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おはようございます。
【再び注目され始めたフィンテック関連】
【ニューヨーク市場】 20日の米国株はそろって上昇、国際商品市況が一段高
- 20日のニューヨークの金融市場は株式市場の主要3指数がそろって上昇となり、リスクオンの流れが続きました。米FOMCの議事要旨が公表されましたが米長期金利は小動きで推移しました。ドルは主要指数に対して朝方は下落しました。米中通商協議の再開が貿易摩擦の解消につながるとの楽観的な見方を背景に、安全資産であるドルを売って他通貨を買う動きが広がりました。その後、米FOMCの公表を受けてドルが買われました。米トランプ政権が通商合意の一環として人民元切り下げを行わないよう中国側に求めているため、人民元は対ドルで上昇しました。
- NY原油先物は一時1バレル=57.55ドルと3カ月ぶりの高値、金先物価格も2018年4月以来の高値まで買われるなど国際商品市況は堅調でした。リスク資産に資金が流入する傾向が続いています。
- 20日の米株式相場でNYダウは前日比63ドル高い25,954ドルで引けました。S&P500種、ナスダック総合も上昇しました。建機のキャタピラー、航空機のボーイングが上昇、2銘柄でダウを65ドル押し上げました。
- 投資家の不安心理を示す米VIX指数は14.02と前日の14.88から低下しました。投資家がリスクを取りやすいことを示唆しています。エヌビディアやマイクロン・テクノロジーズなど半導体関連はしっかりで推移し、フィラデルフィア半導体指数(SOX指数)は同0.8%と上昇しました。ナスダック総合は小幅に続伸しました。
- 米FRBは20日、1月29~30日に開いたFOMCの議事要旨を公表、保有資産を縮小する「量的引き締め」を巡って議論し、参加者の大半が「終了時期は2019年後半」とみていることが分かりました。パウエル議長は2018年12月のFOMC後の記者会見では「資産縮小は順調で見直す予定はない」と主張していましたが、大幅に方針を改めました。一方で、ほかの数人は「経済が想定通りに推移すれば19年後半の利上げが適切だ」と述べ、若干の追加利上げがある可能性に触れました。参加者の大半は物価などの経済指標を注視することで一致しました。
- 米抵当銀行協会(MBA)が公表した住宅ローン申請指数(15日終了週)は、前週から3.6%上昇。長期金利の低下で借り入れコストが10カ月ぶりの低水準付近にあり、5週ぶりに上昇しました。住宅市場には追い風となりつつあります。
【今日のポイント】
再び注目され始めたフィンテック関連
- 昨年、世界の株式市場で話題になったフィンテック関連が再び注目され始めています。米ナスダック市場でフィンテック関連銘柄が史上最高値を更新しはじめたうえに、日本の消費税増税が近づいていること、日本における電子マネーの普及拡大、金融庁が高額送金業務を銀行以外の企業に認める方針を発表したこと、などがその背景と思われます。
- 米ナスダック市場でデジタル決済サービスの大手、ペイパル(PYPL)やフィサーブ(FISV)の株価が、今月に入り史上最高値を更新してきました。2社のライバルであるスクエア(SQ)の株価も着実に下値を切り上げています。ペイパルは先日の決算発表において、旧親会社でEコマース大手のイーベイ(EBAY)経由の決済取扱高は減速しましたが、イーベイ以外の事業者の決済取扱高が順調に拡大していることが確認されました。稼動口座数の増加に加え、1稼動口座当たりの決済件数も増加が続いています。同社のビジネスの基調は強いことが改めて評価されました。
- わが国では通信会社や小売り企業の金融分野への新規参入など、金融とIT(情報技術)の融合は加速しています。技術革新とともに設備投資が拡大していく可能性は極めて高く、世界の景気動向に影響を受けず成長していく分野と期待されます。
- 10月の消費増税対策として安倍政権ではポイント還元が検討されています。それ以上にキャッシュレス推進は株式市場が評価する成長戦略の一つです。経済産業省は2018年4月に「キャッシュレス・ビジョン」という報告書を発表。現在19.8%と韓国(96%)や米国(46%)に劣るキャッシュレス比率を将来80%にする意欲的な目標を掲げています。安倍首相は2月12日の衆院予算委員会で「中小・小規模事業者に対して決済端末導入を支援し、負担をゼロにしたうえで、その一部を補助する」と述べました。専門家はキャッシュレス化の時代が「公衆電話がなくなったときと同じように、いつの間にか普及している可能性がある」と指摘しています。
- 意外にも、高齢者の間でキャッシュレス決済が進んでいる実態が報告されました。総務省の統計によると70歳以上の電子マネー平均利用額は直近5年で87%増え、伸び率は全世帯の平均(58%)を大きく上回りました。世帯主が70歳以上では2012年時点で年8,688円と全世帯平均の8割でしたが、17年には1万6,216円に増え、全世帯の平均に並びました。80歳以上に限ると1万7,492円と全世帯のなかで最多です。
- 電子マネーは使える金額の上限をあらかじめ設定できるうえに、現金を数えなくて済むメリットがシニア世代に受け入れられているようです。高齢者には特典も多いことも評価の一つです。「高齢者は現金へのこだわりが強い」との固定観念とは逆の動きです。日本は意外に早くキャッシュレス社会が到来する可能性も否定できません。
- 金融庁は2月19日、一度に100万円を超す送金業務を銀行以外の企業に認める方針を示しました。送金(決済)は預金、貸し出しと並ぶ銀行の最も基本的な業務の一つです。金融とITが融合したフィンテックによって迅速で割安な高額送金サービスが実現すれば、銀行の牙城だった企業間送金の分野でも競争が激しくなると見込まれます。しかし、フィンテック関連企業には大きなビジネスチャンスになる可能性が高いと考えられます。
以下にフィンテック関連と思われる銘柄ならびにフィンテックに関連するファンドの情報、フィンテック関連銘柄の株価チャートのアドレスを添付します。
(なお、ここに掲載した図表は最近のマーケットの状況を伝えるために掲載したもので、個別の銘柄やファンドを推奨するものではありません)
フィンテック関連銘柄の例
ペイパル(PYPL)
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/us/chart/PYPL
フィサーブ(FISV)
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/us/chart/FISV
スクエア(SQ)
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/us/chart/SQ
GMO-PG(3769)
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/stocks/chart/?code=3769.T
CTC(4739)
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/stocks/chart/?code=3769.T
TIS(3626)
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/stocks/chart/?code=3626.T
ウェルネット(2428)
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/stocks/chart/?code=2428.T
グローバル・フィンテック株式ファンド
https://www.nikkoam.com/products/detail/643335
2月20日(水)
米国金融市場の主な指標
- 米10年国債利回り:2.64%(前日2.63%)
- ニューヨーク市場ドル円相場:1ドル=110.82-110.83円(前日110.56-110.57円)
- ニューヨークダウ30種平均:25,954.44ドル(前日比+63.12ドル)
- ナスダック総合株価指数:7,489.07ポイント(前日比+2.30ポイント)
- S&P500種株価指数:2,784.70ポイント(前日比+4.94ポイント)
- 米フィラデルフィア半導体指数(SOX指数):1360.28ポイント(前日1,348.49ポイント)
- 米VIX指数(恐怖指数):14.02(前日14.88)
- ニューヨークWTI原油先物1バレル=56.92ドル(前日比+0.83ドル)
- ニューヨーク金先物1トロイオンス=1,347.90ドル(前日比+3.1ドル)
東京株式市場
- 日経平均株価:21,413.49円(前日比128.84円)
- TOPIX:1,613.47ポイント(前日比+6.95ポイント)
データを参照したサイト(ダウ30種銘柄の上昇・下落寄与度はこちら↓)
https://nikkei225jp.com/nasdaq/
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海外市場のデータは取得時のものであり、速報値の可能性があります。
閲覧・購読者自身でご確認いただきますようお願いします。
以上
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