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2019年6月5日
【米債券相場の上昇はオーバーシュートの可能性も、巻き戻しに注意】(6月5日配信)

メルマガ 2019年6月5日(水)

 

おはようございます。

 

 

【米債券相場の上昇はオーバーシュートの可能性も、巻き戻しに注意】

 

 

【4日の海外市場】  

 

FRB議長の発言が好感され、ダウ平均は前日比512ドル高

 

  • 4日の米金融市場は、債券市場で長期国債相場が9日ぶりに反落(金利は上昇)し、NY市場の主要3指数は大幅反発となりました。米中通商摩擦がやや和らいだほか、パウエルFRB議長の講演にも反応しました。米長期金利は2.13%と前日の2.07%から上昇、ドル円相場は108円台で取引されました。
  • ダウ工業株30種平均は続伸し、前日比510ドル(2.06%)高の25,332ドルで終えました。S&P500種は同2.1%高、ナスダック総合も同2.6%上昇しました。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が4日の講演で「景気拡大を持続させるため適切な行動を取る」と発言し、FRBが金融緩和で景気を下支えすると受け止められたことも株買いにつながりました。
  • 中国商務省が「(貿易摩擦は)対話によって解決すべきだ」との声明を出し、米中協議再開への期待が高まりました。米共和党議員が米政権によるメキシコ製品への追加関税を阻止すべく動いているとメディアが報道したこともあり、貿易摩擦激化に歯止めが掛かる可能性が意識されました。
  • アップル、マイクロソフト、インテル、IBMなどが前日比2~3%上昇、ボーイングやスリーエムなど中国との取引が大きい銘柄も買われました。米長期金利が上昇したことでゴールドマン・サックス(GS)が同3.6%高、JPモルガン・チェースも同3%上昇するなど金融株が買われたことも相場を押し上げました。GS、ボーイング、アップル、ホームデポ、IBMの5銘柄でダウ平均を193ドル押し上げました。
  • 投資家の不安心理を示す米VIX指数は16.97と前日の18.86から低下しました。ブロードコムやAMD、クアルコムなど半導体関連は大幅高となり、フィラデルフィア半導体指数(SOX指数)は同4.2%高と大幅上昇となりました。
  • ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は前日比194ドル(2.65%)高と大幅反発となりました。アルファベット、フェイスブック、アマゾン・ドット・コムなど大型IT関連が反発しました。

 

 

米国金融市場の主な指標

 

金利・為替

  1. 米10年国債利回り2.13%(前日2.07%)
  2. ドル円相場:1ドル=108.16-108.17円(前日107.99-108.00円)

 

株式相場

  1. ニューヨークダウ30種平均:25,332.18ドル(前日比+512.4ドル)
  2. ダウの主な上昇寄与:ゴールドマン・サックス、アップル、ボーイング、ホームデポなど
  3. ダウの主な下落寄与:ベライゾンコミュニケーション
  4. S&P500種株価指数:2,803.27ポイント(前日比+58.82ポイント)
  5. S&P業種別上昇セクター:情報技術、素材、金融、一般消費財など
  6. S&P業種別下落セクター:不動産
  7. ナスダック総合株価指数:7,527.12ポイント(前日比+194.1ポイント)
  8. フィラデルフィア半導体指数(SOX指数):1,355.26ポイント(前日1,300.52ポイント)
  9. 米VIX指数(恐怖指数):16.97(前日18.86)

 

商品

  1. ニューヨークWTI原油先物1バレル=53.48ドル(前日比+0.23ドル)
  2. ニューヨーク金先物1トロイオンス=1,328.7ドル(前日比+0.80ドル)

 

 

米国市場が注目したと思われる主な材料

 

  • 4月の米製造業新規受注は前月比0.8%減少した。市場予想は0.9%減だった。出荷は2017年4月以来の大幅な落ち込みとなり、製造業の弱含みが続いていることを示唆した。米経済の約12%を占める製造業は、余剰在庫の解消を進める一方で、受注の減少が重石となっている。余剰在庫は売り上げが弱含む自動車業界に集中している。
  • 5月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値は前年比1.2%上昇で、前月の1.7%上昇から伸びが鈍化した。市場予想は1.3%上昇だった。ECBが注目するコアインフレ率も前年比1.0%と、前月の1.4%から鈍化した。ECBは6日に理事会を開催するが、経済支援につながる金融政策が議論される可能性がある。
  • 米FRBのパウエル議長は4日、シカゴ連銀の会議で講演し、「底堅い経済環境下でも物価停滞が続いており、リスクを真剣に受け止めている」と主張した。貿易戦争を懸念して「適切な行動をとる」とも述べ、景気不安が高まれば金融緩和も排除しない考えを表明した。報道によると、パウエル氏は新たな金融緩和策を検討する考えも表明した。「議論が極めて初期の段階」として具体論に言及するのを避けたものの「埋め合わせ(Makeup)戦略」という表現を用いて、金融緩和を長期化させて消費者や企業の期待を高める手法に言及した。

 

 

【今日のポイント】 

 

米債券相場の上昇はオーバーシュートの可能性も、巻き戻しに注意

 

  • 米金融市場では年内の利下げ期待が急速に高まっています。米セントルイス連銀のブラード総裁は3日の講演で「利下げは近く正当化される」と発言したことを受け、3日の米2年国債利回りは1.83%と前日の1.94%から大きく低下しました。1ヵ月前の5月3日の2.335%から見ても急激に低下しており、2017年12月以来1年半ぶりの低水準となりました。
  • 米2年国債利回りは金融政策を反映しやすいと言われますが、3日の利回りは現在のFFレートの中心値である2.375%(2.25-2.50のレンジ)から0.515%も低く、言い換えれば0.25%の利下げを2回分織り込んだことになります。最近の為替市場で急速な円高が進んだ最大の理由です。
  • ブラード総裁は3日の講演で「現在も不確実な状況にある通商問題によって、FOMCは予想されていた以上の減速リスクを抱えている経済に直面している。さらにインフレ率は現行水準も見通しのいずれも引き続き目標を下回っているほか、米国債の利回り曲線(イールドカーブ)は、現行の政策金利が不適当に高い可能性を示唆しているように見える」。さらに「インフレとインフレ期待を目標に近づける一助とするため、そして景気の下振れリスクに備える一種の保険として、政策金利の下方調整は近く正当化されうる」と述べました。この発言直後に2年国債は大きく買い進まれました。
  • 米10年国債利回りは2.10%を下回り3日は2.07%まで低下(債券相場は上昇)しました。10年国債利回りの理論値を求める計算式は、経済の実力を示す「中立金利」、市場が予想する将来のインフレ率である「期待インフレ率」、そして投資家の期待や需給関係などを反映する「プレミアム」の和(合計値)とされますが、最近の金利低下は期待インフレ率とプレミアムの低下が長期金利の低下要因となっています。インフレ率の低下は最近の原油先物価格の急落も反映しているものと思われます。
  • 米10年国債利回りは2018年10月に3.25%まで上昇したあと低下基調にありました。5月1日時点でも2.5%程度の水準にあったことを考えると、最近の低下スピードは異常に早く、債券相場の上昇はややオーバーシュートしている可能性があります。4日にパウエルFRB議長が状況次第では利下げの可能性を否定しなかったことで、利下げは市場に織り込まれたと思われます。9月のFOMCで利下げの可能性はありますが、その前に債券買い・株式売りのポジションが巻き戻される可能性にも警戒したいところです。
  • 5日は次回(6月18-19日)のFOMCの議論のたたき台となるベージュブック(地区連銀経済報告書)の発表、7日は米5月の雇用統計、8日にはG20財務相・中銀総裁会議(~9日)が予定されています。

 

 

東京株式市場

 

  • 日経平均株価:20,408.54円(前日比-2.34円)
  • TOPIX:1,499.09ポイント(前日比+0.13ポイント)

 

データを参照したサイト(ダウ30種銘柄の上昇・下落寄与度はこちら↓)

https://nikkei225jp.com/nasdaq/

 

 

(お願い)

海外市場のデータは取得時のものであり、速報値の可能性があります。

閲覧・購読者自身でご確認いただきますようお願いします。

 

以上

 

 

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