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2019年6月21日
【米FOMCと日銀金融政策決定会合のマーケットの評価】(6月21日配信)
メルマガ 2019年6月21日(金)
おはようございます。
【米FOMCと日銀金融政策決定会合のマーケットの評価】
【20日の海外市場】
S&P500種が過去最高値を更新、利下げ期待が追い風
- 20日の米金融市場は早期利下げ期待から債券相場が買われ(金利は低下)、NY市場の主要株価指数は大幅に続伸しました。ECBの追加緩和期待からドイツの債券相場が買われた流れが米国に波及、フィラデルフィア連銀の製造業景況指数が予想を下回ったこともあり米長期金利は一時1.97%と2%割れ、16年11月以来の水準まで低下しました(大引けは2.02%)。ドル円相場は1ドル=107.25円までドル安・円高となりました。
- S&P500種指数は前日比27ポイント(0.95%)高の2,954まで上昇し、4月末に付けた過去最高値を更新しました。セクター別では11セクターすべてが上昇しました。なかでもエネルギー、資本財・サービス、情報技術、生活必需品などが買われました。
- NYダウ平均は4日続伸、前日比249ドル(0.94%)高の26,753ドルで引けました。4月23日に付けた年初来高値を更新し、昨年10月に付けた過去最高値(26,828ドル)にあと70ドルあまりに迫りました。
- 米中の貿易協議の進展への期待感から中国売上高比率が高いボーイングが前日比1.7%上昇し、建機のキャタピラーが同2.3%高、工業用品のスリーエムは1.8%高と買われました。28~29日の20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)では米中首脳会談も開かれる見通しで、貿易協議が前進するとの期待が株価を押し上げました。住宅関連のホームデポが同1.5%高、ユナイテッド・テクノロジーズが同2.5%高と買われ、この5銘柄でダウ平均を約127ドル押し上げました。イラン情勢を受けて原油先物相場が大きく上昇し、エクソンモービル、シェブロンなど石油関連株も買われました。
- ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は反発し、前日比64ポイント(0.8%)高と続伸しました。アップルやアルファベット、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム、ネットフリックスといった大型IT関連が堅調でした。インテル、クアルコム、ブロードコム、ザイリンクスなど大手半導体も買われました。フィラデルフィア半導体指数(SOX指数)は前日比0.98%上昇しました。投資家の不安心理を示す米VIX指数は14.75と前日14.33からやや上昇しました。
- イランが原油輸送の要衝であるホルムズ海峡近くで米軍の偵察用ドローンをミサイルで撃ち落としたと報じられ、NY市場のWTI原油先物は前日比2.89ドル(5.4%)高と急騰、1バレル=56.65ドルで取引を終えました。一時57ドル台を付ける場面がありました。
- NY金先物相場は大幅反発、前日比48.1ドル高の1トロイオンス=1396.9ドルで引けました。20日の時間外取引では1397.7ドルと2013年9月以来、約5年9カ月ぶりの高値を付けました。FRBの金融緩和期待を受けドル安を見込んだ買いが入りました。
米国金融市場の主な指標
金利・為替
- 米10年国債利回り:2.02(前日2.02%)
- ドル円相場:1ドル=107.25-107.35円(前日108.05-108.15円)
株式相場
- ニューヨークダウ30種平均:26,753.17ドル(前日比+249.17ドル)
- ダウの主な上昇寄与:ボーイング、ホームデポ、スリーエム、キャタピラーなど
- ダウの主な下落寄与:ユナイテッドヘルス・グループ、メルク、ベライゾンなど
- S&P500種株価指数:2,954.18ポイント(前日比+27.72ポイント)
- S&P業種別上昇セクター:エネルギー、資本財・サービス、情報技術など
- S&P業種別下落セクター:なし
- ナスダック総合株価指数:8,051.34ポイント(前日比+64.02ポイント)
- フィラデルフィア半導体指数(SOX指数):1,421.03ポイント(前日1,407.30ポイント)
- 米VIX指数(恐怖指数): 14.75(前日14.33)
商品
- ニューヨークWTI原油先物1バレル=56.65ドル(前日比+2.89ドル)
- ニューヨーク金先物1トロイオンス=1,396.9ドル(前日比+48.1ドル)
マーケットが注目したと思われる主な材料
- 米新規失業保険申請件数(15日終了週)は前週比6,000件減の21.6万件と、市場予想の22万件を下回った。米失業保険受給総数は166.2万件と市場予想の168.8万件を下回った。労働市場の基調的強さは維持されている模様。米中貿易摩擦の高まりを受けた解雇増加の兆しを見極めるため、失業保険申請件数が注視されている。
- 米フィラデルフィア連銀製造業業況指数は0.3と、2月以来の水準に低下した。米国と貿易相手国の対立が高まる中、5月の16.6から大幅に落ち込んだ。市場予想は10.5だった。新規受注指数は前月の11.0から8.3に、雇用指数は18.2から15.4に低下した。業況6カ月予測指数は19.7から21.4に上昇した。同指数は、マイナス圏になると同地区の製造業で景況感が悪化していることを示す。17日に発表されたニューヨーク連銀が発表したNY州製造業業況指数も過去最大の落ち込みを記録。この日のフィラデルフィア地区と合わせ、貿易摩擦が米企業の打撃になっていることを示唆した。FRBの年内の利下げを後押しする材料となる。
【今日のポイント】
米FOMCと日銀金融政策決定会合のマーケットの評価
- 米FRBは19日まで開催したFOMCで現状の政策金利の据え置きを決定しました。ただし、声明文やパウエル議長の会見を通じて、FRBが景気や物価の下振れリスクへの警戒感を強めていることや、利下げなど金融緩和に前向きな姿勢であることが確認されました。
- 米債券市場では次回7月のFOMC会合で利下げが実施される確率が100%に達しました。年内3回程度の利下げも織り込まれています。マーケットの反応としては、米国債利回りは短期債中心に大きく低下しました。米国株式の上昇は限定的でしたが、NYダウは史上最高値に迫るなど事前に織り込まれていたためと思われます。
- FRBが景気・インフレ動向に配慮して政策運営をすることが再確認されたことは市場の安心材料となります。今後は米国の実体経済がどこまで悪化するのかに注目が集まりそうです。この点で、7月1日のISM製造業景況指数と5日の米雇用統計が注目されます。指標次第で7月の利下げの評価につながりそうです。
- 日銀は19-20日に開いた金融政策決定会合で金融政策の現状維持を賛成多数で決めました。政策金利については「少なくとも2020年春頃まで、現在のきわめて低い長短金利の水準を維持することを想定している」としたフォワードガイダンス(先行き見通し)を継続することになりました。
- 国債買い入れについては、保有残高の増加額が「年間80兆円をめどとしつつ、弾力的な買い入れを実施する」としました。上場投資信託(ETF)の保有残高を年約6兆円、不動産投資信託(REIT)を年約900億円に相当するペースで増加するよう買い入れることなどを全員一致で決めました。FRBが利下げ姿勢を強めたため、為替市場に配慮した格好です。
- 日銀の政策決定を受けて20日の東京外為市場でドル円相場は108円台を割り込み、107.72円台まで円高・ドル安が進みました。しかし、日経平均は前日比128円高と続伸しました。ETFの買い入れ継続が安心材料となった可能性があります。日銀短観3月調査の2019年度想定為替レート108.87円を割り込んだものの、株式市場が粘り腰を見せるなど下方抵抗力があるのか注目されます。米国が景気後退になる前に利下げを実施し、予防的な政策対応が米景気を延命させる可能性に期待を持ち始めている可能性があります。
- 次の注目点は今月末のG20首脳会議で開催される予定の米中首脳会談です。米国がほぼすべての中国製品に制裁関税を課す「第4弾」の発動がひとまず見送られるかがポイントです。米中首脳の電撃和解は期待しにくいものの、通商摩擦の泥沼化は双方が望まない最悪シナリオです。「関税引き上げ合戦の一時停止」と「平和な対話による交渉継続」などの一致点は考えられます。過去は米中首脳会談後に両国の緊張が一旦緩和してきたことを踏まえれば、関税発動が延期される可能性はあると考えられます。
東京株式市場
- 日経平均株価:21,462.86円(前日比+128.99円)
- TOPIX:1,559.90ポイント(前日比+4.63ポイント)
データを参照したサイト(ダウ30種銘柄の上昇・下落寄与度はこちら↓)
https://nikkei225jp.com/nasdaq/
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