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2019年1月25日
「円高観測が根強いが、ドル円相場は粘り腰を見せるのではないか」(1月25日配信)

おはようございます。

 

「円高観測が根強いが、ドル円相場は粘り腰を見せるのではないか」

 

 

【24日のNYダウは小幅に反落】

 

  • 24日の米株式市場でNYダウは小幅に反落、前日比22ドル安の24,553ドルで終えました。S&P500種とナスダックは上昇しました。改善を示す米景気指標が発表されたものの米政府機関の一部閉鎖の打開策が見えず、先行きの不透明感が株価の重しとなりました。米上院は24日、トランプ大統領が求める政府閉鎖解除と国境の壁の予算を盛り込んだ法案を採決に移すための動議を否決しました。ロス米商務長官は、「米中合意は中国の改革次第、解決まで何マイルもある」とコメント、株価の上値を抑制しました。
  • マークイットが発表した1月の米製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値は54.9と前月の53.8から上昇し、予想の53.5も上回りました。同サービス業PMIは54.2と前月54.4を下回りましたが、予想の54.1を上回りました。同総合PMIは54.5と前月の54.4を上回りました。米国の企業の景況感は境目の50を上回っており引き続き底堅く推移していることを示唆しています。
  • フィラデルフィア半導体指数(SOX指数)は同5.7%の上昇となりました。テキサス・インスツルメンツ(TI)などが前日夕に発表した2018年10~12月期決算で1株利益などが市場予想を上回り、半導体関連銘柄の収益に対する過度の警戒感が後退しました。インテルなど半導体株全般に買いが広がった。欧州では半導体のインフィニオンテクノロジーズ大幅に上昇、欧州の同業STマイクロエレクトロニクスが下半期の業績に強気な見通しを示したことも買い安心感につながった模様です。ただし、引け後に決算を発表したインテルは10-12月期の売上が予想を下回り、株価は時間外取引で急落しており注意が必要です。
  • 24日のニューヨーク外国為替市場では、ユーロが対ドルで下落し、約5週間ぶりの安値を付けました。欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が成長へのリスクは下方向に転じたと発言したことが響きました。ドラギ総裁の発言からは、ECBが今年、金融危機の時期に導入した景気刺激策の解除に一段と慎重になる可能性が示唆されました。マークイットが発表した1月のユー圏製造業PMI(速報値)は50.5と前月の51.4、市場予想の51.3を下回りました。

 

【円高観測が根強いが、ドル円相場は粘り腰を見せるのではないか】

 

  • 24日の日本経済新聞のマーケット欄では、最近の外国為替市場の円高・ドル安傾向が、3年前のチャイナショック後に起きた円高「2016年の再来」を警戒する動きがあると報じています。中国をはじめ世界経済の減速が鮮明となり投資家のリスク回避選考姿勢が後退、円買に傾いているほか、米利上げペースの鈍化を受けてドル安になりやすいことが背景と解説しています。
  • 確かに当時と現在の金融環境は、中国経済の成長率鈍化や米景気の減速、米FRBの利上げ停止観測など似通った点は多いのは事実です。しかし大きく異なる点もあります。最大の違いは当時の日本はデフレが再燃していたことです。名目長期金利からインフレ率(期待インフレ率)を差し引いた実質長期金利はプラス圏に浮上していました。一方、インフレ率が上昇傾向にあった米国の実質長期金利と比べて日本の実質金利の方が高く、日米実質金利差が逆転していたことです。
  • 2015年から16年の金融環境は、日銀による二度にわたる量的緩和策の効果が切れた時期で、日銀は15年12月にETF買い入れを倍増させる金融緩和の補完措置を採用しました。しかし、効果はなく日銀は2016年1月についにマイナス金利政策の導入に追い込まれます。しかしマイナス金利は期待された効果とは逆に、金融機関の収益を圧迫することが警戒され、株式市場の心理を大きく冷やしてしまいました。この一連の流れのなかで市場の期待インフレ率は2015年の半ばの1.4%程度から16年前半にゼロ%以下(マイナスのインフレ率=デフレ)まで落ち込みました。この期待インフレ率の低下が日本の実質長期金利を引き上げたことが円高の主因でした。インフレ率がプラスで推移していた米国の実質長期金利を日本の実質長期金利が上回るという「日米実質金利の逆転」が起きました。これが1ドル=2015年の1ドル=120円から16年前半にかけて100円台まで大幅な円高が進んだ背景です。
  • 現在、再び日本の期待インフレ率は低下していますが、2018年半ばでも0.4%程度と高くはなく、仮にゼロ%近辺まで低下しても実質金利の上昇は限られます。一方、米国の長期金利は2.7%台と高く、インフレ率を差し引いた日米の実質金利格差は0.5%程度開いています。
  • 2012年以降の日米実質金利差とドル円相場は関連性が高く、相関式を当てはめて計算すると実質金利差が0.6%の場合、ドル円レートは113円台、0.5%では112円台、0.4%では110円台となります。現在の109円台は相場変動の範囲内といえます。足元リスク回避の材料が山積しており、何かのきっかけで1月3日のように円高が進む可能性は否定できませんが、ここから105円以上の円高に進む場合はやはりオーバーシュートと考えられます。
  • ただし、今後、日本が再びデフレに逆戻りするシナリオが浮上する場合は円高を警戒しなければなりません。しかし、消費増税を控えて安倍政権は財政政策と金融政策の政策を総動員する構えです。デフレに逆戻りするシナリオは考えにくいと思います。意外とドル相場は粘り腰を見せるのではないかと思います。

 

 

1月24日(木)

 

米国金融市場の主な指標

 

  • 米10年国債利回り:2.71%(前日2.74%)
  • ニューヨーク市場ドル円相場:1ドル=109.62-109.63円(前日109.57-109.58円)
  • ニューヨークダウ30種平均:24,553ドル(前日比-22ドル)
  • ナスダック総合株価指数:7,073ポイント(前日比+47ポイント)
  • S&P500種株価指数:2,642ポイント(前日比+3ポイント)
  • 米フィラデルフィア半導体指数(SOX指数):1,253ポイント(前日1,185ポイント)
  • 米VIX指数(恐怖指数):18.89(前日19.52)
  • ニューヨークWTI原油先物1バレル=53.13ドル(前日比+0.51ドル)
  • ニューヨーク金先物1トロイオンス=1,279.8ドル(前日比-4.2ドル)

 

東京株式市場

 

  • 日経平均株価:20,574(前日比-19円)
  • TOPIX:1,552ポイント(前日比+5.5ポイント)

 

データを参照したサイト(ダウ30種銘柄の上昇・下落寄与度はこちら↓)

https://nikkei225jp.com/nasdaq/

 

 

(お願い)

海外市場のデータは取得時のものであり、速報値の可能性があります。

閲覧・購読者自身でご確認いただきますようお願いします。

 

以上

 

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