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2019年5月14日
【米国の追加関税分は誰が負担するか】(5月14日配信)

メルマガ 2019年5月14日(火)

 

おはようございます。

 

 

【米国の追加関税分は誰が負担するか】

【米CFTCの投機筋の円売り越しポジションの巻き戻しに警戒】

【景気動向指数、判断「悪化」に、注目される消費増税判断】

 

 

【13日の海外市場】  

 

NYダウ600ドル超下落、中国が報復関税の実施を発表、投資家心理が冷える

 

  • 13日の米金融市場は、米中貿易戦争の激化懸念を受け投資家のリスク回避姿勢が強まりました。NYダウは一時先週末比700ドル安と急落、米債券市場では安全資産としての債券が買われ(金利は低下)、長期金利は一時2.4%を割り込みました。ドル円相場は一時109.05円前後と2月上旬以来の円高・ドル安水準を付けました。上海総合が同1.2%安となった流れがドイツDAX同-1.5%安、イタリア-同1.3%安と欧州市場に波及し、金融市場は世界的にリスクオフとなりました。
  • NYダウ平均は前週末比617ドル(2.38%)安の25,324ドルと反落、S&P500種は同69ポイント(2.41%)安で引けました。貿易協議が平行線に終わり、13日の取引開始前には中国政府が報復関税の実施を発表、米国の新たな関税措置の公表も控えており、投資家の間ではリスク回避姿勢が強まっています。
  • ダウ採用の値がさ株、ボーイングが同4.8%の大幅下落となり1銘柄でダウを117ドル引き下げました。米中貿易摩擦の悪化に加え、同社の中国向け航空機販売が「削減される」可能性を示唆する中国紙編集長のツイートが影響した模様です。中国市場に強みを持つ建機のキャタピラーは4.6%安、アップルは5.8%安と急落し、3銘柄でダウを約234ドル引き下げました。金利低下を受けゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェース、ビザなど金融株も大幅下落となりました。
  • 投資家の不安心理を示す米VIX指数は20.55と先週末の16から上昇。半導体関連も安くインテルは同3%安、ブロードコム、クアルコムも同2~3%下落しました。フィラデルフィア半導体指数(SOX指数)は4.7%安となりました。大型IT関連はアルファベット、フェイスブック、アマゾン・ドット・コムも2~4%の下落となりハイテク関連は総崩れといった状況です。

 

 

米国金融市場の主な指標

 

  1. 米10年国債利回り:2.40%(前日2.46%)
  2. ドル円相場:1ドル=109.22-109.23円(前日109.95-109.96円)
  3. ニューヨークダウ30種平均:25,324.99ドル(前日比-617.38ドル)
  4. ダウの主な上昇寄与:P&G
  5. ダウの主な下落寄与:ボーイング、アップル、ゴールドマン・サックスなど
  6. S&P500種株価指数:2,811.87ポイント(前日比-69.53ポイント)
  7. S&P業種別上昇セクター:公益
  8. S&P業種別下落セクター:情報技術、一般消費財、金融、資本財・サービスなど
  9. ナスダック総合株価指数:7,647.02ポイント(前日比-269.92ポイント)
  10. フィラデルフィア半導体指数(SOX指数):1,408.95ポイント(前日1,478.87ポイント)
  11. 米VIX指数(恐怖指数):20.55(前日16.04)
  12. ニューヨークWTI原油先物1バレル=61.04ドル(前日比-0.62ドル)
  13. ニューヨーク金先物1トロイオンス=1,301.8ドル(前日比+14.4ドル)

 

 

米国市場に影響したと思われる主な材料

 

  • 中国は13日、米国からの600億ドル相当の輸入品に対する追加関税を最大25%に引き上げる方針を発表した。米政府が10日に発表した対中関税引き上げに対する報復措置。人民元は一時1ドル=6.92元と昨年12月24日以来の安値を付けた。
  • トランプ米大統領は13日、中国製品に米国が課す関税に対して中国が報復措置を取れば、貿易を巡る両国の対立は「悪化する」と警告した。大統領はツイッターで「中国が米国と合意しなければ、企業は中国を離れて他の国に移らざるをえないため、中国はひどい打撃を受けるだろう」と発言した。
  • トランプ米大統領は13日、ホワイトハウスで記者団に対して、6月下旬に日本で開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議にあわせて「中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席と会うつもりだ」と述べた。6月28~29日に大阪で開かれるG20にあわせて首脳会談を開けば「おそらく非常に有益な会談になるだろう」と指摘した。
  • 中国汽車工業協会(CAAM)が発表した4月の自動車販売台数は、前年同月比14.6%減の198万台となった。減少は10ヵ月連続。景気減速や米中貿易摩擦が背景。中国は消費支援策を発表しているが、消費者は一段の支援策が導入されるとの期待から購入を見送っている。また、ロイターの報道によると、一部の省が新排ガス基準を予想より早く導入したことも、4月の販売低迷の一因と指摘した。

 

 

【今日のポイント】 

 

(1) 米国の追加関税分は誰が負担するか

 

  • 米USTRは10日、2,000億ドル分の中国からの輸入品に対する関税をそれまでの10%から25%に引き上げることを中国に正式に通知しました。この関税分についてトランプ大統領は「関税は(米国内での)生産コストにほとんど影響せず大部分は中国が負担している」と主張しています。米国の追加関税分はいったい誰が負担しているのでしょうか。追加関税を負担する主体は次の4つと考えられます

     

    1. 人民元安による一部相殺:人民元の対ドル相場は中国の景気回復や米中貿易協議の進展期待を背景に急回復し、年初の6.8620から4月17日には6.6872まで元高が進みました。しかし、米国が関税引き上げを表明した5月から急落。10日には6.8556とほぼ年初の水準に下落しました。
    2. 中国企業のコスト負担の吸収・削減努力や生産性向上
    3. 中国政府による金融緩和や(米中協議で問題になっている)補助金など中国企業に対する直接・間接的な産業支援策
    4. 米国の企業の製品値上げや米消費者によるコスト負担増(値上げの受け入れ)

 

  • この結果、コスト削減や品質向上といった企業努力で関税という圧力を乗り切り、さらに強靭さを増した中国企業が次の日米企業のライバルとして台頭してくることになります。

 

(2) 米CFTCの投機筋の円売り越しポジションの巻き戻しに警戒

 

  • 米消費先物取引委員会(CFTC)が公表する投機筋の円売り越しポジションは2月12日の30,742枚(金額ベースで3,842億円)をボトムに4月30日には99,599枚(1兆2,450億円)まで急拡大しました。米FRBの利上げ停止や世界的な株高などリスクオンを背景に円売り・他通貨買いのポジションが急増したものです。しかし、直近の5月7日には91,717枚(1兆1,464億円)と減少に転じており、売り越しポジションの巻き戻しが起きる可能性が示唆されます。
  • 米VIX指数先物のポジションも売り越し規模が過去最高水準に膨れ上がっています。今後、何らかの材料を引き金にVIX指数ポジションの巻き戻しが米国株安を誘発し、円売り越しポジションの買戻し、リスク回避の円買い、日本株式下落リスクに警戒が必要です。

 

(3) 景気動向指数、判断「悪化」に、注目される消費増税判断

 

  • 内閣府は13日、3月の景気動向指数(CI、2015年=100)速報値を発表。景気の現状を示す一致指数は99.6前月より0.9ポイント悪化、指数の推移から機械的に決まる基調判断は下方修正され、2013年1月以来6年2ヵ月ぶりに「悪化」となりました。この表現は景気が後退局面にある可能性が高いことを示します。
  • 過去に判断が「悪化」となった局面は08年6~09年4月、12年10~13年1月の2回ありますが、いずれも専門家が事後的に判定した景気後退期と重なる期間が多いと指摘されます。
  • 日経新聞の世論調査(13日の紙面)によると、安倍内閣の支持率は55%となり前回(3月下旬)の48%から7ポイント上昇しました。逆に不支持率は35%で前回に比べて7ポイント低下しました。安倍内閣への支持率は高まっています。また10月の消費税引き上げ(8→10%)に「賛成」する比率は41%に対して、「反対」は52%と過半を超えました。前回は「賛成」45%、「反対」47%でした。夏の参院選に合わせた衆参同日選の実施について「賛成」が47%と、「反対」の32%を大きく上回りました。
  • 消費増税を巡る判断はますます注目されそうです。

 

 

東京株式市場

 

  • 日経平均株価:21,191.28円(前日比-153.64円)
  • TOPIX:1,541.14ポイント(前日比-8.28ポイント)

 

データを参照したサイト(ダウ30種銘柄の上昇・下落寄与度はこちら↓)

https://nikkei225jp.com/nasdaq/

 

 

 

(お願い)

海外市場のデータは取得時のものであり、速報値の可能性があります。

閲覧・購読者自身でご確認いただきますようお願いします。

 

以上

 

 

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