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おはようございます。
【NYダウは新高値更新が間近、このなかで足を引っ張るヘルスケアと医薬品】
【ファーストリテイ(9983)は上場来高値を更新】
【22日の海外市場】
22日の米国株で主要指数はまちまちの展開、イラン産原油の全面禁輸で思惑
- 22日の米金融市場は、連休前と比べて長期金利はやや上昇(債券価格は下落)、ドル円相場はもみ合いとなりました。NYダウは小幅に反落したものの、ナスダックとS&P500種は小幅に続伸するなどまちまちの展開でした。
- 米国が22日、イラン産原油の禁輸措置を発表したことが材料視され原油先物価格が同2.7%も上昇、石油株がダウを支えました。原油高がインフレ圧力を高めるとの見方から米長期金利を押し上げました。経済指標はやや弱かったものの、マーケットの反応は限定的でした。
- アルファベット、フェイスブック、アマゾン・ドット・コムは同1%以上上昇し大型IT関連株は堅調でした。アップル、マイクロソフトの上昇もダウを支えました。半導体関連はインテル、AMD、エヌビディアが上昇、ブロードコム、ザイリンクスは下落しました。
米国金融市場の主な指標
- 米10年国債利回り:2.59%(前日2.56%)
- ドル円相場:1ドル=111.93-111.94円(前日111.97-111.98円)
- ニューヨークダウ30種平均:26,511.05ドル(前日比-48.49ドル)
- ダウの主な上昇寄与: ユナイテッドヘルス・グループ、シェブロン、エクソンモービル、アップルなど
- ダウの主な下落寄与:ボーイング、IBM、トラベラーズ・カンパニーズ、アメリカン・エキスプレス、ゴールドマン・サックスなど
- S&P500種株価指数:2,907.97ポイント(前日比+2.94ポイント)
- S&P業種別上昇セクター:エネルギー、コミュニケーション、情報技術など
- S&P業種別下落セクター:不動産、素材、資本財・サービス、金融など
- ナスダック総合株価指数:8,015.27ポイント(前日比+17.2ポイント)
- フィラデルフィア半導体指数(SOX指数):1,558.29ポイント(前日1,558.13ポイント)
- 米VIX指数(恐怖指数):12.42(前日12.09)
- ニューヨークWTI原油先物1バレル=65.70ドル(前日比+1.70ドル)
- ニューヨーク金先物1トロイオンス=1,277.60ドル(前日比+1.60ドル)
米国市場に影響したと思われる主な材料
発表された米経済指標は市場予想を示すものが目立ちました。米国が発表したイラン産原油の全面禁輸措置が原油価格上昇の材料となり、長期金利を押し上げました。
- 米シカゴ連銀が発表した3月の全米活動指数は、前月から0.16ポイント上昇のマイナス0.15。米経済成長の実体により即しているとされる3カ月の移動平均はプラス0.24で前月から0.06ポイント低下。同指数はゼロを下回ると米経済の成長ぶりが過去の平均を下回っていることを示す。
- 3月の米中古住宅販売戸数は年率換算で前月比4.9%減の521万戸と市場予想(同2.3%減の531万戸)を下回るやや失望する結果。住宅価格の上昇による供給減と労働者不足などが影響した模様。
- 米政府は22日、イラン産原油の禁輸措置について、日本を含む8カ国・地域に対する適用除外措置を5月に撤廃することを決定。撤廃後にイランから原油を輸入すれば米国の制裁措置の対象。NY原油先物価格は先週末から1.7ドル(2.7%)高の1バレル=65.7ドルと大幅に続伸、一時65.92ドルまで上昇。原油価格の上昇でインフレ期待上昇から米長期金利の上昇材料に。
【今日のポイント】
(1)NYダウは新高値更新が間近、このなかで足を引っ張るヘルスケアと医薬品
- NYダウ平均は高値まであと1%程度に迫っています。こうした中でダウ平均の足を引っ張っているのが医療保険大手や製薬会社大手などヘルスケアセクターです。具体的には企業、公共機関、個人に各種医療保険プランを提供する米医療保険最大手のユナイテッドヘルス・グループ、処方医薬品、一般医薬品、動物用医薬品の製造、販売を手掛けるファイザー、そして医薬品全般の開発、製造、販売のメルクなどです。
- 下記のアドレスで株価チャートをご確認ください。4月18日時点の年初来騰落率はユナイテッドヘルス・グループ-11%、ファイザーは同-9.8%、メルクは同-4.2%となっており、特に株価が221ドル(4月18日時点)とダウ平均への指数寄与度が高いユナイテッドヘルス・グループはダウを大きく引き下げています。3銘柄の下落がなければNYダウは史上最高値を更新しているわけです。
- S&P500種セクター別の年初来株価騰落率(同)では、上昇率1位が情報技術の+25.5%、資本財・サービス+21.7%、一般消費財・サービスが+20.8%とS&P500種の+15.9%を大きく上回る一方、ヘルスケアは唯一マイナスとなりました。
- ヘルスケア株が急落している一因は4月10日に民主党のサンダース上院議員らが上院に提出した国民皆保険制度(メディケア・フォア・オール)法案が挙げられます。現在の米国の医療保険制度は公的医療保険と民間の医療保険で成り立っていますが、同法案は民間医療保険を排除してすべて公的医療保険にすることを目指すとしています。
- 4月16日にユナイテッドヘルス・グループのCEOが、国民皆保険制度は米国のヘルスケアシステムの大規模な混乱につながり悪影響が懸念されると述べたことを受け、健康保険関連が売られ、翌17日には医薬品や医療機器関連株も下落しました。
- コストがかかりすぎることで現時点では国民皆保険制度の導入は難しいと見られていますが、政治的な議論に株価が影響を受けている格好です。ヘルスケアセクターは19年第1四半期の業績は総じて良好に推移しています。しかし、大統領予備選を控えて政治的な議論は続くと見られ、ヘルスケア関連株は不安定な動きが続く可能性があります。
セクター別の年初来騰落率(4月18日時点)
1 情報技術 25.5%
2 資本財・サービス 21.7%
3 一般消費財・サービス 20.8%
4 コミュニケーションサービス 19.6%
5 エネルギー 17.2%
6 S&P500 15.9%
7 金融 14.6%
8 素材 14.3%
8 不動産 14.3%
10 生活必需品 12.2%
11 公益事業 8.2%
12 ヘルスケア -0.8%
(年初来上昇率の高い順/赤字は年初来、唯一マイナス)
NYダウ30種平均に採用されるヘルスケア関連の株価チャート
(2)ファーストリテイ(9983)は上場来高値を更新
- 日経平均の指数寄与度が最大の銘柄、ファーストリテイリングが22日、65,490円まで買われ、年初来高値を更新しました(大引けは64,530円・前日比60円安)。実は上場来高値更新でもあります。同社の株価は4月5日から19日まで11連続上昇、株価はこの期間に10,110円(18.5%)も上昇しました。日経平均序数から判断すると日経平均をこの期間に約370円押し上げているわけです。特に4月11日に2018年9月~19年2月期の連結純利益が前年同期比9%増の1140億円と過去最高だった、と発表したあとから上昇が加速しています。
- 同社株の信用取引の取り組み(4月12日時点)を見ると、買い残が84,800株に対して、売り残が563,000株、信用倍率は0.15倍と圧倒的な売り越しとなっています。19日時点の逆日歩は1.15円と売り方に不利な時給関係にあり、大型連休前に買戻しをしたい投資家が多いと思われます。買い戻しが一巡したあとは反落への警戒が必要で、日経平均にも影響を与えます。
4月22日(月)
東京株式市場
- 日経平均株価:22,217.90円(前日比+17.34円)
- TOPIX:1,618.62ポイント(前日比+1.69ポイント)
データを参照したサイト(ダウ30種銘柄の上昇・下落寄与度はこちら↓)
https://nikkei225jp.com/nasdaq/
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