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2019年4月17日
【海外投資家が4月に日本株を買い越すアノマリー】(4月17日配信)
おはようございます。
【海外投資家が4月に日本株を買い越すアノマリー】
【16日の海外市場】
16日の米国株は反発、NYダウは前日比67ドル高
- 16日の米金融市場は、長期金利は上昇(債券相場は下落)、NY株価は反発しました。ドイツの経済指標が改善したほか16日の中国上海総合指数が前日比2.3%上昇となったことを受け、英国やドイツなど欧州の主要な株価指数も堅調で米国市場にも株高の流れが波及しました。アップルと訴訟で和解したクアルコム株が急騰しフィラデルフィア半導体指数は同3%を超える上昇となりました。
- 米債券市場は長期金利が2.59%と前日の2.55%から上昇しました。世界景気後退懸念や株高を受け資金が債券から株式にシフトしました。ドル円相場は1ドル=112円と前日とほぼ変わらずで推移しました。
- 16日のドイツフランクフルト株式市場で、ドイツDAX指数は前日比81ポイント高と5日続伸し12,101.32で引けました。連日で2018年10月上旬以来、約半年ぶりの高値となりました。中国株式市場が堅調だったことや、朝方に欧州経済研究センター(ZEW)が発表したドイツ4月のZEW景況感(期待指数)はプラス4.5と前回のマイナス3.6や市場予想のプラス0.5を上回る改善を見せたことも投資家の買い安心感につながりました。
- 16日のNYダウは前日比67ドル(0.26%)高の26,452ドルと反発しました。S&P500種は0.05%高とほぼ横ばいでした。ボーイングやキャタピラーなど中国関連が上昇した他、金利上昇を受けゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェース、アメリカン・エキスプレスといった金融が買われ、相場を押し上げました。半面、最近堅調に推移していた医療保険大手のユナイテッドヘルス・グループやファイザー、メルクといったヘルスケア-関連やウォルトディズニーが下落しました。
- 医薬品・日用品のジョンソン・エンド・ジョンソンが16日発表した2019年1~3月期決算は、純利益が前年同期比14%減となりました。2019年通期の見通しについては、売上高が1月時点の予想から引き上げました。同社の株価は同1.1%上昇、1銘柄でダウを10ドル押し上げました。
- 動画配信大手の米ネットフリックスが16日夕に発表した2019年1~3月期決算は、世界で契約者数が大幅に増えたことから売上高が前年同期比22%増の45億2,099万ドルと市場予想を上回りました。株価は前日比3%高で引けたものの、4~6月期の見通しが慎重と受け止められ、時間外取引で下落しています。
- ナスダック総合は前日比24ポイント(0.30%)高と反発し8,000で引けました。昨年10月上旬以来となる8000台に乗せました。半導体関連はアップルと和解したクアルコム株が同23%高と急騰。AMDやマイクロン・テクノロジー、アプライドは2%を超す値上がりとなりました。フィラデルフィア半導体指数(SOX指数)は同3.19%高で引けました。投資家の不安心理を示す米VIX指数は12.18と前日の12.32から改善しました。
- 国際商品市場ではニューヨークWTI原油先物は前日比0.65ドル高の1バレル=64.05ドルで引けました。ニューヨーク金先物価格は同14ドル安の1トロイオンス=1,277ドルで引けました。投資家がリスクを取る動きを強めており、金が売られやすい地合いとなっています。
- 全米住宅建設業者協会(NAHB)が16日発表した4月のNAHB/ウエルズ・ファーゴ住宅建設業者指数は63と、6ヵ月ぶり高水準を記録しました。市場予想と一致しました。金利低下が住宅需要を押し上げ、住宅建設業者の期待が上向いています。ただ、労働者や宅地の不足を受け、手頃な住宅がないとの不満も引き続き出ている模様です。
【今日のポイント】
海外投資家が4月に日本株を買い越すアノマリー
- 海外投資家は東京株式市場の月間売買代金の約70%のシェアを占めており、海外投資家の売買動向が東京市場の先行きを決定付けていると言っても過言ではありません。2019年は海外投資家が年初から計2兆5,000億円も売り越しており株式市場の上値を抑えてきました。海外投資家の売り越しがここまで大規模でなければ、海外市場との株価回復の格差も小さかったと言えます。
- 海外投資家は4月に日本株式を買い越すアノマリーがあります。アノマリーとは、マーケットにおいては、はっきりとした理論的な根拠を持つ訳ではないものの、実際に"よく当たるかもしれない"とされる経験則のことを言います。2009年以降、4月は10年連続で買い越しとなっています。
- 特に、リーマンショックがあった翌年の2009年や東日本大震災の2011年、4月から消費税が引き上げられた2014年、チャイナショックがあった翌年の2016年、米長期金利が上昇し年初から急落した2018年も1~3月が大幅売り越しのあと、4月は買い越しとなっています。相当な悪材料が重なっていても4月は買い越すという経験則があるわけです。
- 海外投資家が4月に買い越す理由ははっきりしませんが、理由の一つは日本が新年度に入ることで日本の株式需給が改善することがあります。国内機関投資家が新しい資金で運用をスタートすることで株式需給が改善、海外投資家はそれまでに落とし過ぎた日本株比率を復元するためと考えられます。二つ目に4月から始まる3月期決算発表において、海外投資家が国際競争力の強いグローバル銘柄や小型成長株など好業績銘柄を積極的に買い入れる動きが強まることなどが考えられます。
- 今年は例年通り買い越しとなるか注目されます。すでに4月第1週(1日~5日)の売買統計が発表となっていますが、海外投資家は6,228億円の買い越しとなっており、大きなショックがなければ買い越す可能性は高いと思われます。
- 足元の日本株市場の回復は海外投資家の買戻しが影響していると考えられます。
海外投資家の売買状況
https://analyst-training.jp/wp/wp-content/themes/analyst-training/images/pdf/20190417mailing.pdf
4月16日(火)
米国金融市場の主な指標
- 米10年国債利回り:2.59%(前日2.55%)
- ドル円相場:1ドル=112.00-112.01円(前日112.00-112.01円)
- ニューヨークダウ30種平均:26,452.66ドル(前日比+67.89ドル)
- ナスダック総合株価指数:8,000.23ポイント(前日比+24.22ポイント)
- S&P500種株価指数:2,907.06ポイント(前日比+1.48ポイント)
- フィラデルフィア半導体指数(SOX指数):1,533.22ポイント(前日1,485.82ポイント)
- 米VIX指数(恐怖指数):12.18(前日12.32)
- ニューヨークWTI原油先物1バレル=64.05ドル(前日比+0.65ドル)
- ニューヨーク金先物1トロイオンス=1,277.2ドル(前日比-14.1ドル)
東京株式市場
- 日経平均株価:22,221.66円(前日比+52.55円)
- TOPIX:1,626.46ポイント(前日比-1.47ポイント)
データを参照したサイト(ダウ30種銘柄の上昇・下落寄与度はこちら↓)
https://nikkei225jp.com/nasdaq/
(お願い)
海外市場のデータは取得時のものであり、速報値の可能性があります。
閲覧・購読者自身でご確認いただきますようお願いします。
以上
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