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2019年2月7日
【海外投資家は11週間ぶりの買い越し】(2月7日配信)
おはようございます。
【海外投資家は11週間ぶりの買い越し】
【ニューヨーク市場】
6日の米国株は下落、ダウは前日比21ドル安と4日ぶり反落
- 6日のニューヨークの金融市場は米長期金利、株式市場とも小動きとなり、比較的静かな取引でした。為替市場で豪ドルの下落が注目を集めました。
- NYダウ工業株30種平均は前日比21ドル安い25,390ドルと4日ぶりに反落して引けました。トランプ大統領は一般教書演説でインフラ投資やメキシコ国境の「壁」建設など移民規制の強化に言及しましたが、目新しい内容はなく材料視されませんでした。ダウ平均は前日に2カ月ぶり高値を付けたこともあり、目先の利益確定売りを目的とした売りが出やすかった模様です。
- 前日夕に2018年10~12月期決算を発表したウォルト・ディズニーは下げました。自前の動画配信事業への参入で、従来のライセンス収入が減ると懸念された模様です。工業製品・事務用品のスリーエム(3M)は前日夕に四半期配当の引き上げを発表し株価は上昇しました。
- 米債券相場は長期金利が2.69%と前日と変わらず。投資家の不安心理を示す米VIX指数は15.38と前日の15.57からやや低下しました。前日まで上げが目立っていた大型ネット株は利益確定売りが目立ちました。アルファベット(グーグル)は2.6%安、マイクロソフトやアマゾン・ドット・コムも下落しました。一方、一部の半導体関連銘柄の好決算を受けてフィラデルフィア半導体指数(SOX指数)は前日比2.6%上昇しています。ナスダック総合は同0.4%下落と小動きでした。
- ドル円相場は110円前後の取引で小動きでしたが、市場が注目したのは豪ドルの急落です。オーストラリア準備銀行(中央銀行)のロウ総裁が6日、失業が増え、インフレの停滞が続く場合、利下げが適切になるとの考えを示したことを受け、豪ドルは対ドルで0.7115と前日比1.6%も急落、対円でも78.2円台に急落しました。ロウ総裁は昨年末には、次の一手は利下げより利上げとの趣旨の発言をしていたため昨日の発言がサプライズとなった模様です。
- 米カンザスシティー地区連銀は6日に公表した報告書で、米FRBのバランスシート縮小が借り入れ金利に上昇圧力をかけるのに重要な役割を果たしているとの見解を示しました。 米FRBは2017年第4・四半期からそれまで大量に買い入れた債券の保有を減らすバランスシートの正常化に着手しました。エコノミストの間では、FRBが国債とモーゲージ担保証券(MBS)の保有を減らすことで、銀行準備が過度に速いペースで目減りしており、米FRBの利上げの影響が増幅、米FF金利上昇の原因はFRBのバランスシート縮小にあるとの見方を示しています。同連銀の報告はそれを裏付けた格好です。今回、景気や金融市場への配慮から米FRBがハト派スタンスに転換したことと整合的です。
【今日のポイント】
海外投資家は11週間ぶりの買い越し
- 日本取引所グループ(JPX)の統計によると、海外投資家は1月第4週の日本の株式市場(現物市場)で昨年11月の第1週以来、11週間ぶりに1,202億円の買い越しに転じました。海外投資家は東証市場の売買シェアで71%(1月第4週)を占めており、彼らの売買動向が株式市場の方向を決めると言って過言ではありません。海外投資家が買い越しに転じたことは注目されます。なお、海外勢は株価指数先物では1月第1週以降4週間連続の買い越しになっています(合計4,877億円の買い越し)。米FRBの金融政策がハト派に転換することを警戒し、早めにポジションの買戻しを進めたものと思われます。海外勢の現物株式への売り圧力が低下することで株式市場は下値不安が後退し、値固めが進むと思われます。
- 海外投資家は2018年に日本株を大量に売却し、年間では▲5兆7,447億円と過去最大級の売り越しとなりました。月次ベースで買い越しになったのは4月と7月しかなく、他はすべて売り越すなど異例の年となりました。なかでもニューヨーク株式相場が急落した2月(▲1兆1,425億円)と12月(▲1兆1,458億円)は1兆円を超す大幅な売り越しとなりました。世界最大の時価総額を持つ米国市場が急落したため、米国に次いで大きい規模をもつ日本の市場で運用する資産で利益確定売りを出さざるを得なかったためと思われます。
- 年間を通じて海外勢の巨額の売りを吸収したのが国内勢で、具体的には信託銀行(年金資金)の1兆5,066億円の買い越し、事業法人(自社株買い)の2兆5,706億円の買い越し、投資信託の1兆4,172億円の買い越しでした。なお、日銀はETFを通じて6兆5,000億円もの巨額の買いを行っています。
- アベノミクス以降の海外投資家の売買動向は、2013年は15兆1,196億円、14年は8,572億円と2年連続で買い越しましたが、15年は▲2,510億円、16年は▲3兆6,888億円と2年連続で売り越しました。そして17年は7,532億円の買い越し、18年は▲5兆7,447億円の売り越しです。6年間の通算では海外投資家は7兆410億円の買い越しとなっています。16年の巨額な売り越しは、最近の中国経済や株価急落など金融市場の類似性が指摘される「チャイナショック」後の日本株式の急落が影響しています。
- 2018年10月以降の中国経済や、世界の金融市場の緊張状態を受けて、米FRBは金融政策を柔軟に見直すことを決定し、保有資産縮小政策の見直しにも言及しました。最近の米国の経済指標は市場を上回るものも多く、順調に回復を示すものが増えています。米国株式相場は年明けから上げピッチを速めています。
- 中国政府はソフトランディングに向けて減税や、インフラ投資、金融緩和など景気対策を総動員し始めました。今後、世界経済がリーマンショック級の不況に突入するならば別ですが、短期の景気循環のなかで現在が最も暗く、年央にかけて緩やかに回復に向かうとすれば、海外投資家が日本株式を大きく売却する理由は考えにくいと思います。海外投資家が積極的に買わなくても、昨年のように巨額な売り圧力がなくなるだけで、日本の株式市場の需給関係にはプラスになると考えられます。
以上
2月6日(水)
米国金融市場の主な指標
- 米10年国債利回り:2.69%(前日2.69%)
- ニューヨーク市場ドル円相場:1ドル=109.97-109.98円(前日109.93-109.94円)
- ニューヨークダウ30種平均:25,390ドル(前日比-21ドル)
- ナスダック総合株価指数:7,375ポイント(前日比-26ポイント)
- S&P500種株価指数:2,731ポイント(前日比-6ポイント)
- 米フィラデルフィア半導体指数(SOX指数):1,333ポイント(前日1,300ポイント)
- 米VIX指数(恐怖指数):15.38(前日15.57)
- ニューヨークWTI原油先物1バレル=54.01ドル(前日比+0.35ドル)
- ニューヨーク金先物1トロイオンス=1314.4ドル(前日比-4.8ドル)
東京株式市場
- 日経平均株価:20,874円(前日比+29円)
- TOPIX:1,582ポイント(前日比-0.75ポイント)
データを参照したサイト(ダウ30種銘柄の上昇・下落寄与度はこちら↓)
https://nikkei225jp.com/nasdaq/
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海外市場のデータは取得時のものであり、速報値の可能性があります。
閲覧・購読者自身でご確認いただきますようお願いします。
以上
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