メルマガ
おはようございます。
【5月第2週(8日~12日)の海外投資家は2週連続買い越し】
【日本は連休だが海外市場は通常取引、ヘッジ手段は意外に多い?】
【NT倍率の上昇は逆日歩銘柄の買戻しが一つの要因か】
【消費税増税延期説が浮上】
【18日の海外市場】
18日の米国株はそろって反発、経済指標の好転で投資家心理を後押し
- 18日の米金融市場は長期金利がやや低下(債券相場は上昇)し、ドル安・円高、NY株式相場は反発しました。3月の米小売売上高が2017年9月以来の大幅な伸びとなり株式市場では資本財や景気敏感が買われました。ドル円相場はトルコリラが急落したことで1ドル=111.97円と112円台を割り込む取引となりました。リスク回避の円買いが進みました。
- NYダウは前日比110ドル(0.42%)高の26,559ドルと反発しました。S&P500種は同4ポイント(0.16%)高で引けました。セクタ-動向では資本財や不動産、情報技術が高くエネルギーや金融が下落しました。市場予想を上回る米小売売上高や米主要企業の決算発表を受けて投資家心理が上向き、資本財関連株を中心に買いが優勢になりました。ダウ平均の構成銘柄ではボーイングやユナイテッド・テクノロジー、キャタピラー、IBM、スリーエムなどが買われました。マクドナルドなど消費関連も堅調でした。半面、金利低下を受けてJPモルガン・チェースやゴールドマン・サックスといった金融が下落しました。
- 18日発表の四半期決算を好感した保険のトラベラーズが同2.2%上昇し、1銘柄でダウ平均を約20ドル引き上げました。前日まで下げが目立った医療保険のユナイテッドヘルス・グループは買い戻しが入り同2.2%高。ダウ平均を約33ドル押し上げました。
- ナスダック総合は前日比1.9ポイント(0.02%)高の7,998で引けました。マイクロソフトやアップルなどの主力株が上昇しました。半導体ではブロードコムやエヌビディアは下落したものの、クアルコムやAMD、マイクロン・テクノロジーが上昇しフィラデルフィア半導体指数(SOX指数)は同0.07%高く引けました。投資家の不安心理を示す米VIX指数は12.09と前日の12.6から改善しました。
- 債券市場は長期金利が2.56%と前日の2.59%から低下しました。堅調な経済指標を受けて買いが先行しましたが、買い一巡後は19日の祝日を前にポジション売りが優勢となりました。
- ドル円相場は1ドル=111.98円と前日の112.08円からややドル安・円高となりました。トルコ中央銀行は純外貨準備を積み増すために過去1ヵ月、市中銀行との短期スワップ取引を利用していたと、英フィナンシャル・タイムズ(FT)が報じたことがきっかけでした。リスク回避の円買いが進みました。
- 国際商品市場ではニューヨークWTI原油先物は前日比0.24ドル高の1バレル=64ドルで引けました。ニューヨーク金先物価格は同0.8ドル安の1トロイオンス=1276ドルで引けました。
- 発表された米経済指標は概ね回復を示すものが目立ちました。3月の米景気先行指数は111.9となり、前月から0.4%上昇。前回の0.2%上昇を上回り、2カ月連続の上昇となりました。10の構成指標のうち8項目が改善し、特に労働市場、消費者景況感、株価など金融に関する項目が上昇しました。
- 3月の米小売売上高は前月比1.6%増と2017年9月以来の大幅な伸びとなりました。前月(-0.2%)のマイナスからプラスに転換、市場予想の同0.9%増を上回りました。自動車およびガソリンスタンドの売上高が増え、個人消費が景気を支えていることが示唆されました。
- 4月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数は、前月から5.2ポイント低下し8.5となりました。市場予想の11.0を下回りました。個別項目は「新規受注」が13.8ポイント上昇の15.7となったほか、「雇用者数」も5.1ポイント上昇の14.7となりました。一方、「出荷」や「受注残高」は低下しました。
- 13日終了した週の新規失業保険申請件数は前週比5,000件減の19万2,000件と、1969年9月以来49年半ぶりの低水準となりました。経済が底堅さを保っていることが示されました。
- 米商務省が発表した2月の企業在庫は前月比0.3%増となりました。市場予想の0.4%増には届かなかったものの、前月の伸びは上方修正されました。在庫投資が第1・四半期の経済成長に貢献する可能性があることが示唆されました。1月は0.9%増と、従来の0.8%増から上方修正されました。
- アトランタ地区連銀の経済予測モデル「GDPナウ」によると、第1・四半期の米国内総生産(GDP)伸び率見通しは年率2.8%となりました。3月の小売売上高を反映させたもので、17日時点の予想同2.4%から上昇しました。
- UBSグローバル・ウェルス・マネジメントは米国株のオーバーウエートを解消し、新興国や日本株のオーバーウエートにシフトすると発表しました。外資系では早めの強気転換となっており他の運用会社の動向が注目されます。
【今日のポイント】
1. 5月第2週(8日~12日)の海外投資家は2週連続買い越し
・日本取引所グループ(JPX)が4月18日に発表した投資主体別売買動向で、海外投資家は5月第2週に1,214億円の買い越しとなりました。5月第1週の6,228億円の買い越しに次ぐ2週連続の買い越しで、4月累計では7,442億円の買い越しとなりました。2009年以降2018年まで海外投資家は4月に10年連続で買い越しており、このペースでは11年連続の4月買い越しとなる公算が出てきました。
2. 日本は連休だが海外市場は通常取引、ヘッジ手段は意外に多い?
・機関投資家は日本の大型連休前に運用するファンドのリスクを減らしたり、買いポジションをヘッジすることが予想され株式市場の下落圧力になると指摘されます。しかし海外市場は通常通り取引されるため機関投資家はシカゴCMEやシンガポール証取での日経平均先物を使いヘッジをかけることで継続的な売買が可能です。また外資系証券が提供するブローカレッジサービスを利用することで取引所の相違をあまり意識せずに売買が可能なケースも多いそうです。市場が警戒しているだけに、意外に大きなポジション調整は起きない可能性もあります。
3. NT倍率の上昇は逆日歩銘柄の買戻しが一つの要因か
・最近、逆日歩が付く銘柄が歴史的高水準になっていることが話題になっています。逆日歩銘柄数は年初の400前後から最近は600~700台に達しています。逆日歩が発生するのは、投資家が株価は割高だと判断し、信用取引で売り付けている銘柄(売り建玉)の空売りが急増するためです。空売りが急増すると、証券会社は貸す株がなくなる貸株超過の状態になり、日本証券金融株式会社(日証金)から株を借りなければなりません。証券会社が日証金から株を借りるときに手数料(品貸料)が発生し、その手数料は売り方(空売りをしている人)が負担する必要があります。これが逆日歩です。
・連休中に何が起きるかわからないため、信用取引の売り方がとりあえず買い戻しておきたいという心理が働いています。4月23日がその期限と言われます。逆日歩銘柄の中には日経平均への寄与度が高いファーストリテイやファナック、東京エレク、京セラや、指数に直接影響する日経レバレッジなども含まれており、最近のNT倍率が上昇している背景の一つと言われます。来週、つまり連休の直前には買い戻しが一巡する可能性があります。
4. 消費税増税延期説が浮上
・10月に予定される消費税の10%への引き上げをめぐり、自民党の萩生田光一幹事長代行が18日、6月の景気指標次第では延期もあり得るとの考えを示し、衆院解散の可能性にも言及しました。安倍晋三首相側近の発言だけに、注目されます。ただし、菅義偉官房長官は「リーマンショック級の出来事が起きない限り、予定通り引き上げる」と述べ、否定しました。
・安倍首相は再三、消費税引き上げに言及しているほか、増税対策を織り込んだ新年度予算案となっているため増税先送りの可能性は低いと思われます。ただし、唯一、増税を延期する手法としては衆議院解散と言われており、可能性はゼロではありません。選挙を意識した自民党幹部の発言と言えそうです。マーケットと財界、国民の反応を探る一種のアドバルーンを揚げた格好です。
・海外投資家は消費増税による景気の腰折れを懸念しており、年初来、日本株を大きく売り越している材料の一つであることは間違いありません。衆議院解散という政治ファクターは経験則では海外投資家の買いを通じて日本株の上昇材料となることが多く、注目されます。
4月18日(木)
米国金融市場の主な指標
- 米10年国債利回り:2.56%(前日2.59%)
- ドル円相場:1ドル=111.97-111.98円(前日112.08-112.09円)
- ニューヨークダウ30種平均:26,559.54ドル(前日比+110.00ドル)
- ナスダック総合株価指数:7,998.06ポイント(前日比+1.98ポイント)
- S&P500種株価指数:2,905.03ポイント(前日比+4.58ポイント)
- フィラデルフィア半導体指数(SOX指数):1,558.13ポイント(前日1,557.08ポイント)
- 米VIX指数(恐怖指数):12.09(前日12.60)
- ニューヨークWTI原油先物1バレル=64.00ドル(前日比+0.24ドル)
- ニューヨーク金先物1トロイオンス=1,276.0ドル(前日比-0.8ドル)
東京株式市場
- 日経平均株価:22,090.12円(前日比-187.85円)
- TOPIX:1,614.97ポイント(前日比-15.71ポイント)
データを参照したサイト(ダウ30種銘柄の上昇・下落寄与度はこちら↓)
https://nikkei225jp.com/nasdaq/
(お願い)
海外市場のデータは取得時のものであり、速報値の可能性があります。
閲覧・購読者自身でご確認いただきますようお願いします。
以上
—–** アナリスト・トレーニング **—–