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おはようございます。
【米政府機関の再閉鎖は回避、さらに縮小した投機筋の円売り越しポジション、今週の重要イベント】
【ニューヨーク市場】 15日の米国株は大幅反発、ダウは443ドル高
- 15日のニューヨークの金融市場は、株式相場は主要3指数が揃って大幅上昇となりました。NYダウ平均は8週連続で前週末の終値を上回り、連続上昇記録としては2017年10月以来の長さとなりました。ナスダック総合も8週続伸となりました。米国株式市場は今年に入り長期上昇が続いています。ただし、株価収益率が16倍台に乗せておりそろそろ上値の重さが意識される水準に来ています。ニューヨーク原油先物相場は4日続伸、年初来高値を付けました。米中の貿易摩擦が解消の兆しを見せる中、サウジアラビアが同国最大のオフショア油田の生産を縮小したため買いが膨らみました。
- 15日発表された経済指標は強弱入り混じり、債券市場と為替相場はほぼ横ばいでした。債券市場は長期金利が2.66%と前日の2.65%からほぼ変わらず。ドル円相場は110.40ドル台と前日からややドル安で推移しました。
- NYダウ平均は前日比443ドル(1.7%)高の25,883ドルと大幅反発、昨年11月9日以来、約3カ月ぶりの高水準となりました。北京で開いた米中貿易協議を、今週ワシントンで継続する米政府方針が伝わりました。トランプ大統領は15日の会見で、期限を延長する場合は「現在と同じ関税を課す。関税は引き上げない」と指摘、関税の引き上げが遠のいたとの見方が広がりました。
- ナスダック総合は同0.6%高い7,472ポイントで終了し、6日続伸となりました。ナスダック総合は、昨年クリスマスイブにつけた安値6,192ポイントから20.6%高となり「弱気相場」を脱出。長期のトレンドラインとされる200日移動平均線も11月8日以来、約3カ月ぶりに回復しました。投資家の不安心理を示す米VIX指数は14.91と前日の16.22から改善しました。フィラデルフィア半導体指数(SOX指数)は同0.5%高と続伸しました。
- S&P500種セクター別はすべての業種が上昇、金融、エネルギー、ヘルスケア、素材、資本財など景気敏感が上位を占めました。先日の決算で市場予想を上回る増収増益となった米航空機メーカーのボーイングが2%近く上昇。米中通商協議の進展期待が一段と高まったことで、業績向上期待の買いが強まり株価は7営業日ぶりに終値での上場来高値を更新しました。1銘柄でダウ平均を55ドル押し上げ、年初来では29%高となりました。他ではキャタピラーの同2.7%上昇やスリーエムが同1.9%上昇するなど中国関連の銘柄の上昇が目立ちます。ゴールドマン・サックスは3%を超える上昇となりました。
- 1月の米鉱工業生産指数は前月比0.6%低下し、8カ月ぶりのマイナスとなりました。自動車が2009年以来の大幅な低下を記録するなど、幅広い分野で低下が見られ、生産活動が急減速しているとの懸念が強まる可能性があります。
- 2月のミシガン大学消費者マインド指数(速報値)は95.5と市場予想93.7を上回りました。2年ぶり低水準だった1月の91.2を上回る持ち直しを示しました。現況指数は1.2ポイント上昇、期待指数は6.3ポイント上昇しました。政府機関の閉鎖が終了したほか、米金融当局が利上げ見合わせを示唆したことが背景とみられます。1月までの経済指標は悪化するものが見られますが、2月の指標はマインド指標を中心に改善しているものが増えている印象です。
- サンフランシスコ地区連銀のデイリー総裁が、年内の利上げは不要との考えを示唆し、ハト派的な発言と受け止められました。同総裁は経済成長の減速に加え、インフレが抑制されていることを踏まえると、米FRBは年内に利上げを実施する必要はないとの考えを示しました。14日のブレイナード米FRB理事に次ぐハト派的発言です。株価に影響した可能性があります。今週もFRB高官の講演を控えますが、注目されます。
【今日のポイント】
1.米政府機関の再閉鎖は回避
- トランプ米大統領は15日、未成立分の2019会計年度予算に署名し、予算が失効して政府機関が再閉鎖する事態は回避されました。同時にトランプ大統領は議会承認を得ずに国境の壁の建設を進めるため、「非常事態」を宣言しました。この政治的判断に対してNY株式市場は大幅反発で反応しました。議会の権限を無視する「禁じ手」に野党・民主党は反発を強めており、今後は政策協議の停滞が懸念されますが、市場は政府機関再閉鎖の回避の材料に反応したようです。
- 同時に15日の市場では、北京で開いた米中貿易協議を今週ワシントンに会場を移して継続する政府方針が伝わり協議進展への期待が高まりました。トランプ大統領が15日、中国製品に対する関税引き上げ期限を延長する可能性に言及し、引き上げが遠のいたとの見方が広がりました。
- 今後は非常事態宣言の合憲性を巡り法廷闘争に持ち込まれる見込みですが、合憲性に関しての争議は長期化することが必至であるため、市場では短期的なリスク要因とみていないようです。今回のメキシコの壁の予算問題は政府機関の再閉鎖を避けることを最優先し、共和党、民主党にとってダメージの少ない勝利を模索したということを意味しており、中国の貿易交渉においても柔軟で現実的な方法を模索する可能性が強いと見ることができます。
2.さらに縮小した投機筋の円売り越しポジション
- 米商品先物取引委員会(CFTC)のデータによると、1月22日時点の投機筋の円売り越しポジションは▲39,667枚の売り越しとなりました。2018年7月3日(▲38,730枚)以来の低水準です。売り越し規模は12月4日時点の▲109,766枚をピークに年明け以降は急減。週間ベースで1月8日▲61,314枚、1月15日▲46,421枚、そして1月22日は▲4万枚割れまで大きく減りました。金額ベースでは12月4日の1兆3,720億円から22日時点で4,958億円まで63%も減ったことになります。
- 円の買い戻す圧力は大きく減少したと捉えられる一方、材料次第では、投機筋は新たに円を売る余力があることを示します。投機筋の需給関係からは円高圧力が後退したと言えそうです。株式市場にも安心材料となりそうです。
CFTCの円ポジションはこちら↓
https://www.dai-ichi.co.jp/market/cftc.asp?cd=5070
3.今週の重要イベント
- 今週の東京市場では、日経平均が21,000円をはさんでもみ合いが予想されます。先週の日経平均の高値が21,235円と中期の移動平均線である13週線にタッチしたところで押し戻されました。20,500円前後では中長期運用の実需買いが入るものの、上値追いは株価指数先物の買い戻しが主導しているため、21,000円以上は重いようです。
- 今週は米中協議への進展観測やFRBの政策転換への期待が相場を支えると見られます。しかし、中国経済減速による実体経済への下振れ懸念は払えておらず、買戻し以外に上値を追う投資家は見られません。
- 今週の材料としては20日の米FOMC議事録(1月開催分)や米住宅関連指標が注目されます。週末にはFRB高官の講演が予想されており、注目されます。
- 最近景気指標の悪化が目立つ欧州では、ドイツのセンチメント指標やドラギECB総裁の講演が予想されており、景気認識についての発言が注目されます。
- なお、20日は日米貿易交渉「TAG」(米国)の交渉開始可能日(1月20日)から1カ月を経過します。中国との貿易交渉を優先する米国の事情で大幅に遅れています。これは日本にとってある意味朗報で、年後半まで行われないという見通しも出てきました。米国の交渉を担当するライトハイザーUSTR代表と河野外相がジョージタウン大学の同窓であることも、日米交渉が悪くならない要因と言われます。
今週の重要イベント
(2月18日-2月22日)
18日 :プレジデントデー(ワシントン誕生記念日)で米国休場
:日本12月の機械受注
19日 :2月米NAHB住宅市場指数
:独2月ZEW景況指数
20日 :米FOMC議事録(1/29-30日分)
:米住宅着工件数
:日本訪日外国人観光客
:日本1月の貿易統計
21日 :1月米景気先行指数総合指数
:1月米中古住宅販売件数
:2月米フィラデルフィア連銀景気指数
:豪州失業率
22日 :米FRB半期金融政策報告書議会提出
:クラリダ米FRB副議長の講演
:クオールズ米FRB副議長が討論参加
:ウイリアムズNY連銀総裁の講演
:ドラギECB総裁の講演(伊)
:独2月ifo景況指数
:1月中国主要70都市新築住宅価格動向
23日 :安倍首相、通算在任期間が吉田茂氏超え
(予定であり変更の可能性があります)
2月15日(金)
米国金融市場の主な指標
- 米10年国債利回り:2.66%(前日2.65%)
- ニューヨーク市場ドル円相場:1ドル=110.40-110.41円(前日110.45-10.46円)
- ニューヨークダウ30種平均:25,883ドル(前日比+443ドル)
- ナスダック総合株価指数:7,472ポイント(前日比+45ポイント)
- S&P500種株価指数:2,775ポイント(前日比+29ポイント)
- 米フィラデルフィア半導体指数(SOX指数):1,351ポイント(前日1,344ポイント)
- 米VIX指数(恐怖指数):14.91(前日16.22)
- ニューヨークWTI原油先物1バレル=55.59ドル(前日比+1.18ドル)
- ニューヨーク金先物1トロイオンス=1322.1ドル(前日比+8.2ドル)
東京株式市場
- 日経平均株価:20,900円(前日比-239円)
- TOPIX:1,577ポイント(前日比-12ポイント)
データを参照したサイト(ダウ30種銘柄の上昇・下落寄与度はこちら↓)
https://nikkei225jp.com/nasdaq/
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