メルマガ
2018年12月28日
【今回の弱気相場と類似する2015年から16年前半の相場環境を振り返る】(12月28日配信)
おはようございます。
【今回の弱気相場と類似する2015年から16年前半の相場環境を振り返る】
- 27日の米国株式市場でNYダウ30種平均は続伸し、前営業日に比べて260ドル高で引けました。トランプ米大統領が米国企業に対し、安全保障上重大な脅威となる外国メーカーの通信機器の使用を禁じる大統領令を出す検討に入ったと報道されたことが悪材料視され、ダウは一時同600ドルあまり下落しました。中国の通信機器メーカーを排除する動きと警戒されアップルやマイクロソフトなどハイテク関連が売り込まれました。売り一巡後は急速に値を戻す荒っぽい展開でした。
- 日本の株式相場が下落に転じ、日経平均が2ヵ月間に5,000円あまりも下落するのは2015年秋から2016年2月以来、約3年ぶりです。相場環境も似ており参考になりそうです。
- 当時、米経済はリーマンショックから立ち直り、2015年後半に利上げが検討されました。イエレン米FRB議長は米労働市場の改善が賃金を上昇させ、将来のインフレリスクを高めるとして、2015年12月に9年半ぶりの利上げ(0.25%)を実施しました。米経済の先行きに自信を深めていたFRBはその時点で2016年に1%(0.25%ずつ4回)、更に17年にも1%利上げ(同)することを想定していました。しかし、金融市場は懐疑的で2016年前半に利上げが実施される可能性は低いと見ていました。中国を中心に世界経済にリスクが増え始めていたためです。
- 2015年8月に中国人民銀行が人民元を切り下げた後に中国経済が一段と停滞色を強め、上海総合指数が急落しました。チャイナショックです。米FRBの金融引き締めが2016年以降もさらに強化される懸念から、コモディティ価格が急落しました。2014~15年に一時100ドルを超えていたWTI原油価格は16年2月に一時1バレル=30ドルを割り込みました。米エネルギー企業の業績は悪化し、信用スプレッドが拡大しました。ドル高に伴い新興国から資金が流出、グローバルな株価下落など世界的なリスク資産価格の下落を招きました。この結果、米FRBは2回目の利上げを2016年12月に実施するまで、最初の利上げから1年間辛抱した経緯があります。金融引き締めのペースを緩めたのです。
- 日本の株式市場は2015年8月以降に下落に転じ、12月以降は下落が加速しました。中国懸念でハイテク関連が売られたほか、日銀によるマイナス金利政策の導入(2016年1月)で金融株が急落しました。原油暴落を受けてサウジアラビアなど産油国が国家財政負担の穴埋めのため、政府系ファンドが海外の株式などで運用する資産を売却することが懸念され、優良株中心に大きく下落しました。
- 日経平均は2015年12月1日の20,012円から16年2月12日の14,952円まで2カ月間に5,060円(25.3%)も下落しました。ボトムとなったのが日経平均の株価純資産倍率(PBR)が1倍を割り込んだ水準でした。
- 今回は2018年10月2日の年初来高値24,270円から12月25日の19,155円まで約2ヵ月間で5,115円(21.1%)下落しました。期間、下落幅、下落率とも2016年にかなり近いといえます。12月25日のPBRは0.99倍と1倍を割り込みました。
- 2016年は米利上げペースが当初の想定から大幅に緩和されたことで世界経済は徐々に回復、株式市場も立ちりました。2016年の米経済はGDP成長率が四半期ベースでその前の3%台から一時的に1%台に低下しました。景気は減速となりましたが景気後退は回避されました。やはり、米金融政策がカギを握っていると思われます。
(以上)
12月27日(金)
主なニューヨークの金融市場
- 米10年国債利回り:2.76%(前日2.81%)
- ニューヨーク市場ドル円相場:1ドル=110.91-110.92円(前日111.33-111.34円)
- ニューヨークダウ30種平均:23,138ドル(前日比+260ドル)
- ナスダック総合株価指数:6,579ポイント(前日比+25ポイント)
- S&P500種株価指数:2,488ポイント(前日比+21ポイント)
- 米フィラデルフィア半導体指数(SOX指数):1,139ポイント(前日1,131ポイント)
- 米VIX指数(恐怖指数):29.96 (前日30.41)
- ニューヨークWTI原油先物1バレル=44.61ドル(前日比-1.6ドル)
- ニューヨーク金先物1トロイオンス=1,281ドル(前日比+8.1ドル)
東京株式市場
- 日経平均株価:20,077円 (前日比+750円)
- TOPIX:1,501ポイント(前日比+70ポイント)
データを参照したサイト(ダウ30種銘柄の上昇・下落寄与度はこちら↓)
https://nikkei225jp.com/nasdaq/
(お願い)
海外市場のデータは取得時のものであり、速報値の可能性があります。
閲覧・購読者自身でご確認いただきますようお願いします。
以上
—– アナリスト・トレーニング —–