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2019年5月8日
【政策効果によって経済減速に下げ止まりが出てきた中国】(5月8日配信)
メルマガ 2019年5月8日(水)
おはようございます。
【政策効果によって経済減速に下げ止まりが出てきた中国】
【ニューヨークダウと日経平均の下値メド】
【7日の海外市場】
7日の米株式市場は大幅続落、ダウ30種平均はすべての銘柄が下落
- 7日の米金融市場は投資家のリスク回避姿勢が強まり、金利低下(債券相場は上昇)、株安、円高となりました。ダウ工業株30種平均は前日比473ドル(1.79%)安と大幅続落。下げ幅は1月3日以来の大きさで30銘柄すべてが下落しました。米長期金利は2.45%と約1ヵ月ぶり低水準、ドル円相場は110.26円台で取引されました。
- 米国が中国製品への関税を引き上げるとの懸念が再び強まり、ダウは一時649ドル安まで値下がりしました。トランプ米大統領は10日の対中関税引き上げを表明しており、米通商代表部(USTR)は7日にも引き上げを公告する見通しです。中国の劉鶴副首相は近く訪米し、9~10日に協議する予定ですが、市場では決裂に終わる懸念が高まりました。
- ボーイングやスリーエム、アップル、キャタピラーが2~4%下落。中国と関連の強い銘柄を中心に売られました。
- 投資家の不安心理を示すVIX指数は前日より3割ほど高い21台となり、4カ月ぶりの高水準になりました(引けは19.32)。これまで堅調だった半導体関連も売られフィラデルフィア半導体指数(SOX指数)は2.4%安、ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は2%近い続落となりました
米国金融市場の主な指標
- 米10年国債利回り:2.45%(前日2.47%)
- ドル円相場:1ドル=110.26-110.27円(前日110.71-110.72円)
- ニューヨークダウ30種平均:25,965.09ドル(前日比-473.39ドル)
- ダウの主な上昇寄与:なし
- ダウの主な下落寄与:ボーイング、アップル、ホームデポ、ユナイテッド・テクノロジーズ、スリーエム、ゴールドマン・サックスなど
- S&P500種株価指数:2,884.05ポイント(前日比-48.42ポイント)
- S&P業種別上昇セクター:なし
- S&P業種別下落セクター:情報技術、資本財・サービス、ヘルスケア、素材など
- ナスダック総合株価指数:7,963.76ポイント(前日比-159.53ポイント)
- フィラデルフィア半導体指数(SOX指数):1,506.32ポイント(前日1,543.73ポイント)
- 米VIX指数(恐怖指数):19.32(前日15.49)
- ニューヨークWTI原油先物1バレル=61.40ドル(前日比-0.85ドル)
- ニューヨーク金先物1トロイオンス=1,285.6ドル(前日比+1.8ドル)
米国市場に影響したと思われる主な材料
- 3月の米求人件数は前月比34万6,000件増の749万件と市場予想の735万件、前月の714万件を上回る増加、過去1年で最大の伸びとなった。米労働市場の需要が引き続き健全なことが示唆された。
- クラリダFRB副議長は7日、ブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「現行政策でインフレは当局の2%目標に到達できる」、「どちらの方向にも金利を動かす強い論拠は見られない」と発言。市場の利下げ期待観測を一蹴した。
- 米USTRのライトハイザー代表は6日、トランプ政権はワシントン時間10日午前0時1分(日本時間同日午後1時1分)に関税を引き上げる計画だと発表。同代表は中国側が従来の姿勢を後退させたとして、「受け入れられない」と述べた。ブルームバーグの報道によると、中国はトランプ大統領が警告を実行に移した場合に備えて報復関税を準備していると報じた。
- 中国商務省が7日にウェブサイトに掲載した声明によると、劉副首相は9、10両日にライトハイザー米通商代表部(USTR)代表、およびムニューシン米財務長官と会談すると発表した。
- 欧州委は7日発表した四半期経済見通しで、ドイツの2019年成長率予測を0.5%と、前回予測の1.1%から引き下げた。ユーロ圏の経済成長率は1.2%と見込むが、20年には1.5%に回復すると予測した。
【今日のポイント】
(1)政策効果によって経済減速に下げ止まりが出てきた中国
- 中国国家統計局が発表した4月の製造業PMIは50.1と3月の50.5から低下したものの、2ヵ月連続で節目の50を上回りました。生産の先行指標となる新規受注は3月51.6→4月51.4とやや低下。生産も同52.7→同51.1と低下しました。一方で輸出の先行指標となる輸出新規受注は同47.1→同49.2と改善しました。規模別には大企業(同51.1→同50.8)と中企業(同49.9→同49.1)が低下した一方で、小型企業(同49.3→同49.8)が上昇しました。減税や社会保障費などの各種費用減免効果が表れてきたとしています。中国国家統計局が併せて発表した非製造業PMIは54.3と3月の54.8から低下しました。ただ、節目の50は依然として大きく上回っています。
- 財新/マークイットが発表した中国の4月の製造業PMI(民間版ともいわれる)は50.2と3月の50.8から低下しました。輸出受注や雇用が縮小しました。しかし節目の50は上回っています。同じく財新/マークイットが発表した4月のサービス業PMIは54.5と前月の54.4から小幅上昇し、2018年1月以来15か月ぶりの高水準となりました。輸出受注が記録的なペースで拡大したことが寄与しました。中国の景況感は緩やかな回復を見せており、政策効果が出始めたものと思われます。
(2)ニューヨークダウと日経平均の下値メド
- 7日のNYダウ平均は節目の26,000ドルを割り込んで引けました。26,000~26,200ドルは今年の重要な価格帯となっており、ここを下回ったのでこのまま下落すると3月の安値(25,208ドル)や一目均衡表のスパン(雲)である25,200~25,500ドルゾーンが次のメドとなります。
- 7日のシカゴCME日経平均先物は21,615円(速報値)と、東京の終値(21,923円)と比べ300円超安く帰ってきました。本日の日経平均は4月のマド埋め水準(21,878円)や200日移動平均線(21,885円)を下回る見込みです。基準線(21,637円)や13週移動平均線(21,510円)を維持できなければ、21,300円台が次のメドとして想定されます。日米株価ともに米中協議の行方が注目されます。
東京株式市場
- 日経平均株価:21,923.72円(前日比-335.01円)
- TOPIX:1,599.84ポイント(前日比-18.09ポイント)
データを参照したサイト(ダウ30種銘柄の上昇・下落寄与度はこちら↓)
https://nikkei225jp.com/nasdaq/
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