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2019年2月14日
【米国の利上げ打ち止めを本格的に織り込み始めた米金融市場、NYダウ採用銘柄で価格寄与度の高いボーイングの株価位置】(2月14日配信)

おはようございます。

 

【米国の利上げ打ち止めを本格的に織り込み始めた米金融市場、NYダウ採用銘柄で価格寄与度の高いボーイングの株価位置】

 

 

【ニューヨーク市場】 13日の米国株はそろって続伸、政府閉鎖の回避を好感

 

  • 13日のニューヨークの金融市場は、米長期金利は上昇(国債相場は低下)、米株式市場は続伸となり、リスクオンの流れが続きました。日本、中国や香港ハンセンなど堅調なアジア株高の流れは欧州株にも波及、米国市場も押し上げられました。為替は一時1ドル=111円台で取引されました。サウジアラビアなどOPEC加盟国の協調減産が進み需給が引き締まるとの見方からWTI原油先物も続伸しました。 投資マネーは引き続きリスク資産に向かっていると考えられます。 
  • 13日のダウ工業株30種平均は前日比117ドル高い25,543ドルで引けました。昨年12月3日以来、約2ヵ月ぶりの高値水準です。米中の貿易交渉が進むとの期待感や、米政府機関の再閉鎖を回避できるとの観測が強まったことが引き続き買いを誘っています。
  • アマゾン・ドット・コムなど大型ITの一角や、エヌビディア、マイクロン・テクノロジーといった半導体関連も上昇、ナスダック総合は4日続伸、フィラデルフィア半導体指数(SOX指数)も続伸しました。
  • 米ウォール・ストリート・ジャーナル紙(電子板)は13日、トランプ米大統領が、米与野党が基本合意した新たな予算案に署名する見通しで、政府閉鎖は避けられそうだと報じました。米メディア大手ブルームバーグは、トランプ米大統領は国境警備に関する超党派合意を盛り込んだ予算案に不本意ながら署名した上で、直ちに大統領権限を利用して国境警備を強化する追加措置の資金を確保する公算が大きい、と報じています。また、香港紙は13日に「習近平(シー・ジンピン)国家主席が米交渉団と面会する予定だ」と報じました。政府閉鎖と米中協議といった先週までの市場の懸念材料が後退することを市場は織り込んでいます。
  • 債券市場は、米長期金利は2.70%と前日の2.69%からやや上昇、ドル円相場は110.97円台で引けました。一時111円台で取引されました。投資家の不安心理を示す米VIX指数は15.65と前日の15.43からやや上昇しました。
  • 1月の米消費者物価指数(CPI、季節調整済み)は3ヵ月連続で前月から横ばいでした。市場予想は0.1%上昇でした。前年同月比では1.6%上昇し、前月の伸び率1.9%上昇から鈍化しました。2017年6月以来、約1年半ぶりの小幅な伸びにとどまりました。変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアCPIは前月比0.2%上昇し、市場予想と一致しました。前年同月比は2.2%上昇でした。米インフレ率は安定しているといえます
  • 米クリーブランド地区連銀のメスター総裁は13日、賃金の上昇は前向きな兆候で、不健全な物価上昇にはつながらない可能性があると述べました。同総裁はややタカ派的と見なされていますが、ややインフレのトーンを下げた格好です。バランスシート縮小の停止を巡る計画について「今後の連邦公開市場委員会(FOMC)で」決定すると発言しています。

 

 

【今日のポイント】 

 

1.米国の利上げ打ち止めを本格的に織り込み始めた米金融市場

 

  • 世界的に株式市場が回復基調を強めています。12日のNYダウ平均は100ドル高でスタートすると一時405ドル高まで上値を伸ばし、引けは372ドル高で引けました。同日のS&P500は1.29%高と3日続伸。幅広い銘柄が買われ、公益を除く10業種が上昇。12月3日以来、約2カ月ぶりに200日移動平均線を上回りました。13日も米株式市場は続伸となっており、米市場はFRBの利上げ打ち止めを本格的に織り込み始めた可能性があります。
  • 過去に米国が利上げ基調に転じてから、何らかの理由で利上げを停止した5回(1989年、1995年、1997年、2000年、2006年)のケースを調べると、その後1年程度の期間は、米国株式(S&P500種)は1回を除いてすべて値上がりしています。唯一の例外はITバブルが弾けた2000年ですが、これは逆に、1997年に利上げを停止したために、その後株式バブルを招き、そのバブルが崩壊したことが影響しています。
  • 米長期金利は過去5回とも低下基調をたどりました。このうち1989年と2000年、2006年はその後長短金利が逆転し、米国は景気後退を迎えました。またドル円相場は短期的に円高・ドル安となるものの、リスクオンでドルが買われる傾向にあります。
  • ちなみに日本の株式相場(日経平均)は、半年間は上昇が3回、下落が2回とまちまちです。米国市場に追い付こうと上昇するものの、それまでよりもやや円高圧力が上値を抑制するため、米国市場よりもパフォーマンスは劣後する傾向があります。
  • 今年3月の米FOMCでは金利据え置きが見込まれますが、市場では6月も据え置きを予想しています。現在のマーケットはまさに米利上の停止を織り込む状況になりつつあります。
  • NYダウは2月12日時点で、昨年10月の史上最高値26,828ドルから、12月の過去52週安値21,792ドルまでの下落幅の72%を回復しています。10月の史上最高値まではあと5.2%の距離に迫っています。多くの投資家は史上最高値の再更新を意識し始めているようです。しかしFRBは今後の金融政策は「データ次第」と繰り返していますので、引き続きインフレ指標には注意が必要です。
  • 過去に、米長期金利が低下する際に、米国株以上に好パフォーマンスを見せるのが新興国市場です。米金利上昇が一服することで新興国から投資マネーが逃げ出すリスクが後退。ドル建て債務の負担低下や相対的に高い経済成長(≒高い金利水準)にスポットが当たり、資金が流入しやすくなります。また、米国がそれまで利上げを続けてきた際に投資マネーが逃げ出したことで、新興国の通貨や株式が大幅に下落しましたが、利上げ停止によって逆に投資魅力が回復するという背景もあります。
  • 主要通貨の2018年の年間騰落率(対ドルベース)を悪い方から見ると、アルゼンチンペソが-50.6%、トルコリラが-28.2%、ロシアルーブル-17.3%、ブラジルレアル-14.6%、南アランド-13.7%など非常に厳しい下げとなりました。逆に今年の騰落率上位(2018年末から2月1日時点)は南アランド、ロシアルーブル、ブラジルレアル、カナダドル、タイバーツなど新興国が上位に来ています。
  • 新興国市場は一部の国で昨年の通貨安の原因となった経常赤字のリスクも低下しています。例えば、昨年夏に集中的に通貨が狙われたトルコは、経常収支赤字の対GDP比率が2018年のマイナス5.7%から19年はマイナス1.4%に大きく改善する見込みです(IMF予想)。引き締めによる景気の悪化で内需が冷やされたことから輸入が減少、貿易収支の赤字が縮小するためです。
  • 景気が冷え込むことはインフレ率の抑制に働きます。例えばトルコの消費者物価指数は通貨安による輸入インフレの影響で、昨年は一時、前年同月比プラス25%となっていましたが、今年1月は同プラス20.3%まで改善しました。今後も物価上昇率が低下するようであれば、現在の政策金利(24.00%)は引き下げられることも検討されると思います。新興国のなかにはこれまでのその国固有のリスクが明らかに改善に向かっているケースもあり、昨年とはやや視線を変えてみる必要があると言えそうです。
  • 当面の狙い目は米国株式、新興国資産、日本株式という優先順位になると思われます。

 

 

2.NYダウ採用銘柄で価格寄与度の高いボーイングの株価位置

 

  • 米中貿易協議の先行きの報道が米政府高官の発言などを受けて揺れています。米国企業のなかでも対中国での売上高が大きいと考えられる銘柄の一つに航空機関連のボーイングが挙げられます。
  • ボーイングの株式は13日に410ドルとダウ採用銘柄のなかでも高い株価となっており、単純平均型で産出されるダウの値動きを大きく左右します。日経平均に採用される値がさ株のファーストリテイリングと同様です。そのボーイングの株価チャートを見てみましょう。なんと2018年に付けた高値を今年に入ってすべて更新しているのです。2018年第4四半期の売上高、EPSとも市場予想を上回る好決算を発表したことが主な要因です。ボーイングの株価は中国ビジネスの先行きに懸念がある株価チャートには見えません。

 

ボーイングの株価チャート↓

 

 

2月13日(水)

 

米国金融市場の主な指標

 

  • 米10年国債利回り:2.70%(前日2.69%)
  • ニューヨーク市場ドル円相場:1ドル=110.97-110.98円(前日110.46-10.47円)
  • ニューヨークダウ30種平均:25,543ドル(前日比+117ドル)
  • ナスダック総合株価指数:7,420ポイント(前日比+5ポイント)
  • S&P500種株価指数:2,753ポイント(前日比+8ポイント)
  • 米フィラデルフィア半導体指数(SOX指数):1,340ポイント(前日1,336ポイント)
  • 米VIX指数(恐怖指数):15.65(前日15.43)
  • ニューヨークWTI原油先物1バレル=53.90ドル(前日比+0.8ドル)
  • ニューヨーク金先物1トロイオンス=1,315.1ドル(前日比+1.1ドル)

 

 

東京株式市場

 

  • 日経平均株価21,144円(前日比+280円)
  • TOPIX:1,589ポイント(前日比+16ポイント)

 

データを参照したサイト(ダウ30種銘柄の上昇・下落寄与度はこちら↓)

https://nikkei225jp.com/nasdaq/

 

 

 

(お願い)

海外市場のデータは取得時のものであり、速報値の可能性があります。

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以上

 

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