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2019年5月9日
【4月の米ISM製造業景況指数は貿易戦争が米経済に長期的に与えるマイナスの影響を示唆】(5月9日配信)

メルマガ 2019年5月9日(木)

 

おはようございます。

 

【4月の米ISM製造業景況指数は貿易戦争が米経済に長期的に与えるマイナスの影響を示唆】

 

 

【8日の海外市場】

  

米株式市場は主要指数は高安まちまち、米中協議を控え、様子見ムードが広がる

 

  • 8日の米金融市場は、長期金利はやや上昇(債券相場は下落)、主要株価指数は高安まちまちの展開となりました。米中貿易協議を前に投資家の様子見姿勢が強まりました。米10年国債の入札が不調だったことから米債券市場は売りが優勢となり、長期金利は2.48%と前日の2.45%からやや上昇、ドル円相場は110円台で取引されました。
  • ダウ工業株30種平均は前日比2ドル高の25,967ドルと3日ぶりに小反発。米中貿易協議が何らかの合意に至るとの期待が相場を支えました。一時は同153ドル高まで上昇しましたが引けにかけて急速に伸び悩みました。ナスダック総合は同20ポイント(0.26%)安と3日続落、S&P500種も同4ポイント(0.16%)安と3日続落、主要指数は明暗を分けました。
  • トランプ米大統領が8日朝、「中国から劉鶴副首相らが取引を成立させるために訪米する」とツイッターに投稿し、9日にワシントンで始まる米中閣僚級協議の進展期待が広がりました。
  • 米通商代表部(USTR)は8日、中国製品に対する制裁関税を10日に引き上げると官報で正式に通知しました。中国も対抗措置を取る方針を表明しています。米中交渉の行方は楽観できず、引けにかけては持ち高を減らす売りに押されました。
  • 投資家心理を示す米VIX指数は19.40と前日(19.32)からほぼ横ばい。半導体関連はインテルが2.4%安、ブロードコムが1.2%安、マイクロン・テクノロジーが1.2%安と下落し、フィラデルフィア半導体指数(SOX指数)は同0.7%下落しました。アップルは小幅に上昇したものの、アルファベット、アマゾン・ドット・コムなど主要IT関連は小幅に下落し、ナスダック総合株価指数は3日続落しました。

 

米国金融市場の主な指標

 

  1. 米10年国債利回り:2.48%(前日2.45%)
  2. ドル円相場:1ドル=110.04-110.05円(前日110.26-110.27円)
  3. ニューヨークダウ30種平均:25,967.33ドル(前日比+2.24ドル)
  4. ダウの主な上昇寄与:ボーイング、ユナイテッド・テクノロジーズ、ウォルト・ディズニー、など
  5. ダウの主な下落寄与:ゴールドマン・サックス、キャタピラー、インテルなど
  6. ナスダック総合株価指数:7,943.32ポイント(前日比-20.44ポイント)
  7. フィラデルフィア半導体指数(SOX指数):1,494.48ポイント(前日1,506.32ポイント)
  8. 米VIX指数(恐怖指数):19.40(前日19.32)
  9. S&P500種株価指数:2,879.42ポイント(前日比-4.63ポイント)
  10. S&P業種別上昇セクター:ヘルスケア、不動産、資本財・サービス
  11. S&P業種別下落セクター:公益事業、コミュニケーション、金融、情報技術など
  12. ニューヨークWTI原油先物1バレル=62.12ドル(前日比+0.72ドル)
  13. ニューヨーク金先物1トロイオンス=1,281.40ドル(前日比-4.2ドル)

 

米国市場に影響したと思われる主な材料

 

  • 米通商代表部(USTR)は8日、2,000億ドル(約22兆円)分の中国製品に対する制裁関税を10日に現在の10%から25%に引き上げると官報で正式に通知した。今後は通知を修正しない限り、家具や家電など約6,000品目の輸入品を対象とした追加関税が上がる。これに対し、中国も対抗措置を取る方針を表明した。ただし、9日からの米中閣僚級貿易協議で進展すれば通知は修正される可能性がある。
  • 中国税関総署が発表した4月の貿易統計によると、中国の貿易収支は138億4,000万ドルの黒字となった。市場予想は350億ドルの黒字だった。輸出は前年同月比2.7%減と、予想の2.3%増に反して減少した。輸入は前年比4.0%増と、予想の3.6%減を上回り、5カ月ぶりの増加となった。中国政府が道路・鉄道・港湾への支出拡大など景気刺激策を打ち出す中、内需の改善を背景に輸入が増加した可能性がある。

 

 

【今日のポイント】 

 

4月の米ISM製造業景況指数は貿易戦争が米経済に長期的に与えるマイナスの影響を示唆

 

  • トランプ大統領は2,000億ドルの中国製品の関税を25%に引き上げると表明し、週明けの世界の金融市場は大荒れとなりました。それまでの金融市場は世界経済や貿易問題に対して楽観的な見方が広がっていたため、悪材料に敏感に反応したものと考えられます。
  • トランプ大統領が突如豹変した背景には、逆説的ですが早期の合意を望んでいるためと考えられます。2020年の大統領選挙の戦略を立て始めようとする中で、貿易をめぐる現在の状況が米国経済にマイナスの影響を与えていることを示唆します。
  • 例えば、4月のISM製造業景況指数は52.8と前月の55.3から2.5ポイント悪化しました。特に新規受注指数が51.7と前月(57.4)から5.7ポイントも悪化しました。
  • ISM調査の回答企業のコメントから、「関税はコンピュータ部品の価格上昇をもたらすと同時に、製造業者が中国を離れ関税の影響を受けない国へ移る結果をもたらしている」(コンピュータ・電子部品メーカー)、「潜在的な脅威である関税やメキシコ国境問題を注視している。中国の貿易協定が合意に達すれば、供給網の安定とコスト管理の手助けとなるだろう」(機械メーカー)など、関税が企業経営に問題を生み出していることが明らかになっています。
  • さらに今回、トランプ大統領が中国製品への関税引き上げを表明したことに対し、米国の産業界が猛反発しています。家電メーカーなどで構成する全米民生技術協会(CTA)のゲイリー・シャピロ会長は5日、「大統領は、関税は中国が払うのでなく米国民と企業が負担するということを理解するべきだ」と声明を出しました。
  • また同会長は関税引き上げのタイミングが近すぎることにも反発し、「たった5日前の通告で税率を25%に引き上げることは市場を荒らし、米国の産業界に深刻なダメージを与える」と指摘しました。
  • 貿易交渉の大幅な延期や決裂が避けられたことを踏まえれば、今回は協議継続となっても6月頃までに米中間で何らかの合意がなされる可能性が残っていると考えられます。
  • ISM製造業景況指数は米景気の先行指標として知られています。好不況の分岐点である50を下回ると、そこから約1年後に米景気が後退する経験則からリセッションのサインとされます。また追加関税の影響が米企業収益に様々な悪影響を与えていることを考えると、関税が撤廃されない限り今後の米企業の収益の急回復は見込みにくく、米国株価の上値も抑えられる可能性があります。

 

 

東京株式市場

 

  • 日経平均株価:21,602.59円(前日比-321.13円)
  • TOPIX:1,572.33ポイント(前日比-27.51ポイント)

 

データを参照したサイト(ダウ30種銘柄の上昇・下落寄与度はこちら↓)

https://nikkei225jp.com/nasdaq/

 

 

(お願い)

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以上

 

 

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