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2019年2月1日
【株式市場に満額回答を提示した米FOMC】(2月1日配信)

おはようございます。

 

【株式市場に満額回答を提示した米FOMC】

 

【ニューヨーク市場】 

 

 ナスダックが1%を超える上昇

 

  • 31日のニューヨークの金融市場は、大型IT関連が上げを主導しナスダック総合指数が前日比1%を超える上昇、米長期金利は低下(国債価格は上昇)、為替市場はドル安の反応でした。ドルの代替通貨と言われるNY金先物は中心限月として1,325ドルと約9カ月ぶり高値まで買われました。原油も一時55.37ドルと2ヵ月ぶり高値まで買われました。ドル安でハイテク株高、原油高のリスクオンで、米FRBの緩和姿勢への転換を好感し、短期的にリスク資産に資金が戻っている印象です。
  • NYダウは前日の400ドルを超える上昇の反動から、前日比15ドル安と小幅に反落しましたが、底値も堅い印象です。S&P500種とナスダック総合は上昇しました。四半期決算をきっかけに化学のダウ・デュポンが売られ、金利低下からゴールドマン・サックスやJPモルガンなど金融株がダウの下げを主導しています。ダウ・デュポンは1銘柄でダウを37ドル押し下げました。30日から開かれている米中の閣僚級の貿易協議の行方を見極めたいとのムードも強い模様です。31日は中国の劉鶴副首相とトランプ米大統領が面会する予定と報じられています。
  • 30日夕に発表した10~12月期決算で売上高や1株利益が市場予想を上回ったフェイスブックが10%強上昇しました。31日夕に決算発表を控えていたアマゾン・ドット・コムが買われ、アルファベット(グーグル)やアップルも上昇し、ナスダック総合は前日比1.3%上昇しました。
  • 米債券相場は長期金利が2.63%と前日2.67%から低下しました。ドル円相場は108.82円台と109円を割り込む取引となっています。本日の日本株の上値を抑える材料となりそうです。
  • 経済指標では、米国の新規失業保険申請件数(季節調整済み、26日までの1週間のデータ)が市場予想を上回り、前週比大幅増となったほか、米民間雇用調査会社がまとめた1月の人員削減計画が前年同月比で19%増加するなど雇用指標で弱い指標が発表されました。米債券相場に影響した可能性があります。
  • 米化学・農業大手ダウ・デュポン2018年10~12月期の決算は、最終損益が市場の予想(0.87ドル程度)を上回りました。売上高は前年同期横ばいの200億ドルと伸び悩みました。為替のマイナス効果が影響しました。しかし1~3月期の売上高が前年同期比で減収となる見通しを示したことで株価は下落しました。自動車用素材などの需要に季節要因以上の落ち込みが見られるとコメントしています。
  • 投資家の不安心理を示す米VIX指数は16.57と前日の17.66からさらに低下しました。フィラデルフィア半導体指数(SOX指数)は小動きでした。

 

 

【今日のポイント】  

 

 株式市場に満額回答を提示した米FOMC

 

  • 30日の米FOMCでは予想通り利上げは見送られました。全会一致の決定となりました。声明文は、経済成長ペースは「力強いから堅調」に、市場のインフレ期待は「ほぼ横ばいから低下」と下方修正された以外は、前回の楽観的現状判断を踏襲しました。持続的成長、力強い労働市場、2%付近のインフレをなおメイン・シナリオとして提示しました。
  • しかし、「リスクは概ね均衡」の判断を削減し、見通しへの自信低下を示唆しています。「あと幾分かの段階的利上げ」も削減し、今後のFF金利の調整は「世界経済・金融市場と、抑制されたインフレ圧力を考慮し、辛抱強く決定する」と事実上、次の一手はフリーハンドとしました。
  • 声明文とは別にFRBは「金融政策の実施とバランスシートの正常化に関する声明」と題した資料を公表。その中で経済・金融市場情勢を踏まえて、バランスシートの正常化完了までのプロセスを調整する用意がある」と、このところ注目が集まっていたバランスシートの縮小の先行きについても市場に一定の配慮をしました。
  • FOMC後の記者会見でパウエル議長は今年の経済成長ペースが2018年よりも減速する見通しを示しました。バランスシートについても、従来の予測よりも正常化のプロセスが「早く」完了し、その後のFRBが保有する資産規模も従来見通しから大きくなるだろうとの見通しを示しました。大手米系証券は、当初の正常化終了の時期を2021年2Qから2020年2Qへ1年前倒し、バランスシートの規模は3.0兆ドルから3.5兆ドルへ変更しました。

 

予想されるマーケットへの影響

 

  • 米国株式にはプラス:FOMCの結果を受けた30日の米国株式市場では、NYダウが前日比+1.7%、ナスダック総合が+2.2%、半導体SOX指数が+2.8%とハイテク関連ほど歓迎する反応を示しました。米FRBの保有資産縮小時期が前倒しされ、保有資産残高も従来の見通しから多く維持するとなると、流動性低下への懸念でこれまで大きく下落してきたセクターほど回復が早くなると思われます。ただし、今回の決算発表で19年の業績見通しが変化していることから、銘柄ごとの業績のチェックは重要です。 
  • 米長期金利は上値が重くなる:当面、利上げを停止し米FRBの保有資産縮小の時期も前倒しとなると、金利と量の双方から金利上昇圧力が低下すると予想されます。
  • 為替はドルの上値が重くなる:米長期金利が上昇しにくくなると、長期金利差などからドルが対円や対ユーロで買われにくくなります。しかし、ユーロは政治リスクがあり、円とはインフレ率を考慮した日米実質金利差が開いており、極端なドル安は考えにくいと思われます。
  • 日本株は企業業績と為替にらみの展開:12月日銀短観の想定為替レートは109.41円とほぼ現状の実勢レートに近いです。むしろ今後の企業決算、特にアナリストの来期の見通しが重要になります。またドル安でも米国株(特にハイテク株)が一段と上値を追うように市場がリスクオンの反応を強めれば、日本株もそれなりに追随すると思われます。
  • 新興国の資産は買われやすい:一般的に新興国の債券は米国の債券に比べて利回り格差が大きく、金利収入が確保できます。米長期金利の低下で新興国に資金が流入すれば、新興国債券利回りが低下し債券価格の上昇が狙える可能性があります。ただし、ある程度の円高・ドル安が進む可能性は否定できません。為替をヘッジして投資を行えば為替変動リスクを避けることができます。

 

留意点

 

  • これで米国の利上げ局面の終了が決まったわけではありません。あくまで「データ次第」で判断する方針を表明しているFRBは、今後のデータ次第で再び政策スタンスを変更する可能性があります。今週の雇用統計の平均時給などインフレ指標には特に注目されます。3月のFOMCまでに強い経済指標などが発表されると、一転して緩和観測が後退する可能性も否定できませんので、注意したいところです。

 

 

1月31日(木)

 

ニューヨーク市場の主な指標

 

  • 米10年国債利回り:2.63%(前日2.67%)
  • ニューヨーク市場ドル円相場:1ドル=108.82-108.83円(前日109.00-109.01円)
  • ニューヨークダウ30種平均:24,999ドル(前日比-15ドル)
  • ナスダック総合株価指数:7,281ポイント(前日比+98ポイント)
  • S&P500種株価指数:2,704ポイント(前日比+23ポイント)
  • 米フィラデルフィア半導体指数(SOX指数):1,272ポイント(前日1,271ポイント)
  • 米VIX指数(恐怖指数):16.57(前日17.66)
  • ニューヨークWTI原油先物1バレル=53.79ドル(前日比-0.44ドル)
  • ニューヨーク金先物1トロイオンス=1325.2ドル(前日比+9.7ドル)

 

 

東京株式市場

 

  • 日経平均株価:20,773円(前日比+216円)
  • TOPIX:1,567ポイント(前日比+16ポイント)

 

データを参照したサイト(ダウ30種銘柄の上昇・下落寄与度はこちら↓)

https://nikkei225jp.com/nasdaq/

 

 

(お願い)

海外市場のデータは取得時のものであり、速報値の可能性があります。

閲覧・購読者自身でご確認いただきますようお願いします。

 

以上

 

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