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2019年4月10日
【大型連休と海外イベント】(4月10日配信)
おはようございます。
【大型連休と海外イベント】
【9日の海外市場】
9日の米国株は続落、欧州との摩擦懸念
- 9日の米金融市場は米政権が欧州連合(EU)からの輸入品に関税を課す方針を示したことを嫌気し長期金利は低下(債券価格は上昇)、ドル安・円高、NY株式は続落となりました。IMFが世界経済見通しを下方修正したことも債券買い・株式売りを促しました。最近、値上がりが続いていた半導体関連にも利益確定売りが広がりました。FOMC議事録公表や英国のEU離脱問題を協議する臨時EU首脳会議を前に売買を手控える動きも出ています。
- NYダウは続落し、前日比190ドル(0.72%)安の2万6,150ドルで引けました。S&P500種は0.61%安と反落しました。米ボーイングが同1.4%下落しダウを約37ドル引き下げました。同社が9日発表した2019年1~3月の旅客機の引き渡し機数は全体の7割超を占める新型機「737MAX」が墜落事故で出荷が止まったことが影響し、前年同期比19%減の149機となったことが影響しました。
- 米政権が欧州連合(EU)からの輸入品に関税を課す方針を示し、貿易摩擦激化が世界経済の減速を招くとの懸念が強まりました。トランプ米大統領は9日、EUが航空機大手エアバスに支給する補助金が不当だとして、110億ドル分のEU製品に関税を課す姿勢を示しました。欧米の貿易協議が難航するとの警戒感を誘いました。
- IMFは2019年の世界成長率見通しを3.3%とし、1月に予測した3.5%から引き下げました。債券市場では買いが優勢となり米長期金利は2.5%と前日の2.52%から低下しました。ドル円相場は1ドル=111.13円と前日の111.49円からドル安・円高で推移しました。
- アップルやアマゾン・ドット・コム、アルファベットなど大型IT関連は小幅に下落しました。エヌビディア、AMD、マイクロン・テクノロジーなど半導体関連は利益確定売りに押されました。ナスダック総合は前日比44ポイント(0.56%)安の7,909と3日ぶりに反落しました。史上最高値が続いていたフィラデルフィア半導体指数(SOX指数)は同1.14%安で引けました。投資家の不安心理を示す米VIX指数は14.28と前日の13.17から上昇しました。
- 国際商品市場ではニューヨークWTI原油先物は前日比0.42ドル安い1バレル=63.98ドルで引けました。ニューヨーク金先物価格は同6.4ドル高の1トロイオンス=1,308ドルで引けました。
- 米2月の雇用動態調査(JOLTS)によると、非農業部門の求人数(季節調整済み、速報値)は、前月から53.8万件減の708.7万件となり、2018年3月以来11カ月ぶりの低水準となりました。史上2番目に多い求人数となった前月から減少。厳冬など一時的要因が影響した模様です。しかし2月の求人数は依然失業者数を85万件上回っており、引き続き労働市場は逼迫している状況です。一方、米雇用統計によると3月の就業者数は19.6万人増と大きく回復しており、雇用市場はやや軟化の兆しがみられるものの堅調さを維持しているといえます。
- 国際通貨基金(IMF)は9日公表した最新の世界経済見通し(WEO)で、2019年の世界成長率見通しを3.3%とし、1月に予測した3.5%から引き下げました。09年以来の低成長となる見通しです。米国の今年の成長率見通しは2.3%と、前回の予想から0.2ポイント下方修正した一方、米FRBが利上げを停止したことで20年の米成長率見通しを0.1ポイント上方修正し1.9%としました。ユーロ圏の今年の成長率見通しは1.3%と、3ヵ月前より0.3ポイント引き下げました。中国は0.1ポイント引き上げ6.3%、日本は0.1ポイント下方修正し1.0%としました。
【今日のポイント】
大型連休と海外イベント
- 今月末の大型連休は国内投資家だけでなくグローバル投資家にとっても厄介なイベントです。今年のGW(ゴールデン・ウィーク)は5月1日の新天皇即位の日が一年限りの祝日となることに伴い、10連休(4月27日~5月6日)となります。10連休中は東証をはじめ国内株式市場も休場となることが決まっています。
- 国内市場が休場の一方でニューヨークをはじめ海外株式市場は通常通りに開きます。連休中、海外市場で株価が大幅に変動するような重要な出来事が起きた場合、国内市場は株価の調整が働かないため、連休明けの初日5月7日の取引で変動要因が一気に織り込まれ、株価が大きく変動するリスクがあります。
- 恐らく、グローバル投資家は連休前にポジションを落とし、売りにも買いにも傾けない中立なポジションにして休みに入る人が多いと思います。従って連休の前の週はポジション調整の売りが出やすく市場は調整局面となり易いと思います。日本の株式市場は海外投資家が月間売買代金の70%前後を支配しているため、一時的にボラティリティが高まる可能性には注意が必要です。
- 連休中の海外では重要イベントが目白押しです。米国の企業決算では4月29日にグーグルの持ち株会社アルファベットと半導体のオン・セミコンダクタ-、4月30日にアップル、5月1日は半導体のクアルコム、電気自動車のテスラなどマーケットが注目する企業の決算発表を控えます。特にアップルは1-3月期のiPhoneの販売状況や今後の新サービスの見通しなど市場の注目度はかなり高いと思われます。
- 景気への影響が大きい米FRB関連のイベントや経済指標では、FOMC開催(4月30日~5月1日)、4月ISM製造業景況指数(5月1日)、4月の雇用統計(5月3日)などです。中国でも4月の製造業PMI(国家統計局)、同財新製造業PMI(5月2日)が発表予定です。内容次第では連休明けの国内株式市場のボラティリティを高める可能性が高いでしょう。
- 国内では3月期を本決算とする企業の決算発表と重なります。例年4月下旬から5月中旬にかけては発表が集中する時期です。特にGW前の4月末はハイテク企業の決算が集中します。4月26日に発表が予定されるのは信越化、村田製、TDK、日東電など世界的な電子部品会社、ソニーと日立も発表予定です。自動車関連ではデンソーと本田技研が予定されます。東証への届け出によると今年も4月25日~26日で282社(同13%)が決算を発表する予定です。
- ただし、こうした連休中のイベントは株価を上下に動かす材料でしかなく、トレンドを決めるものではありません。株価の方向性を決めるのは経済の先行き見通しと企業業績見通しです。連休中の変動材料を織り込めば(変動が終われば)通常の相場に回帰するだけです。米経済への信頼感が回復しつつあるため、ひょっとして、急落する局面があれば買いタイミングとなるかもしれません。
4月9日(火)
米国金融市場の主な指標
- 米10年国債利回り:2.5%(前日2.52%)
- ドル円相場:1ドル=111.13-111.14円(前日+111.49-111.50円)
- ニューヨークダウ30種平均:26,150.58ドル(前日比-¬190.44ドル)
- ナスダック総合株価指数:7,909.28ポイント(前日比-44.61ポイント)
- S&P500種株価指数:2,878.20ポイント(前日比-17.57ポイント)
- フィラデルフィア半導体指数(SOX指数):1,464.52ポイント(前日1,481.38ポイント)
- 米VIX指数(恐怖指数):14.28(前日13.17)
- ニューヨークWTI原油先物1バレル=63.98ドル(前日比-0.42ドル)
- ニューヨーク金先物1トロイオンス=1,308.3ドル(前日比+6.4ドル)
東京株式市場
- 日経平均株価:21,802.59円(前日比+40.94円)
- TOPIX:1,618.76ポイント(前日比-1.38ポイント)
データを参照したサイト(ダウ30種銘柄の上昇・下落寄与度はこちら↓)
https://nikkei225jp.com/nasdaq/
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海外市場のデータは取得時のものであり、速報値の可能性があります。
閲覧・購読者自身でご確認いただきますようお願いします。
以上
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