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2019年6月10日
【日経平均は底打ちから戻りを試す展開、その後は日米貿易協議を控え様子見姿勢が高まる可能性】(6月10日配信)

メルマガ 2019年6月10日(月)

 

おはようございます。

 

【日経平均は底打ちから戻りを試す展開、その後は日米貿易協議を控え様子見姿勢が高まる可能性】

 

 

【7日の海外市場】  

 

NYダウは一時352ドル高、メキシコ関税見送り発表を好感

 

  • 7日の米金融市場は、5月の米雇用統計が市場予想を下回ったことを受けFRBの利下げ期待が一段と高まり、債券と株式が同時に買われる展開となりました。米国とメキシコの協議の進展が伝えられ、対メキシコ関税が回避されたことも投資家心理を改善させました。
  • 利下げ期待を受け米10年国債利回りは一時2.05%と、17年9月上旬以来の水準に低下しました。金融政策の影響を受けやすい米2年物国債利回りも1.77%と17年12月以来の低水準を付けました。NY株式市場の主要3指数はそろって1%以上の上昇となりました。ドルは他通貨に対して下落しました。
  • シカゴCMEのフェド・ウォッチが示す7月FOMCでの利下げ確率は68%から85%に上昇しました。米金利の先安観が強まったことで、ドル円相場は前日の108.40円から一時107.88円までドル安・円高が進みました。
  • NYダウ平均は5日続伸し、前日比263ドル(1.02%)高の25,983ドルで終えました。ダウは一時前日比352ドル高の2万6,072ドルと5月6日以来の26,000ドルの大台に乗せました。ダウの週間の上昇幅は1,168ドルとなり、過去2番目の大きさとなりました。
  • ダウ採用銘柄では医療保険大手のユナイテッドヘルス・グループが前日比2.0%高、アップルが同2.6%高、マイクロソフト同2.8%高、ビザは同1.8%高、ボーイングは同0.8%と指数の上昇をけん引し、この指数寄与上位5銘柄でダウ平均を約131ドル押し上げました。
  • S&P500種指数は公益事業と金融以外すべて値上がり。情報技術、一般消費財、コミュニケーションが値上がり上位業種です。
  • インテル、クアルコム、AMD、ブロードコムなど大手半導体関連が軒並み上昇しフィラデルフィア半導体指数(SOX指数)は前日比1.15%上昇しました。
  • アルファベット、アマゾン・ドット・コム、フェイスブック、ツイッタ-など大手IT関連も前日比2~3%上げ、ナスダック総合をけん引しました。PER(株価収益率)が高く投資指標面で割高感があるハイテク株の上昇率が高くなっています。金利低下が株式市場への資金流入を促し、株価を押し上げる「金融相場」の様相が強まっています。

 

 

米国金融市場の主な指標

 

金利・為替

  1. 米10年国債利回り:2.08%(前日2.11%)
  2. ドル円相場:1ドル=108.18-108.19円(前日108.36-108.37円)

 

株式相場

  1. ニューヨークダウ30種平均:25,983.94ドル(前日比+263.28ドル)
  2. ダウの主な上昇寄与:ユナイテッドヘルス・グループ、アップル、マイクロソフトなど
  3. ダウの主な下落寄与:JPモルガン・チェース、ベライゾン
  4. S&P500種株価指数:2,873.34ポイント(前日比+29.85ポイント)
  5. S&P業種別上昇セクター:情報技術、一般消費財、コミュニケーションなど
  6. S&P業種別下落セクター:公益事業、金融
  7. ナスダック総合株価指数:7,742.10ポイント(前日比+126.55ポイント)
  8. フィラデルフィア半導体指数(SOX指数):1,378.81ポイント(前日1,363.13ポイント)
  9. 米VIX指数(恐怖指数):16.3(前日15.93)

 

商品

  1. ニューヨークWTI原油先物1バレル=53.99ドル(前日比+1.40ドル)
  2. ニューヨーク金先物1トロイオンス=1,346.1ドル(前日比+3.4ドル)

 

 

米国市場に影響したと思われる主な材料

 

 

  • 5月の米雇用統計は、非農業部門の就業者数が前月比7万5,000人増にとどまった。増加幅は前月(22万4,000人)から急減し、市場予測(約18万人)も下回った。直近3カ月でみると月平均15万1,000人の増加で、月平均22万人のペースで増えた2018年と比べて減速傾向にある。失業率は前月と同じ3.6%で1969年12月(3.5%)以来約49年ぶりの低水準となった。平均時給は前年同月比3.1%上昇した。今週発表されたADP雇用統計(民間版雇用統計)も市場予想を下回っており、今後注意深く見る必要がある。
  • 4月の米消費者信用残高は4兆699億ドルで、前月から175億ドル増加した。市場予測(110億ドル程度)を上回った。年率換算の前月比では5.2%増加し、2018年11月以来5カ月ぶりの高い伸びとなった。同指標はローンなどの借り入れによる個人消費の動向を示す。クレジットカードなど「リボルビング払い」ローンは7.9%増えた。自動車ローンや教育ローンなど「非リボルビング払い」ローンは4.2%増えた。米国の個人消費は引き続き旺盛であることを示している。

 

 

【今週のポイント】 (6月10日-6月14日)

 

日経平均は底打ちから戻りを試す展開、その後は日米貿易協議を控え様子見姿勢が高まる可能性

 

  • 今週の東京株式市場は日経平均が底値を固める展開が予想されます。トランプ大統領は7日、10日に予定していたメキシコからの全輸入品に対する5%の関税発動を「無期限」で見送ると発表したため、7日のNYダウは前日比260ドル超の上昇となりました。
  • シカゴCME先物は21,035円と21,000円の大台に乗せており、本日の東京市場でも買い先行で始まる見込みです。今週は短期的な戻りを試す展開が予想されます。ただし買戻し一巡後は様子見姿勢が強まると予想されます。
  • 米国のメキシコからの輸入は2018年で3,465億ドルと中国の5,395億ドルに次ぐ2位。しかし名目GDPは中国の約13.4兆ドルに対してメキシコは約1.2兆ドルと10分の1の規模しかなく、関税がかけられた場合の経済の影響はメキシコにとって甚大です。
  • 完成車メーカーは部品をメキシコの工場で製造→米国の工場に送り部品の加工→メキシコの工場に戻し中間製品組み立て→米国の工場に送り完成品に組み立て、など両国の工場を複数回やり取りするケースも多く、そのたびにメキシコからの輸入に関税がかかると完成車メーカーの利益が吹っ飛ぶほどのインパクトになると懸念されていました。
  • トランプ大統領のメキシコに対する関税計画表明直後から米与党・共和党内から反対論が噴出し、米産業界からも一斉に取り下げを求める声も多く出ました。NAFTAに代わる新協定の批准にも支障が出かねず、政権内にも異論が強く出たことから結局見送られました。日米の自動車メーカーにとっては不透明材料が一つ後退したことで、株価は買戻しの動きが強まるでしょう。
  • 市場の関心は金融政策に向かっています。パウエルFRB議長が4日、「景気の拡大を維持するため、適切に行動する」と発言して以来連騰が続き、7日のNYダウは3日の引け値と比べ1,164ドルも上昇しました。債券市場の参加者は7月までに利下げすることを8割ほど織り込んでおり、株式市場では半導体や大型IT株など高PER銘柄が買われる金融相場的な動きとなっています。
  • 今週は13日から始まる英国の保守党次期党首選や、日米貿易交渉も始まる予定で週後半は海外のニュースフローに振らされやすい状況となることが考えられます。しかし緩和期待にサポートされることから、下値不安は限られると見られます。
  • 国内では工作機械受注、景気ウォッチャー調査、法人企業景気予測調査の発表があります。景気減速感が強まる内容であれば消費増税延期論や衆参同日選の思惑が高まり、相場期待材料となるかもしれません。15日は対中追加関税10%→25%徴収猶予延長期限となるため、何らかの動きがでるか注目されます。
  • 当面の日経平均(7日の引け値20,884円)の価格ポイントは以下の通りです。上値はまず25日移動平均線21,146円を早く上回ることが重要です。そして日足の基準線21,312円、週足の転換線21,358円が意識されます。下値は日足の転換線20,793円にサポートされやすいと思われます。
  • ドル円相場は日経平均と連動して動くため注目されます。6月4日に107.85円と1月4日の107.52円と並ぶ円高となりましたが、そこから切り返しました。107円台で「ダブルの安値」を付けるような形です。日足転換線の水準108.83円を早く上回ることが重要です。25日移動平均線109.53円や日足の先行スパン(雲)の下限109.60が当面の上値抑制ポイントとなります。米利下げ懸念が強まっているため、ドルの上値は重そうですが、株高がリードするリスクオンとなれば円安の可能性もあります。
  • NYダウ平均(7日の引け値25,983ドル)は、7日までの5日連続上昇で下値不安が後退しました。日足一目均衡表は転換線(25,376ドル)、基準線(25,607ドル)を上回り先行スパン(雲)の下限25,951ドルも超えてきました。転換線も上向きに転じました。
  • 週足の一目均衡表も転換線、基準線を超え、チャートのバランスが改善したと言えます。移動平均線は25日、75日、200日線も上回りました。移動平均線は各期間の平均買いコストとも言えるため、この水準を上回ってきたことで投資家の心理が改善しています。次の上値のポイントは日足の先行スパン(雲)の上限である26,249ドル、そして4月の高値26,695ドルなどです。
  • より広い銘柄で構成するS&P500種は中期的なトレンドを見るうえで最も重要な200日移動平均線を回復しました。4月30日に付けた史上最高値2,945ポイントまであと2.5%に迫っています。

 

 

今週の重要イベント

(6月10日-6月14日)

 

10日(月)

  • 米4月求人労働異動調査(JOLT)
  • 【ロシア疑惑・モラー報告書】下院司法委公聴会
  • 【サウジ・ロシア】エネルギー会合(モスクワ)
  • IAEA定例理事会(~14日)
  • 米商務省主催、セレクトUSA投資サミット(~12日)
  • 【英保守党】〈党首選〉立候補締め切り→7月22日の週に選出(方針)
  • 5月中国貿易収支
  • 英鉱工業生産指数
  • 4月の日本の経常収支
  • 1-3月期GDP(二次速報)
  • 5月の景気ウォッチャー調査

 

11日(火)

  • 米5月PPI
  • 【日米貿易交渉】実務者会合(10日~、ワシントン)
  • 【ロシア疑惑・モラー報告書】司法長官/元法律顧問の「議会悔辱罪」決議案下院採決
  • 英失業率
  • OECD景気先行指数
  • 5月マネーストック
  • 5月工作機械受注
  • 世界最大級ゲーム見本市「E3」(世界ゲーム見本市、~13日、ロサンゼルス)

 

12日(水)

  • 米5月CPI
  • 米5月月次財政収支
  • 中国CPI
  • インド鉱工業生産指数
  • ECB主催コンファレンス、ドラギ総裁挨拶、ラガルドIMF専務理事講演(フランクフルト)
  • 4月の機械受注
  • 5月の企業物価指数
  • 安倍首相、イラン訪問(~14日)→【米・イラン対立】仲介?

 

 

13日(木)

  • 米新規失業保険申請件数(6月7日)
  • 5月輸出入物価指数
  • ユーロ圏鉱工業生産
  • 【日米貿易交渉】閣僚級会合(ワシントン)
  • ユーロ圏財務相会合→IMFユーロ圏年次報告書発表
  • 豪州失業率
  • 【英保守党】〈党首選〉党下院銀投票開始
  • 法人企業景気予測調査
  • 第3次産業活動指数
  • オフィスビル市況
  • 米ブロードコム決算

 

14日(金)

  • 米5月小売売上高
  • 米5月鉱工業生産、設備稼働率
  • 米6月ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)
  • 米4月企業在庫
  • 5月中国固定資産投資、鉱工業生産指数、小売売上高
  • EU財務相会合
  • カーニー英中銀総裁の講演
  • 先物・オプションSQ

 

15日(土)

  • 【対中追加関税】10%→25%徴収猶予延長期限

 

(注)太字は注目されるイベント

(予定であり変更の可能性があります)

 

 

東京株式市場

 

  • 日経平均株価:20,884.71円(前日比+110.67円)
  • TOPIX:1,532.39ポイント(前日比+7.48ポイント)

 

 

データを参照したサイト(ダウ30種銘柄の上昇・下落寄与度はこちら↓)

https://nikkei225jp.com/nasdaq/

 

 

(お願い)

海外市場のデータは取得時のものであり、速報値の可能性があります。

閲覧・購読者自身でご確認いただきますようお願いします。

 

以上

 

 

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