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2019年1月23日
「IMFが世界経済見通しを引き下げ、根底には中国需要の減退が影響している可能性」(1月23日配信)

おはようございます。

 

「IMFが世界経済見通しを引き下げ、根底には中国需要の減退が影響している可能性」

 

 

【米株式市場は大幅反落、ダウは300ドル安】

 

  • 連休明けの22日の米株式市場は大幅反落、NYダウは先週末と比べて301ドル安で引けました。中国や欧州の景気減速で世界経済懸念が広がったほか、米中貿易協議に対して米政府が予備協議を拒否したと伝わったことで、これまで高まっていた米中協議への期待感が一旦後退しました。米国の住宅指標が弱かったことや米政府機関の一部閉鎖の打開策が見つからないことも株価の重しになりました。年明け以降、米株価は戻り歩調にあったものの、昨日は利益確定売りが優勢となりました。ボーイングやキャタピラーなど中国関連や金融のゴールドマン・サックス、アップル、スリーエムの下落寄与度上位5銘柄でNYダウを約154ドル引き下げました。
  • ハイテク株や半導体関連に売りが目立ち、ナスダック総合は前日比1.9%の下落と、NYダウ(同1.2%下落)を上回り、フィラデルフィア半導体指数(SOX指数)は同2.8%下落しました。投資家心理を示す米VIX指数は20.88と再び20を超え、リスクを回避する動きが強まりました。米国債が買われ米長期金利は2.74%に低下(価格は上昇)しました。
  • 国際通貨基金(IMF)が21日、2019年の世界経済の成長率予想を下方修正、世界的な景気減速が意識され、投資家のリスク回避姿勢が広がりました。英メディアが22日、米中両政府が月末に開く閣僚級の貿易協議をめぐり、トランプ米政権が予備協議の開催を拒否したと伝えました。米国は中国に進出する米国企業への技術移転強要など構造問題にどう対処するか書面で回答するよう求めましたが、中国は「技術移転は強要していない」と従来の立場を変えていない模様です。2018年12月の中古住宅販売件数は、季節調整済みの年率換算で499万戸となり、市場予測(525万戸程度)を大きく下回りました。
  • トランプ米大統領は19日にメキシコ国境の壁建設費を予算に盛り込む妥協案を野党民主党に示しましたが、同党のペロシ下院議長は拒否する見通しと伝わりました。米政府閉鎖が長引き、米経済成長の足かせになるとの懸念も相場の重荷となっています。

 

【IMFが世界経済見通しを引き下げ、根底には中国需要の減退か】

 

  • 国際通貨基金(IMF)は21日に世界経済見通しの改定を発表しました。2019年の成長率予測は3.5%と2018年10月時点の予想から0.2ポイント下方修正しました。IMFは18年10月時点でも19年の成長率見通しを0.2ポイント引き下げており、世界経済の減速傾向に歯止めがかかっていません。
  • 経済見通しが下方修正された大きな要因は米国でもなく中国でもなく、なんとユーロ圏と産油国でした。ユーロ圏の成長率は10月時点から0.3ポイント下方修正されており、なかでもドイツが0.6ポイント、イタリアが0.4ポイントの大幅な下方修正となりました。ドイツは排ガス規制の強化で国内の自動車販売が低迷したことや、中国向け輸出の不振が要因です。イタリアは政治の混乱やユーロ圏域内への輸出が影響している可能性があります。原油価格がWTI原油先物ベースで昨年10月の1バレル=70ドル台から40ドル台に急落したことが影響し、サウジアラビアの成長率は10月時点と比べ0.6ポイント、ナイジェリアが同0.3ポイント、メキシコが同0.4ポイント引き下げられました。
  • 米国の2019年の成長率は2.5%と10月と変わらずで、中国の成長率も6.2%と従来見通しが据え置かれました。IMFは昨年10月に米国と中国の見通しを引き下げており、今回は据え置きました。また意外にも2020年の成長率も米国は1.8%、中国は6.2%とそれぞれ据え置かれました。
  • 米中貿易戦争悪化に拍車がかかり、電気製品や家具など中国から輸入する2,000億ドル相当の輸入品に10%の追加関税がかけられたのは9月24日でした。それ以前の段階的な追加関税措置も含めて10月から米中の貿易量に影響が出ることを懸念し金融市場では緊張感が高まりました。10月2日にニューヨークダウは史上最高値を付けてその後は下落したことがその象徴です。さらにニューヨークの株式相場は12月24日にかけての約2カ月間で2割近くも急落となったうえに、米国と中国の製造業の景況感が12月にかけて悪化を示したにもかかわらず、IMFの経済成長率見通しが変更されないのはむしろ意外に感じます。
  • 年明け以降、米中の通商交渉は前進しているとする報道が増えています。中国が宥和的なスタンスに転じ2月末までに一定の合意がなされ、交渉継続が必要な長期的なテーマは引き続き継続協議、上乗せ関税は見送りとなるシナリオを市場は読み始めています。仮に米中貿易戦争がこれ以上悪化しなければ米経済に与える影響は限定的となります。12月のニューヨーク株式市場は過剰な悲観シナリオを織り込んだ可能性があり、売られ過ぎたニューヨーク株式は修正相場がまだ続く可能性があります。
  • 日本の19年成長率は1.1%と10月から0.2ポイントの上方修正となりました。増税対策で安倍政権が打ち出す需要喚起策が経済成長を押し上げる見込みです。
  • ドイツとイタリアというユーロ圏の製造業大国の経済減速は、ECBの利上げ時期に影響する可能性があります。英国のEU離脱問題や5月の欧州議会選挙等政治リスクを併せて考えるとユーロを買いにくくする材料となり、逆にドル高要因となりそうです。

 

 

1月22日(火)

 

米国金融市場の主な指標

 

  • 米10年国債利回り:2.74%(前日2.78%)
  • ニューヨーク市場ドル円相場:1ドル=109.37-109.38円(前日109.73-74円)
  • ニューヨークダウ30種平均:24,404ドル(前日比-301ドル)
  • ナスダック総合株価指数:7,020ポイント(前日比-136ポイント)
  • S&P500種株価指数:2,632ポイント(前日比-37ポイント)
  • 米フィラデルフィア半導体指数(SOX指数):1,193ポイント(前日1,228ポイント)
  • 米VIX指数(恐怖指数):20.80(前日17.8)
  • ニューヨークWTI原油先物1バレル=52.75ドル(前日比-1.23ドル)
  • ニューヨーク金先物1トロイオンス=1283.4ドル(前日比+0.8ドル)

 

東京株式市場

 

  • 日経平均株価:20,622円(前日比-96円)
  • TOPIX:1,556ポイント(前日比-9ポイント)

 

データを参照したサイト(ダウ30種銘柄の上昇・下落寄与度はこちら↓)

https://nikkei225jp.com/nasdaq/

 

 

 

(お願い)

海外市場のデータは取得時のものであり、速報値の可能性があります。

閲覧・購読者自身でご確認いただきますようお願いします。

 

以上

 

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