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2019年1月29日
「株価回復力が米国株・新興国株>日本株と考える背景、米政府機関再開で市場が注目する投機筋の円売り越しポジション」(1月29日配信)

おはようございます。

 

 

「株価回復力が米国株・新興国株>日本株と考える背景、米政府機関再開で市場が注目する投機筋の円売り越しポジション」

 

 

【ニューヨーク市場】  キャタピラーの決算に失望し、NYダウは反落

 

  • 28日の米株式市場は大幅反落、NYダウは前日比208ドル安の24,528ドルで引けました。ダウは朝方から売りが優勢で下げ幅は一時同400ドルを超えました。キャタピラーと米半導体大手エヌビディアの決算が投資家心理に影響を与えました。ダウ採用銘柄では決算が市場予想を下回ったキャタピラーが同9%下落し、1銘柄でダウを84ドル引き下げています。
  • 米議会予算局(CBO)は28日、1月25日まで35日間続いた米政府機関の一部閉鎖で、2018年10~12月期と19年1~3月期の実質国内総生産(GDP)が合計で110億ドル(1兆2000億円)減少するとの試算を公表しました。政府閉鎖による経済への影響が判明したことは一つの安心材料です。
  • 米シカゴ連邦準備銀行が発表した2018年12月の全米活動指数は、前月比0.06ポイント高いプラス0.27となりました。同指数はゼロを上回ると米経済の成長ぶりが過去の平均を上回っていることを示し、引き続き米景気が拡大基調を続けていることが示されました。
  • 米キャタピラーが発表した2018年10~12月期決算は、北米を中心に建設・鉱山機械の販売が上向き最終黒字に転換したものの、中国の建機需要の減速により、1株利益は2.55ドルと市場予想(2.98ドル)を下回りました。
  • 米半導体大手のエヌビディアは28日、中国とデータセンターの不振により売上高見通しを下方修正しました。会社側は「特に中国で急激な経済減速があり、消費者の需要に影響を及ぼした」と説明しました。同時に経済の不透明さが増し、世界各地の顧客がデータセンターへの投資に慎重になっているとコメントしています。
  • ハイテク株が多く取引されるナスダック総合は同1.1%下落とダウの下落率を上回りました。エヌビディアの決算発表を受けて半導体株は幅広く売られ、フィラデルフィア半導体指数(SOX指数)は一時3.9%安となりました。
  • WTI原油価格は3%以上下落しました。主要企業の決算悪化が中国需要の減少を理由にしていることで、中国景気の減速観測が強まり、原油需要の弱含みが意識されました。
  • 本日の東京市場で日経平均は反落の見込みです。半導体関連や、機械関連など中国関連銘柄に売りが出やすいと予想されます。売り一巡後は米FOMCを前に様子見ムードが広がると思われます。

 

 

今日のポイント1

 

「当面の株価回復力が米国株・新興国株>日本株と考える背景」

 

  • 日本の株式市場は昨年12月に底入れとなった後、年初から回復力を強めています。しかし、相対的にみると米国株や新興国株と比べるとその上昇幅は限定的です。例えば、米国の主要株価指数は昨年高値からの下落幅の50%以上の戻り率を達成していますが、日経平均は約30%強の戻り率にとどまっています。
  • 年初来の世界的な株高は実体経済の回復や企業業績の改善ではなく、米FRBの金融政策に関して、過度な引き締め姿勢が緩和していると市場が読みはじめていることが背景です。景気に敏感に反応する米長期金利は2.7%台と低位で推移しているほか、ドル円相場は109円台と昨年の112~114円台からはドル安・円高で推移しています。
  • ドル円相場の下落は新興国や国際展開している米企業の収益にとって追い風となりますが、日本企業にとっては逆風となります。12月日銀短観の想定為替レートは109.41円と、ほぼ最近の実勢レートに近い水準です。従って株式市場にとって重要な企業業績への上方修正期待が高まりにくい状況です。リスクを取りやすくなった投資家は資金を日本株よりも新興国株や米国株により多く振り向けていると思われます。
  • ひと足早く決算を発表した安川電や業績下方修正を発表した日本電産の内容から、今週から本格化する日本企業の決算を良く確認してから、投資を考えても遅くはないと考えている投資家は多いと思います。その意味では、今・来週の決算発表が集中する際に、時価総額の大きな銘柄の決算内容次第では買いを入れる投資家も多いはずです。しかし、その動きが表れるのは本当に国際競争力の強い一部の銘柄に限られます。
  • 今後もグローバルな市場では株式を買い戻す動きは続くと思われますが、買いの理由が経済回復や業績改善というより、FRBの利上げ停止観測や米中交渉、中国の景気対策への期待と見られます。この点で、今週の米FOMCでFRBが利上げだけでなく、保有資産の縮小の停止時期についても柔軟な姿勢で対応する姿勢を示すと、日本株以上に新興国株や米国株の人気が続く公算が高いと思われます。
  • 市場では少なくとも7月まで利上げはないという見方が多くなっており、3月FOMCで据え置きが確認できれば、夏場までは据え置きが続くという確信を得られると思われます。当面、米国株と新興国株が日本株をアウトパフォームする状況が続きそうです。

 

 

今日のポイント2

 

 「米政府機関再開、市場が注目する投機筋の円売り越しポジション」

 

  • 米政府機関の一部閉鎖が解除されましたが、2月15日までのつなぎ予算が切れた後、共和党、民主党が壁建設を含む国境警備の強化策の協議がまとまっていなければ、閉鎖が再発する可能性があります。3月末には連邦政府の債務も上限に迫るなど、依然として政策運営への不安がリスクを取りづらくさせます。
  • 一方で、政府機関が動き出すとこれまで、発表が遅れていた貿易や小売り、建設など商務省や財務省が担う経済統計は、集計作業が終わり次第、順次発表になると思われます。30日の米10-12月GDPなど今後の発表日程にも影響します。政府機関の閉鎖が17日間続いた2013年10月のケースは、政府閉鎖を解いて約1週間後に発表が再開されました。
  • マーケットが非常に注目するデータが未発表になっており、発表された際に市場を動かす可能性がある統計に、米商品先物取引委員会(CFTC)の投機筋のポジションのデータがあります。昨年12月18日時点のデータを最後に発表が止まっており、急激なドル安・円高が進んだこの1ヵ月間に、ヘッジファンドの円のポジション(10万枚を超える売り越し)がどのように変化したのか、世界の投資家が注目しています。

米CFTCの投機筋の円ポジション

https://www.dai-ichi.co.jp/market/cftc.asp?cd=5070

 

 

1月28日(月)

 

ニューヨーク市場の主な指標

 

  • 米10年国債利回り:2.74%(前日2.76%)
  • ニューヨーク市場ドル円相場:1ドル=109.32-109.33円(前日109.54-109.55円)
  • ニューヨークダウ30種平均:24,528ドル(前日比-208ドル)
  • ナスダック総合株価指数:7,085ポイント(前日比-79ポイント)
  • S&P500種株価指数:2,643ポイント(前日比-20ポイント)
  • 米フィラデルフィア半導体指数(SOX指数):1,254ポイント(前日1,281ポイント)
  • 米VIX指数(恐怖指数):18.87(前日17.42)
  • ニューヨークWTI原油先物1バレル=51.99ドル(前日比-1.7ドル)
  • ニューヨーク金先物1トロイオンス=1,303.1ドル(前日比+5.0ドル)
  •  

 

東京株式市場

  • 日経平均株価:20,649円(前日比-124円)
  • TOPIX:1,555ポイント(前日比-10ポイント)

 

データを参照したサイト(ダウ30種銘柄の上昇・下落寄与度はこちら↓)

https://nikkei225jp.com/nasdaq/

 

 

 

(お願い)

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以上

 

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