メルマガ
2019年1月22日
「中国、2018年のGDP成長率は+6.6% 低い期待値のまま本格化する米決算発表」(1月22日配信)
おはようございます。
「中国、2018年のGDP成長率は+6.6% 低い期待値のまま本格化する米決算発表」
【中国、2018年のGDP成長率は+6.6%】
- 中国が21日発表した2018年通年のGDP成長率は前年比6.6%増となりました。伸び率は天安門事件を受けて先進各国が経済制裁を行った1990年通年の6.8%増を下回る28年ぶりの低い伸び率となりました。ただし、中国政府の2018年成長目標は6.5%前後に設定されていたため、目標はクリアしていることになります。一方、2018年10-12月期の四半期GDP成長率は前年同期比6.4%増と、リーマンショック後の2009年1-3月期の同6.4%増以来の低い成長率となりました。習近平国家主席は21日、地方や中央政府のトップを集めた会合で「我々は変化の激しい国際情勢や複雑で敏感な周辺環境に直面しており、高度な警戒を保たなければならない」と訴えたと報じられています。厳しい現状を認識したうえで、指導部の引き締めを狙ったものと思われます。
- 中国国家統計局の寧吉哲局長は21日、同国にはマクロ政策支援の余地が十分にあるとの認識を示しました。同局長は、中国には妥当な成長率を達成できる自信と能力があると発言。過去2ヵ月間で景気に一定の安定の兆しがみられるとの見方も示しました。米中貿易戦争が中国経済に悪影響を及ぼしているものの、経済成長への影響は管理可能だとも発言しました。
- 主要経済指標の発表を受けた21日の上海総合指数は小幅に上昇したほか、香港ハンセン指数やほかのアジア各国の市場も堅調に推移しました。中国の経済指標は昨年後半から減速を示す指標が増えていたほか、12月の中国製造業PMIが2017年5月以来初めて50を割り込んだことなどで、逆に政策期待が高まりつつあります。つまり悪い指標が出れば出るほど中国政府としては経済安定のための政策対応を取る可能性が高いわけで、金融市場は政策の先を見ているわけです。
- ただし、リーマンショック後の「4兆元」の大規模景気対策=バラマキとは異なり、重点分野を絞り込んだ政策になる模様です。例えば昨年を上回る大型減税などの消費刺激策、法人税の減税、金融緩和、人工知能や工場のIOT化などを含めた新型のインフラ投資や、5Gの商業化、都市建設や物流、エネルギー、交通、水利などインフラ建設などです。つまり「輸出・投資主導型経済」ではなく「消費の高度化や社会インフラ、イノベーションによる内需が主導する経済」などへと構造を変えるための政策となると思われます。
- 中国の経済対策は、当面は経済悪化を食い止める政策にとどまり、経済を拡張させる政策は米国との貿易協議の落ち着きどころが見える2019年央から後半になると思われます。中国経済が日本の株式相場の足を引っ張らなくなるものの、相場を押し上げる材料としては力強さに欠けると思われます。
【低い期待値のまま本格化する米決算発表】
- 今週から米企業の決算発表が本格化します。最近の米経済指標がやや減速を示すものが出始めていることや、事前の業績警告が比較的多いことから、2018年10-12月期実績、および2019年通期見通しに対してかなり慎重な見方が広がっています。2018年10-12月期のS&P500種予想EPSは1月以降、約3%程度下方修正されている模様です。また2019年増益率予想も直近では7%弱に下方修正されています。ちなみに2018年は大型減税の影響などで前年比22%を超す増益でした。
- 全体的な企業収益に対する期待値はかなり引き下げられていますが、株価を形成するもう一つの要素である予想PERも12月の大きな調整によって14-15倍台の低い水準にとどまっています。つまり今回の決算は低い期待値で臨むことになるわけです。「予想よりも悪くない」程度の業績では株式市場は反発をみせる環境が整っていると思われます。
- 先週に決算発表を終えた大手金融セクターの場合、見た目の業績はまちまちながら、今後の経済環境に対して12月の暴落が示唆しているよりも楽観的なコメントが相次いでおり、株価は反発基調を強めました。株式市場全体の心理を押し上げる格好となったように思われます。米主要株価指数は18日時点で昨年の史上最高値からの下落幅の半値戻しを達成しました。昨年12月の株価急落でポジションを大きく落としていると推察されるので、「予想よりも悪くない」決算で株価が強い反応となった場合、上昇に際して「乗り遅れ」を恐れて追随する動きが続く可能性も否定できません。
1月21日(月)
米国金融市場の主な指標
キング牧師誕生日記念の祝日
東京株式市場
- 日経平均株価:20,719円(前日比+53円)
- TOPIX:1,566ポイント(前日比+8ポイント)
(お願い)
海外市場のデータは取得時のものであり、速報値の可能性があります。
閲覧・購読者自身でご確認いただきますようお願いします。
以上
—– アナリスト・トレーニング —–