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2019年1月8日
【やはり2015・16年ショックを強く意識する米FRB】(1月8日配信)

おはようございます。

 

【やはり2015・16年ショックを強く意識する米FRB】

 

  • 7日の米株式相場はNYダウが前日比98ドル高と続伸しました。ナスダック総合が同84ポイント上昇するなど特にハイテク関連が堅調でした。米中の次官級の貿易協議が7日に始まり、協議進展により貿易摩擦が避けられるとの期待感が相場を支えている模様です。投資家心理を示す米VIX指数は21.4と引き続き低位で推移。NYの原油先物はサウジが輸出削減を計画していると伝わり6日続伸するなどリスク資産全般に堅調に推移しました。
  • 2018年12月の米ISM非製造業景況感指数は57.6となり、前月より3.1ポイント低下しました。市場予測(58.4程度)をやや下回りましたが先週のISM製造業よりも落ち込みが小さく米長期金利はやや上昇しました。シカゴの日経平均先物市場は20,195円と続伸しており、本日の東京市場も堅調に推移しそうです。
  • 現在の投資環境が2015年後半から16年前半と類似していることは以前も指摘しました。ポイントは中国経済と原油価格の二つが引き起こした金融市場の混乱、いわゆる「2015・16年ショック」です。具体的には

     

    1. 15年8月に中国が人民元を切り下げた後、上海総合指数が急落。構造調整を進めていた中国経済は16年にかけて急速に減速感を強めた
    2. 中国の需要低迷と米シェールオイルの増産で原油の供給過剰感が強まり、NY原油先物価格が2014-15年の1バレル=100ドル台から16年2月に30ドル割れの暴落となった
    3. 原油価格の暴落で資源国にとって大きな景気減速圧力となった
    4. 原油収入減少の穴埋めのため産油国が海外の株式などで運用する政府系ファンドの解約が懸念され、日米など先進国の優良銘柄が大きく下落した
    5. ハイイールド債発行市場の2割程度を占めるエネルギー企業の業績が悪化し、信用リスクが高まり世界的に金融市場の緊張が高まった
    6. 米国の利上げなど出口戦略が注目されたことでドル高が進行、結果的に新興国から資金流出懸念が強まった
    7. 原油価格の下落が消費者の実質購買力を高め米経済にはプラスになるとみられたが、実際はエネルギー企業の業績が悪化。ドル高もグローバル企業の逆風となり設備投資に急ブレーキがかかり経済成長の下押し圧力となった
  • この結果、2015年後半の米実質GDP成長率は年率で1%を割り込むほどの減速となりました。米FRBは15年12月に9年半ぶりの0.25%の利上げに踏み切りましたが、2回目の利上げは2016年12月と1年間も先送りしました。その後、米FRBの柔軟な政策対応で株価は回復し米国は景気後退を回避しました。
  • 驚くべきことに、パウエル米FRB議長は1月4日の講演で、この2016年の事例をあげて、自身の柔軟なスタンスを強調しました。以下は1月4日のパウエル議長の発言の要旨です(ちなみに当時、パウエル氏はFRB副議長でした)。
  • 「ゼロ金利制約から脱出していた2015年12月にFOMC参加者による(ドットチャートの)中央値は2016年に4回の利上げを予想していた。しかし、2016年のごく早い段階で金融情勢は極めて急激にタイト化し、ジャネット・イエレン(前FRB議長)のリーダーシップの下、委員会は我々が予想していた(利上げの)パスを、機敏に、かつ、私に言わせれば柔軟に変更した。結局、我々は丸々一年後の2016年12月に利上げを実施した。その間、経済は2016年上期にソフトパッチ(一時的な減速)に陥り、その後再び軌道に乗り、金融正常化が再開された。今年が2016年のようになるかは誰にもわからない。しかし、私が知っているのは、素早く、かつ柔軟に政策を調整する用意があることだ」。このパウエル議長の発言が「2015・16年ショック」の再来を回避すると期待が高まり、株価の反発につながったものと思われます。

 

以上

 

 

1月7日(月)

 

米国金融市場の主な指標

 

  • 米10年国債利回り:2.69%(前日2.67%)
  • ニューヨーク市場ドル円相場:1ドル=108.70-108.71円(前日108.46-108.47円)
  • ニューヨークダウ30種平均:23,531ドル(前日比+98ドル)
  • ナスダック総合株価指数:6,823ポイント(前日比+84ポイント)
  • S&P500種株価指数:2,549ポイント(前日比+17ポイント)
  • 米フィラデルフィア半導体指数(SOX指数):1,166ポイント(前日1,143ポイント)
  • 米VIX指数(恐怖指数):21.4(前日21.28)
  • ニューヨークWTI原油先物1バレル=48.52ドル(前日比+0.56ドル)
  • ニューヨーク金先物1トロイオンス=1,289ドル(前日比+4.1ドル)

 

東京株式市場

  • 日経平均株価:20,038円(前日比+477円)
  • TOPIX:1,512ポイント(前日比+41ポイント)

 

データを参照したサイト(ダウ30種銘柄の上昇・下落寄与度はこちら↓)

https://nikkei225jp.com/nasdaq/

 

(お願い)

海外市場のデータは取得時のものであり、速報値の可能性があります。

閲覧・購読者自身でご確認いただきますようお願いします。

 

以上

 

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