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2019年4月2日
【イギリスが単一市場から抜ける場合にはEU側に打撃となる可能性が大きい】(4月2日配信)

おはようございます。

 

【イギリスが単一市場から抜ける場合にはEU側に打撃となる可能性が大きい】

 

 

【1日の海外市場】  

 

債券から株式に資金がシフトしダウは329ドル高、米中の経済指標が改善

 

  • 1日の米金融市場は長期金利が大きく上昇(債券相場は下落)、ドル高、株価上昇となり、リスクオンの展開となりました。米国と中国の経済指標が改善したほか、今週からワシントンで始まる米中閣僚級協議が順調に進みそうだとの観測も株高を支援しました。アップルに部品を供給する中国の半導体メーカーの決算が改善したとの報道で半導体関連が大きく上昇しました。 
  • NYダウは前週末比329ドル(1.27%)高の26,258ドルと3日続伸、昨年10月上旬以来、ほぼ半年ぶりの高値で引けました。中国と米国の製造業の景況感を示す指標が市場予想を上回ったことで米長期金利が上昇、債券が売られ株式に資金がシフトしました。S&P500種は同1.16%高で引けました。
  • 中国の国家統計局が発表した製造業PMIが半年ぶりに50を上回ったことを受け、ボーイングが同2.7%高、建機のキャタピラーが3.5%高、スリーエムが2%高となるなど、中国関連が大きく買われました。今週もワシントンで続く米中の貿易協議が進展するとの期待も高まっています。ホームデポなど景気敏感が幅広く買われ、ゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェース、ビザなど金融も買われました。
  • 米景気指標の改善を受け米長期金利は2.50%と前週末の2.40から大きく上昇(債券相場は下落)しました。ドル円相場は111.36円と前週末の110.81円からドル高・円安で推移しました。
  • フィラデルフィア半導体指数(SOX指数)は同2.49%高で引けました。AMDやブロードコム、マイクロン・テクノロジーなど大手半導体株は同1.6~3%と大幅に上昇しました。米アップルに部品を供給する中国の業者が予想を上回る業績を発表したことが好感され、ドイツの半導体大手のインフィニオンテクノロジーズが大幅に上昇しました。米半導体関連にも人気が波及しました。ナスダック総合は99ポイント(1.29%)高の7,828で引けました。投資家の不安心理を示す米VIX指数は13.40と前週末の13.71から一段と改善しました。
  • 国際商品市場では中国の経済指標の改善を受けWTI原油先物は同1.45ドル高の1バレル=61.59ドルで引けました。一時61.72ドルと昨年11月以来、5ヵ月ぶりの高値まで買われました。金先物価格は4.3ドル安ドルで引けました。
  • 米3月ISM製造業景気指数は55.3と、2016年11月以来の低水準だった前月の54.2から上昇し、市場予想の54.5も上回りました。生産、新規受注、雇用など全てが上昇しました。雇用指数は57.5と、前月の52.3から上昇。新規受注指数も57.4と前月の55.5から上昇した。価格指数は54.3に上昇しました。ISM製造業景況指数は50が好不況の境目で50を割り込むと一定期間後に景気が後退するサインとされます。3月のISM製造業景況指数の改善は米景気に対する悲観論を払拭させました。
  • 2月の米建設支出額は前月の改定値から1.0%増加しました。3カ月連続の増加で、市場予想の0.3%程度の減少を見込んだ市場予測に反して増加しました。前年同月比では1.1%増えた。民間部門は前月比0.2%増、公共部門は3.6%増えました。欧州と中国経済が減速傾向を強める中で米景気が堅調に推移していることを示唆する指標が増えてきました。

 

 

【今日のポイント】 

 

イギリスが単一市場から抜ける場合にはEU側に打撃となる可能性が大きい

 

  • EUは総人口が約5億人という巨大な域内市場を有しています。1993年から単一市場構築プロセスの中で、域内貿易拡大を通じた経済活性化のために関税撤廃や貿易に関する障壁の除去などを推進してきました。
  • その結果、EUの貿易総額の約65%がEU域内の取引によるものであり、イギリスとマルタを除くすべてのEU諸国でEU域内がメインの取引先となっています。そのうち多くのEU諸国の主要輸出先はドイツです。従ってドイツ経済の不振は域内貿易ネットワークを通じて域内生産拠点のある中東欧諸国に伝播するという構造的な課題が足元で顕在化しつつあります。スロバニア、チェコ、ハンガリーなどが総輸出に占める域内輸出の割合が高く域内の主要生産拠点に位置付けられます。
  • ドイツの主要輸出先は中国、米国、英国の順番となっています。中国はドイツの最大の貿易相手国であり、イギリスはドイツにとって巨額の貿易黒字を稼ぐ重要な貿易相手国です。中国の景気減速、ブレグジットの先行き不透明感の高まりはドイツの主要産業である製造業経営者のセンチメントに重要な影響を与えています。3月のドイツ製造業PMIが6年ぶりの低水準に悪化するなど影響が広がっています。同時にドイツ経済の不振は域内生産を担う中東欧諸国の経済を悪化させ、EU全体の経済を一段と減速させるリスクがあります。
  • EU各国にとってイギリスは重要な輸出先であり、かつ貿易黒字を計上する相手国となっています。とりわけオランダは2017年で総輸出に占める対イギリスの割合が10%とかなり高い比率となっています。イギリスはドイツにとって対英貿易黒字が500億ドルをこえる重要な貿易相手国です。総輸出に占めるイギリスの割合が5%以上である国はEU28加盟国の約半数にのぼり、ベルギー・ルクセンブルグが9.5%、デンマーク7.8%、フランス7.0%、スペイン7.0%、ドイツ6.8%、ポルトガル6.7%、ポーランド6.5%を含め、ほぼすべての国が対イギリスで貿易黒字を計上しています。これらの国はイギリスが主要輸出先、かつ貿易黒字計上先であるため、ブレグジット後の英・EU間の通商協定がまとまらない場合、より打撃を受けるのはEU側となる可能性が高いわけです。
  • 一般的なメディアの報道では、ブレグジットに関する英・EU間の通商交渉は「イギリスが単一市場のメリットを享受したがっている」というものが多いようです。実際にそのメリットはあるものの、上述のように、イギリスが単一市場から抜ける場合に打撃を受けるのはEU側であることに注意が必要です。とりわけ、足元のドイツ経済の失速と域内経済の景況感悪化の状況下では、EU側としては「合意なき離脱」の回避は必達目標となっており、これはイギリスの離脱交渉に関するEU側の態度軟化に表れています。英議会がEU離脱方針を巡って迷走している割に英ポンドなどマーケットが意外に冷静に推移しているのはこうした事情があるためと思われます。

 

 

4月1日(月)

 

米国金融市場の主な指標

 

  • 米10年国債利回り:2.50%(前日2.40%)
  • ニューヨーク市場ドル円相場:1ドル=111.36-111.37円(前日110.81-110.82円)
  • ニューヨークダウ30種平均:26,258.42ドル(前日比+329.74ドル)
  • ナスダック総合株価指数:7,828.91ポイント(前日比+99.59ポイント)
  • S&P500種株価指数:2,867.19ポイント(前日比+32.79ポイント)
  • フィラデルフィア半導体指数(SOX指数):1,430.24ポイント(前日1,395.51ポイント)
  • 米VIX指数(恐怖指数):13.40(前日13.71)
  • ニューヨークWTI原油先物1バレル=61.59ドル(前日比+1.45ドル)
  • ニューヨーク金先物1トロイオンス=1,294.2ドル(前日比-¬4.3ドル)

 

 

東京株式市場

 

  • 日経平均株価:21,509.03円(前日比+303.22円)
  • TOPIX:1,615.81ポイント(前日比+24.17ポイント)

 

データを参照したサイト(ダウ30種銘柄の上昇・下落寄与度はこちら↓)

https://nikkei225jp.com/nasdaq/

 

 

(お願い)

海外市場のデータは取得時のものであり、速報値の可能性があります。

閲覧・購読者自身でご確認いただきますようお願いします。

 

以上

 

 

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