安心理を示す米VIX指数は13.28と前営業日の12.59からやや上昇しました。
米国金融市場の主な指標
金利・為替
- 米10年国債利回り:2.03%(前日1.95%)
- ドル円相場:1ドル=108.45-108.55円(前日107.80-107.90円)
株式相場
- ニューヨークダウ30種平均:26,922.12ドル(前日比-43.88ドル)
- ダウの主な上昇寄与:ユナイテッドヘルス・グループ、ゴールドマン・サックス、ボーイングなど
- ダウの主な下落寄与:スリーエム、ジョンソンエンドジョンソン、メルクなど
- S&P500種株価指数:2,990.41ポイント(前日比-5.41ポイント)
- S&P業種別上昇セクター:金融、コミュニケーション、一般消費財など
- S&P業種別下落セクター:ヘルスケア、不動産、素材、資本財・サービスなど
- ナスダック総合株価指数:8,161.79ポイント(前日比-8.44ポイント)
- フィラデルフィア半導体指数(SOX指数):1,461,70ポイント(前日1,470.49ポイント)
- 米VIX指数(恐怖指数):13.28(前日12.59)
商品
- ニューヨークWTI原油先物1バレル=57.51ドル(前日比+0.17ドル)
- ニューヨーク金先物1トロイオンス=1,400.1ドル(前日比-20.8ドル)
マーケットが注目したと思われる主な材料
- 米国の6月の非農業部門雇用者数は前月比22.4万人増と市場予想(16.3万人)を大幅に上回った。失業率は3.7%と49年ぶりの水準だった前月から0.1ポイント悪化した。ただし、労働参加率が0.1ポイント上昇し62.9%と3月以来の高水準になった影響が大きかった。参加率が横ばいだった場合は、3.5%に低下していた計算になる。平均時給は前月比では0.2%増(市場予想0.3%増)、前年同月比3.1%増と市場予想(3.2%増)を若干下回るが依然として3%台の伸び率を維持している。インフレ率を上回る平均時給の上昇は実質ベースの購買力を高め、米個人消費を支えると考えられる。
- 米FRBは5日、米議会に半期ごとに提出する金融政策報告書(通称ハンフリー・ホーキンス報告書)を公表した。「経済成長の持続へ適切な行動をとる」と明記し、景気の下振れ懸念が拭えなければ、早期に利下げに踏み切る考えを強調した。貿易戦争などで「設備投資が鈍化している」と警戒感をにじませた。金融市場は7月30~31日の米FOMCで利下げに踏み切ると予測しているが、同議長が金融緩和に転じる時期をどこまで明示するかが焦点となる。
【今週のポイント】 (7月8日-7月12日)
米金融政策を巡る材料に注目
- 今週はFRBの金融政策を巡る材料が注目されます。注目された6月の米雇用統計で非農業部門雇用者数の前月比増加幅が市場予想を上回ったことで、大幅な利下げ期待が後退しました。金融市場では7月FOMCでの利下げ幅を雇用統計発表前まで30~40%程度の参加者が0.5%と予想していましたが、雇用統計後は0.25%が95%程度となり、5日の米金融市場では長期金利が2%台に乗せ、為替相場は1ドル=108.45円で引けました。
- 今週は10日のFOMC議事要旨(6月分)の公表が注目されます。6月の米金融市場は、4日のパウエルFRB議長の「景気拡大を持続させるため適切に行動する」とした発言がきっかけで債券相場が買われ(金利低下)、株価が上昇するきかっけとなりました。そしてFOMC(18-19日)を受け株価上昇が加速、先週はNYダウ平均、S&P500種、ナスダック総合がそろって過去最高を更新しました。
- また10日は米FRBのパウエル議長による半期に一度の議会証言が下院で行われます(上院は11日)。FRBは従来からデータを重視すると述べており0.5%の大幅利下げを示唆するにはインフレ率の大幅鈍化など新たな材料が必要ですが、現時点でそこまでの材料は不足しています。逆に言えば、パウエル議長が0.5%の利下げを示唆する発言をすれば、為替市場でサプライズとなります。
- 企業収益などミクロの統計も注目されそうです。四半期決算の発表が近づき徐々に収益に対する関心も高まりそうです。今週はファーストリテイなど小売りセクターが中心ですが、11日にハイテクセクターの先陣を切って安川電の決算発表があります。対中関税拡大後の動向が注目され、内容次第で他の機械・FA関連株にも影響が出そうです。
- 週末にはオプションのSQを控えており、全般薄商いのなか、先物主導で株価の変動がやや大きくなる可能性も考えられます。
- 日経平均(4日の引け値21,746円)の価格ポイントは以下の通りです。
【下値のポイント】
21,600~21,700円(200日移動平均線、週足先行スパン)
21,300~21,400円(13週移動平均線、75日移動平均線、日足転換線、日足先行スパン、週足先行スパン)
21,200円前後(25日移動平均線、26週移動平均線、週足転換線)
【上値のポイント】
21,875円(5月7日と5月8日のマド埋めレベル)
22,307円(4月25日高値)
NYダウ平均(5日の引け値26,922ドル)の価格ポイントは以下の通りです。
【下値のポイント】
26,700ドル前後(日足の転換線26,715ドル)
26,200ドル(25日移動平均線、13週移動平均線)
25,700~25,800ドル(1年移動平均線、日足基準線、26週移動平均線、週足転換線)
【上値のポイント】
26,951ドル(18年10月3日のザラ場高値)
今週の重要イベント
(7月8日-7月12日)
8日(月)
- 米5月の消費者信用残高
- 【米中貿易協議】再開?(週内、北京・報道)
- ユーロ圏財務相会合
- OECD景気先行指数
- 5月機械受注統計(内閣府)
- 6月景気ウォッチャー指数
9日(火)
- 米5月求人労働異動調査(JOLT)
- FRB、銀行ストレステスト「透明性と効果」検証会合
→パウエル議長ビデオ挨拶
→クオールズ副議長講演
- EU財務相理事会
- 半導体製造装置国際会議「セミコンウエスト」(~11日、サンフランシスコ)
- 5月毎月勤労統計
- マネーストック
- 6月工作機械受注
10日(水)
- 米FOMC議事録(6/18-19分)
- 米5月卸売在庫(確報値)
- パウエルFRB議長、「下院」半期議会報告→「上院」は11日
- 【ロシア疑惑】フリン元大統領補佐官らの議会証言→下院情報委要請中
- EU夏季経済予測発表
- 中国6月CPI
- 企業物価指数
11日(木)
- 米新規失業保険申請件数(7/5)
- 米6月のCPI
- 米6月の月次財政収支
- クオールズFRB副議長、討議に参加
- ウィリアムズNY連銀総裁講演
- 英中銀半期金融安定化報告→カーニー総裁会見
- ECB理事会議事録(6/6分)
- ホワイトハウス主催「ソーシャルメディア・サミット」→デジタル業界トップ参集?
- オフィスビル市況
- 第3次産業活動指数
12日(金)
- 米6月PPI
- 中国6月貿易収支
- インド鉱工業生産指数
- オプションSQ
(注)太字は注目されるイベント
(予定であり変更の可能性があります)
東京株式市場
- 日経平均株価:21,746.38円(前日比+43.93円)
- TOPIX:1,592.58ポイント(前日比+2.8ポイント)
データを参照したサイト(ダウ30種銘柄の上昇・下落寄与度はこちら↓)
https://nikkei225jp.com/nasdaq/
(お願い)
海外市場のデータは取得時のものであり、速報値の可能性があります。
閲覧・購読者自身でご確認いただきますようお願いします。
以上
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