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2019年5月27日
【今週のポイント~引き続き不安定な展開か~】(5月27日配信)
メルマガ 2019年5月27日(月)
おはようございます。
【今週のポイント~引き続き不安定な展開か~】
【24日の海外市場】
NYダウ平均は3日ぶりに反発したものの、週間では2011年以来の5週続落
- 24日の米金融市場は、トランプ大統領が米中貿易戦争の早期終結の可能性に言及、過度な懸念が後退したことからNY市場の主要株価指数は反発しました。前日に2017年10月以来の水準となる2.30%割れまで低下した米10年債利回りが2.32%台に上昇しました。
- NYダウ平均は前日比95ドル(0.37%)高の25,585ドルと反発、S&P500種も同3.8ポイント高と反発しました。トランプ大統領は23日、ファーウェイは安全保障上大変危険だが、中国との交渉の一環として同社に対する制裁の一部解除もありえるとコメント、ダウは一時前日180ドル高まで買われる場面がありました。
- ボーイングが同1.2%上昇し1銘柄でダウを29ドル押し上げました。ロイター通信が23日、米連邦航空局(FAA)が6月下旬にも2度の墜落事故を起こした旅客機「737MAX」について運航再開を認める見通しだと報じたことが材料視されました。長期金利の下落が一服したことでゴールドマン・サックスやアメリカン・エキスプレスなど金融株がダウを押し上げました。
- ナスダック総合は前日比8.7ポイント(0.11%)高い7,637と反発しました。アップルは続落となったものの、マイクロソフトやインテル、シスコシステムズは小幅に上昇。アマゾン・ドット・コムやネットフリックスも買われました。半導体はAMDやマイクロン・テクノロジーは上昇したものの、クアルコムやブロードコム、ザイリンクス、エヌビディアは同1%以上下落、フィラデルフィア半導体指数(SOX指数)は同0.82%の下落となりました。
- 週間では、NYダウ平均が0.69%安と5週続落し、2011年6月10日終了週の6週続落以来の長期続落を記録しました。S&P500は1.17%安、ナスダック総合も2.29%安とともに3週続落しました。
米国金融市場の主な指標
金利・為替
- 米10年国債利回り:2.32%(前日2.32%)
- ドル円相場:1ドル=109.29-109.30円(前日109.62-109.63円)
株式相場
- ニューヨークダウ30種平均:25,585.69ドル(前日比+95.22ドル)
- ダウの主な上昇寄与:ボーイング、ホームデポ、ユナイテッドヘルス・グループ、アメリカン・エキスプレスなど
- ダウの主な下落寄与:マクドナルド、アップル、ナイキなど
- S&P500種株価指数:2,826.01ポイント(前日比+3.82ポイント)
- S&P業種別上昇セクター:金融、素材、エネルギー、不動産など
- S&P業種別下落セクター:生活必需品、公益事業
- ナスダック総合株価指数:7,637.01ポイント(前日比+8.73ポイント)
- フィラデルフィア半導体指数(SOX指数):1,311.97ポイント(前日1,322.84ポイント)
- 米VIX指数(恐怖指数):15.85(前日16.92)
商品
- ニューヨークWTI原油先物1バレル=58.63ドル(前日比+0.72ドル)
- ニューヨーク金先物1トロイオンス=1,283.6ドル(前日比-1.80ドル)
米国市場に影響したと思われる主な材料
- 4月の米耐久財受注統計で設備投資の先行指標となるコア資本財受注は前月比0.9%減、市場予想の0.3%減を大きく下回った。3月は0.3%増に下方修正された。全体の耐久財受注は前月比2.1%減、市場予想は2.0%減、3月は1.7%増に下方修正された。米国のグローバル企業は米中貿易摩擦の影響で投資を先送りしている可能性がある。
- 米ニューヨーク連銀の国内総生産(GDP)予想「ナウキャスト」によると、第2・四半期の米GDP伸び率見通しは年率1.41%の見通し。新築住宅販売統計と耐久財受注統計を反映した。1週間前に発表した見通しは1.79%だった。
- 英国のメイ首相は24日、6月7日に与党・保守党の党首を辞任する考えを表明した。後任が決まり次第、首相の座も降りる。メイ氏の辞任で当面、英政治が混沌とするのは避けられない。
【今週のポイント】 (5月27日-5月31日)
引き続き不安定な相場展開か
- 今週の株式市場は引き続きリスク材料が意識され不安定な展開が想定されます。日経平均は20,700~20,900円台で底入れが確認できるかが試されます。
- 米中交渉の行き詰まりと対立激化で世界経済の先行き不安が台頭、投資家心理を冷やしています。ファーウェイへの経済制裁を受けた一部の米ハイテク企業の業績への悪影響の顕在化、英国のメイ首相の辞任表明、トランプ大統領が中東へ米軍を増派するなどイランとの対立激化など不透明要因が増えており、投資家は資金を債券にシフトし始めています。米長期金利は2.3%台まで低下(債券価格は上昇)、米FF金利(中心値2.375%)を割り込む逆イールドとなりました。
- 株式市場では景気敏感株やハイテク関連銘柄の組み入れを減らし、内需・消費関連、ディフェンシブ、REIT、連続増配・高配当などに資金がシフトしています。
- もっとも日本株は日経平均の予想PERが12倍を下回るなど割安感も台頭しつつあり、大幅な下落は考えにくいと思われます。東京株式市場の騰落レシオ(25日移動平均)が82%、RSIが20%と低い水準にあり、テクニカル指標は概ね沈静化しています。ドル円相場が109円台を大きく下回らない限り21,000円割れから押し目買いが入りそうです。
- 今週の相場材料として注目されるのは日米首脳会談です。トランプ大統領と安倍首相は26日のゴルフと相撲観戦で国際社会に対して日米首脳の友好関係を強くアピールしました。日米の貿易交渉についてトランプ大統領は「7月の参院選後まで待つ」と伝えられ、合意を急がない姿勢を示しました。投資家心理的には一定のプラスに働くと思われます。米国の経済指標は住宅関連指数や5月の消費者信頼感指数、4月のPCEコアといった物価指標が注目されます。
- 5月31日で対中追加関税徴収猶予期限が切れ、6月1日以降到着分すべて関税が25%対象になります。中国も報復関税として同日、600憶ドル分・最大25%が発動されます。
- 当面の日経平均(24日の引け値21,117円)の価格ポイントは以下の通りです。下値には20,900~21,000円に日足一目均衡表の転換線(21,090円)、週足の基準線(20,865円)、3月25日の安値(20,911円)など節目があります。昨年12月安値から今年4月の高値までの上昇幅のフィボナッチ指数の38.2%押しの水準は21,100円前後にあり、現在抵抗しているように見えます。そこを下回ると5月14日の20,751円が重要なポイントです。先週から特に日足一目均衡表で先行スパン(雲)を下回ってきたため、やや下値警戒感を持つ必要があります。
- 一方、上値は75日移動平均線(21,445円)や25日移動平均線(21,689円)を回復できるかがポイントです。特に大型連休明け5月7日から8日に急落する過程で空けたマド(21,875~21,639円)は早く埋める必要があります。
- NYダウ平均(24日の引け値25,585ドル)は、25,200~25,400ドルがサポートとなりそうです。200日移動平均線25,433ドルや26週移動平均線25,268ドルなどが支えとなります。ただし週足一目均衡表の先行スパンが今週以降、緩やかに低下し、4週先には24,151~24,310ドルまでレンジが下がります。この先1ヵ月程度は下振れ安くなるので注意が必要です。一方、上値は日足基準線25,959ドル、13週移動平均線26,037ドルや25日移動平均線26,073ドルなどです。
- なお、中長期の視点で見るとNYダウ平均は2018年から2019年にかけて、26,600~26,800ドル台で3回高値を付ける「三尊天井」(2018年1月26日26,616ドル、同10月3日26,828ドル、2019年4月23日26,656ドル)に近い形となっています。23,500ドルを下回ると「三尊天井」が確定し、2018年と19年が歴史的な高値となる可能性が出てきます。現時点ではそこまでの心配は必要ありませんが、米中貿易戦争が一段と悪化し、米企業収益に決定的な影響が出るようですとシナリオが変わってきます。注意したいところです。
今週の重要イベント
(5月27日-5月31日)
27日(月)
- 米メモリアル・デー祝日
- 「ドライビング・シーズン」スタート(~9/2レイバー・デー祝日)
- 日米首脳会談(迎賓館)→共同記者会見
- 台湾、年次大規模軍事演習(~31日)
- ブラジル経常収支
28日(火)
- 米3月のFHFA住宅価格指数、1-3月期住宅価格指数
- 3月S&PコアロジックCS住宅価格指数(主要20都市)
- 米5月消費者信頼感指数
- 〈臨時〉EU首脳会議→後任人事議論開始
29日(水)
- (特に無し)
30日(木)
- 米失業保険申請件数(5/24)
- 米1-3月期実質GDP(改定値)
- 米4月卸売在庫(速報値)
- 【米・メキシコ・カナダUSMCA】ペンス副大統領、カナダ首相と批准手続き協議
- クラリダFRB副議長の講演
- ブラジル1-3月期GDP
- アラブ諸国第2回(緊急)首脳会議
- フェイスブック年次株主総会
31日(金)
- 米4月個人所得・個人支出
- 米4月PCEコア
- 米5月シカゴ購買部協会景気指数
- 米5月ミシガン大学消費者信頼感指数(確報値)
- 中国製造業PMI
- インド1-3月期GDP
- 日本の4月完全失業率
- 4月鉱工業生産指数
- 4月住宅着工統計
6月1日(土)
- 【米中貿易摩擦】(5/10発動)対中追加関税徴収猶予期限→6/1以降到着分すべて〈25%〉対象に引き上げ
- 中国〈報復関税〉発動、600憶ドル分・最大25%に引き上げ
(注)太字は注目されるイベント
(予定であり変更の可能性があります)
東京株式市場
- 日経平均株価:21,117.22円(前日比-33.92円)
- TOPIX:1,541.21ポイント(前日比+0.63ポイント)
データを参照したサイト(ダウ30種銘柄の上昇・下落寄与度はこちら↓)
https://nikkei225jp.com/nasdaq/
(お願い)
海外市場のデータは取得時のものであり、速報値の可能性があります。
閲覧・購読者自身でご確認いただきますようお願いします。
以上
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