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2018年12月21日
【来年の米企業の減益の可能性を織り込む水準まで低下し、過剰反応の可能性】(12月21日配信)
おはようございます。
【来年の米企業の減益の可能性を織り込む水準まで低下し、過剰反応の可能性】
- 年内最後で最大の注目イベントと位置づけられた米FOMCは終了しました。FOMCの結果自体は事前の市場予想に近いと思われます。今回のFOMCでは世界景気の先行きに警戒感を示し、あと数回の漸進的な利上げが適切と、より慎重な利上げ姿勢へと明確に変化させました。しかし、19日に続き20日のニューヨーク株式市場は大幅続落となりました。米FOMC後の記者会見の際に、パウエル米FRB議長からはバランスシートを縮小させる政策を見直さない姿勢を示し、金融政策の正常化に向け前向きな姿勢が窺えるなどややちぐはぐな印象があったことが市場の不安心理を高めた可能性があります。
- 当面、市場が注目する大きなイベントは見当たりません。多くのファンドマネージャーは週末からクリスマス休暇入りするため、よほどの悪材料でも出ない限り株価の急落が続く可能性は低いと思われます。ただし、ボラティリティが高いのでニューヨーク株式はアップダウンが続くことはやむをえません。
- 今回の株価下落で米国株式はファンダメンタルズから大きくかい離しています。例えばS&P500種企業の2019年の増益率は0~2%程度の増益率しか見込めないという悲観的な水準まで織り込まれた状態です。これ以上下落すると減益を織り込みに行くことになります。しかし、米経済が年率で2%台半ばの成長率の時に減益となることは通常は考えにくいと思われます。通常4~5%程度の増益は見込まれます。減税効果が2019年半ばまで続くことを考慮すればそれ以上の増益も考えられます。
- 米景気は2019年も潜在成長力(FRBは1.8%と推計)を上回る成長をみせるとみています。米家計の負債レバレッジは12%程度とリーマンショック前の20%と比べても低く健全です。個人消費の伸び代も高いと思われます。株価の上値はしばらく重そうですが、調整局面からの脱却もそう遠くないとみられます。
12月20日(木)のニューヨーク金融市場
相場のポイント
「20日の米国株は大幅続落、ダウ平均は前日比464ドル安」
- 20日の米株式市場は大幅続落、ダウ工業株30種平均は前日比464ドル安で引けた。
- 前日の米FOMC会合後に出た声明文や米FRB議長の記者会見の内容が「想定よりタカ派寄り」との見方が改めて広がった。
- 投資家の不安心理を移す米VIX指数は一時2月中旬以来となる30を超える水準まで上昇、市場のリスクは高い状態にある。
- ドル円相場は一時1ドル=110円82銭前後と9月中旬以来ほぼ3カ月ぶりの円高・ドル安水準を付けた。米長期金利が低下し日米金利差の縮小が意識されている可能性も。
米長期金利
- 10年国債利回り:2.80%(前日2.75%)、一時2.741%まで低下し、4月以来8か月ぶり低水準
ニューヨーク為替相場
- ドル円相場:1ドル=111.22-111.23円(前日112.43-112.44円)
米主要株価指数
- ニューヨークダウ30種平均:22,859ドル(前日比-464ドル)
- S&P500種株価指数:2,467ポイント(前日比-39)
- ナスダック総合株価指数:6,528ポイント(前日比-108)
- 米フィラデルフィア半導体指数(SOX指数):1,117ポイント(前日1,127ポイント)
- 米VIX指数(恐怖指数):28.38 (前日25.58)
ニューヨークダウ30種平均への主な上昇寄与度・下落寄与度銘柄
(ダウ平均変動幅への影響)
- 上昇寄与:ジョンソンエンドジョンソン
- 下落寄与:ユナイテッドヘルス・グループ、ボーイング、マクドナルドなど
国際商品市況
- ニューヨークWTI原油先物1バレル=45.88ドル(前日比-2.29ドル)
- ニューヨーク金先物1トロイオンス=1,267ドル(前日比+11.5ドル)
データを参照したサイト(ダウ30種銘柄の上昇・下落寄与度はこちら↓)
https://nikkei225jp.com/nasdaq/
マーケットが注目したと思われる材料
【米景気先行指数、11月0.2%上昇】
- 米調査会社コンファレンス・ボードが20日発表した11月の景気先行指数(2016年=100)は111.8となり、前月から0.2%上昇した。市場予想は横ばいだった。コンファレンス・ボードは「足元の株価変動にもかかわらず指標は広範に強い。19年前半は2.8%程度の安定した成長が続くだろうが、後半にはさらに鈍化する可能性がある」と分析した。
【米フィラデルフィア連銀景況指数、3カ月連続で低下】
- 米フィラデルフィア連邦準備銀行が発表した12月の製造業景況指数は前月比3.5ポイント低い9.4と、2016年8月以来2年4カ月ぶりの低水準だった。低下は3カ月連続で市場予測(15.0程度)を下回った。
【メキシコ中銀、政策金利を8.25%に引き上げ】
- メキシコ中銀は20日の政策決定会合で、政策金利を25ベーシスポイント(bp)引き上げ、8.25%とした。 利上げは予想通りで、全会一致となった。政策金利は2008年8月以来の高水準
【スウェーデン中銀、約7年ぶりの利上げ 利上げペース鈍化を予想】
- ウェーデン中央銀行は20日、政策金利のレポレートをマイナス0.50%からマイナス0.25%に引き上げた。 利上げは2011年7月以来約7年ぶり。今後については、従来の見通しよりも利上げペースを鈍化させると表明。次の利上げは来年下半期になるとの見通しを示した。
12月20日の東京株式市場
相場のポイント
- 20日の日経平均は大幅続落、前日比595円安の20,392円で引けた。
- 3月に付けた20,617円を下回り年初来安値を更新、2017年9月29日以来の安値。
- 米FOMCで米景気の減速が意識された。海外投資家の売りや信用取引の買い方の投げ売り、株価指数先物のヘッジ売りなどが影響
主要な株価指標
- 日経平均株価:20,392円 (前日比-595円)
- TOPIX:1,517ポイント(前日比-38)
- NT倍率(日経平均÷TOPIX):13.44倍(前日13.49倍)
- 東証1部売買代金:30,043億円
- 東証1部年初来高値銘柄数1/年初来安値銘柄数1,079
- 東証1部値上がり銘柄数74/値下がり銘柄数2,047
- 東証1部騰落レシオ:74.23(前日78.55)
- TOPIX33業種
上昇上位:電気ガス
下落上位:海運、証券商品、倉庫、機械など
- 日経平均寄与度(日経平均の変動幅に影響した値幅)
上昇寄与度:武田(+9円)、花王(+0円)、スズキ(+0円)など
下落寄与度:ソフトバンクG(‐42円)、ユニー・ファミマ(‐31円)、ファナック(‐28円)など
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