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2019年6月4日
【米国政府が表明したメキシコ製品への追加関税とマーケットの注目点】(6月4日配信)

メルマガ 2019年6月4日(火)

 

おはようございます。

 

【米国政府が表明したメキシコ製品への追加関税とマーケットの注目点】

 

 

【3日の海外市場】  

 

反トラスト法違反の調査の可能性が伝わり大手ネット関連「GAFA」が大幅下落

 

  • 3日の米金融市場は、FRB高官の発言を受け長期金利が一段と低下(債券相場は上昇)、ドルは他通貨に対して下落しました。ドル円相場は一時108円台を割り込みました。NY市場の主要株価指数でNYダウは小幅に反発したものの、反トラスト法違反の調査の可能性が伝わった大型IT関連が軒並み急落し、ナスダック総合は大幅続落となりました。
  • NYダウ平均は小幅に反発し、前週末比4ドル高の24,819ドル引けました。前週末に350ドルあまり下げており、短期的な戻りを見込んだ買いが入りました。大手ハイテク株の下落は市場心理の重荷となりました。
  • ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は120ポイント(1.6%)安の7333と2月以来の安値で終えました。「米当局が反トラスト法(独占禁止法)違反の調査を準備している」と伝わり、アルファベットが同6.1%安、フェイスブックは同7.5%安、アップルも同1%下げました。
  • 為替市場では一時1ドル=107円89銭と1月10日以来の円高となりました。ドイツとイギリスの5月製造業PMIが50を割り込んだ他、米5月のISM製造業景況指数も市場予想をやや下回りました。FRB高官の発言を受けて、利下げ期待が高まり、米長期金利は一時2.06%まで低下しました。日米金利差の縮小を見込み、円買いが進みました。
  • 投資家の不安心理を示す米VIX指数は18.86と前週末の18.7から上昇しました。半導体関連は高安まちまちでフィラデルフィア半導体指数(SOX指数)は1,300と前週比0.33%下落しました。

 

 

米国金融市場の主な指標

 

金利・為替

  1. 米10年国債利回り:2.07%(前日2.12%)
  2. ドル円相場:1ドル=107.99‐108.00円(前日108.36-108.37円)

 

株式相場

  1. ニューヨークダウ30種平均:24,819.78ドル(前日比+4.74ドル)
  2. ダウの主な上昇寄与:シェブロン、ベライゾン、IBM、トラベラーズ・カンパニーズなど
  3. ダウの主な下落寄与:ユナイテッドヘルス・グループ、マイクロソフト、ボーイングなど
  4. S&P500種株価指数:2,744.45ポイント(前日比-7.61ポイント)
  5. S&P業種別上昇セクター:素材、エネルギー、生活必需品、公益事業など
  6. S&P業種別下落セクター:コミュニケーション、情報技術、一般消費財
  7. ナスダック総合株価指数:7,333.02ポイント(前日比-120.13ポイント)
  8. フィラデルフィア半導体指数(SOX指数):1,300.52ポイント(前日1,296.18ポイント)
  9. 米VIX指数(恐怖指数):18.86(前日18.71)

 

商品

  1. ニューヨークWTI原油先物1バレル=53.25ドル(前日比-0.25ドル)
  2. ニューヨーク金先物1トロイオンス=1,327.9ドル(前日比+16.8ドル)

 

 

米国市場に影響したと思われる主な材料

 

  • 5月の米ISM製造業景気指数は52.1と、前月の52.8から低下し、2016年10月以来の低水準を付けた(市場予想は53)。生産指数は前月の52.3から低下し、51.3と16年8月以来の低水準。受注残高指数は17年1月以来初めて50を下回った。一方、新規受注指数は前月からやや持ち直した。雇用指数は53.7と、前月の52.4から上昇した。ISM製造業景況指数は50が製造業景気の拡大・縮小の境目。2018年8月にピーク(60.8)を迎えた後で低下し始めている。
  • 米議会の下院司法委員会は3日、反トラスト法(日本の独占禁止法に相当)違反の可能性を視野に、グーグルやフェイスブックなど「GAFA」と呼ばれる米ネット大手4社の調査を始めると発表した。欧州に続き米国でも巨大IT(情報技術)企業への規制が強まる可能性がある。米司法省と連邦取引委員会(FTC)がハイテク大手の監督任務を分割することで合意。司法省がグーグルの捜査に着手する準備を進めていると、5月31日に最初に伝わった。アルファベット、フェイスブック、アマゾン・ドット・コムなど大型IT関連が大きく下落した。
  • セントルイス連銀のブラード総裁は3日の講演で「米経済は減速懸念が強まっており、近く利下げが正当化されうる」と述べた。FRB高官が早期の利下げ論に言及するのは初めて。同氏の発言を受けて、先物市場では年内の利下げを予測する割合が98%まで高まり、6月中旬の次回会合での利下げも37.5%の割合で織り込んだ。

 

 

【今日のポイント】 

 

米国政府が表明したメキシコ製品への追加関税とマーケットの注目点

 

  • トランプ大統領は5月30日、メキシコが米国への不法移民流入を止めるまで、同国からのすべての輸入品に関税を課すと突如、表明しました。関税は当初5%で6月10日に発効し、メキシコが行動しなければ7月1日に10%、8月1日に15%、9月1日に20%、10月1日に25%まで関税を引き上げるとしました。同時にトランプ大統領は「対策を取れば関税は撤廃する」と述べています。明らかに来年の中間選挙を意識した共和党支持者への選挙対策と言えるでしょう。
  • 今後の注目点は1.メキシコのマルケス経済相と米国のロス商務長官が6月3日に、2.メキシコのエブラルド外相とポンペイオ米国務長官が6月5日に協議を行う見込みです。両国が対話による解決に向かうかどうかを見通す上でこれらの会談の行方が注目されます。
  • 米国の突如の関税導入表明を受け、外国為替市場でメキシコペソは対ドルで5月29日の19.12から31日には19.81まで下落しました。市場ではトランプ政権の下で下されたUSMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)の妥協を経て、このような関税が俎上に上ると見ていた向きは少なく、まさしく「寝耳に水」でした。
  • 年初からの市場参加者のペソ先の警戒感は後退しており、4月12日には18.7と対ドルで年初来の高値を付けました。米商品先物取引委員会(CFTC)が公表する投機筋のペソのポジションは3月12日の7.5万枚の買い越しから、5月28日には14.2万枚の買い越しと倍増しています。短期的にはペソのポジション調整(買い越しポジションの巻き戻し=ペソ売り)によるボラティリティにも警戒が必要です。ドル円相場にも影響を与えるかもしれません。
  • メキシコの代表的な株価指数ボルサは5月31日に前日比596ポイント(1.38%)安となりましたが、日足(ローソク足)は寄り付きよりも引け値が高い「陽線」となっています。3日の市場では前週末比353ポイント(0.83%)の反発となりました。
  • 米国にとってメキシコは輸出先でカナダの2,987憶ドルに次ぐ2,650億ドルと第2位、米国の輸入では中国の5,395億ドルに次ぐ3,465億ドルと第2位を占める重要な貿易相手国です(2018年)。米国がメキシコから輸入する上位品目は自動車が26.9%、電子機器・テレビ等18.4%、ボイラー製品18.3%、鉱物燃料4.6%などです。関税が実効されれば、メキシコ経済に悪影響は避けられませんが、米国経済にとっても影響は小さくありません。市場は今のところ冷静に見ているようです。

 

 

東京株式市場

 

  • 日経平均株価:20,410.88円(前日比-190.31円)
  • TOPIX:1,498.96ポイント(前日比-13.32ポイント)

 

 

データを参照したサイト(ダウ30種銘柄の上昇・下落寄与度はこちら↓)

https://nikkei225jp.com/nasdaq/

 

 

(お詫びと訂正)

3日のメルマガで「為替相場が日銀短観3月調査の想定為替レート1ドル=109.50円」としましたが、「1ドル=108.87円」の誤りでした。お詫びして訂正します。

 

(お願い)

海外市場のデータは取得時のものであり、速報値の可能性があります。

閲覧・購読者自身でご確認いただきますようお願いします。

 

以上

 

 

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