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2018年12月19日
【悪材料が山積、しかし信用取引評価損益からは底入れのサインも点滅】(12月19日配信)
おはようございます。
【悪材料が山積、しかし信用取引評価損益からは底入れのサインも点滅】
- 18日の東京株式市場では日経平均が前日比391円安と大幅反落となりました。米FOMCや大型IPOを控えて全体的に買いが手控えられる中、為替市場で1ドル=112円台の円高となったことや、上海総合指数の下落、株価指数先物のヘッジ売り、個人投資家の信用買いの投げ売りなどが影響した模様です。
- 株安の理由として為替市場でドル円相場が113円台を割り込んできたことが心理的に大きいと思われます。ドル円相場は今年3月に一時105円台を割り込んだ後はドル高に反転しました。ざっくりみると4-6月は105~111円台のレンジ相場、7-9月は110~113円台、10-12月は112~114円台のレンジ相場が続いてきました。最近の市場ではニューヨーク株式市場が下落しても、ドル円相場はサポートラインを割り込まなかったことが日本株式の支えでもありました。
- 17日の海外市場で113円台は割り込みましたが、下限のサポートラインとして意識される112.45円を維持しています。ここは日足の一目均衡表の先行スパン(雲の下限、18日時点)です。仮にこのラインを下回った場合は週足の一目均衡表の基準線111.954円(≒112円)平均がサポートラインです。12月末のドル需給のひっ迫状況を考慮すれば112円台を下回る予想は専門家の間でも多くありません。
- 可能性は相当に低いですが、19日の米FOMCでFRBが予想外に早く利上げの停止を示唆した場合は、一時的に投機筋のドル買いポジションの巻き戻しが進み(ドル売り)、円高が進むシナリオがないとは言えません。その意味で為替市場は米FOMCを強く意識していると思います。
- 東証一部市場の信用取引の買い方の評価損益率は7日時点の▲12.5%から、18日時点で▲16%近くに悪化していると推測されます。経験則的には評価損益率が▲18~▲20になると相場が底入れするサインと言われます。まさにその局面に近づいています。
- 本日の上海総合指数は前日比0.8%安の2,576で引けました。10月18日の年初来安値2,486や11月30日の取引時間中の安値2,555を上回っており、日米の株式市場より堅調に見えます。
- 今後の日経平均の価格ポイントは10月26日20,971円、そしていよいよ年初来安値20,617円が視野に入ってきました。年内最後で最大の注目イベントである米FOMCの結果を受けたニューヨーク株式市場が下げ止まるかどうかがカギになると思います。
12月18日(火)のニューヨーク金融市場
「18日の米国株は反発、ダウ30種平均は前日比82ドル高」
- 18日の米株式市場でダウ30種平均は反発、前日比82ドル高の23,675ドルで引けた
- 自律反発を見込んだ買いが先行しダウ30種平均は反発して始まった。18~19日の米連邦公開市場委員会(FOMC)を見極めたいとのムードが広がり、売りの勢いがいったん落ち着いた。その後はマイナス圏に沈んだものの引けにかけてプラスに転じるなど荒い展開
- 前日夕に自社株取得枠の引き上げと増配を発表した航空機のボーイングが大幅高で始まり、ダウ平均上昇をけん引した。日用品のジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)は前日夕に自社株取得枠の設定を発表し反発となった
- ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は同30ポイント高で引けた
- WTIニューヨーク原油先物は8%近い大幅続落となり、シェブロンやエクソンモービルの大手石油株がダウを引き下げた
- 投資家の不安心理を示す米VIX指数は25.58と上昇し、リスクが高いことを示唆している
米長期金利
- 10年国債利回り:2.81%(前日2.85%)、FOMCで8月以来の低い水準に低下
ニューヨーク為替相場
- ドル円相場:1ドル=112.50-112.51円(前日112.80-112.81円)
米主要株価指数
- ニューヨークダウ30種平均:23,675ドル(前日比+82ドル)
- S&P500種株価指数:2,546ポイント(前日比+0.2)
- ナスダック総合株価指数:6,783ポイント(前日比+30)
- 米フィラデルフィア半導体指数(SOX指数):1,177ポイント(前日1,162ポイント)
- 米VIX指数(恐怖指数):25.58(前日24.52)
S&P500種株価指数の主な上昇・下落業種
- 上昇:一般消費財、不動産、情報技術など
- 下落:エネルギー、生活必需品、ヘルスケアなど
ニューヨークダウ30種平均への主な上昇寄与度・下落寄与度銘柄
(ダウ平均変動幅への影響)
- 上昇寄与:ボーイング、ゴールドマン・サックス、アップルなど
- 下落寄与:ユナイテッドヘルス・グループ、シェブロン、エクソンモービルなど
国際商品市況
- ニューヨークWTI原油先物1バレル=46.24ドル(前日比-3.6ドル)と7%超の下落となった。一時46.11ドルと2017年8月以来1年4カ月ぶり安値。米エネルギー情報局(EIA)は17日、年末までに米国のシェールオイルの1日の生産量が過去最高水準に達するとの見方を示した。また、ロイター通信がロシアの12月の生産量が過去最高に達したと報道したことも供給過剰の懸念を強めた。
- ニューヨーク金先物1トロイオンス=1,253ドル(前日比+1.8ドル)
データを参照したサイト(ダウ30種銘柄の上昇・下落寄与度はこちら↓)
https://nikkei225jp.com/nasdaq/
マーケットが注目したと思われる材料
【11月の米住宅着工は予測を上回る】
- 11月の米住宅着工件数は約125万6千戸(季節調整済み、年率換算値)で、前月の改定値より3.2%増加した。3カ月ぶりの増加で、市場予測の123万戸程度を上回った。先行指標である許可件数は5.0%増の132万8千戸で、市場予測(126万戸程度)を上回った。
【12月の独IFO業況指数は4カ月連続の低下】
- ドイツのIFO経済研究所が発表した12月の業況指数は101.0と、過去2年あまりで最低となった。市場予想の101.8をやや下回った。これで4カ月連続の低下。企業経営者の間でドイツ経済の先行きに対する楽観論が後退していることが浮き彫りとなった。
【米主要企業の7~9月期の自社株買い6割増】
- 米S&Pダウ・ジョーンズ・インディシーズは18日、2018年7~9月期に主要500社の自社株買い(速報値)が前年同期比58%増の2,038億ドル(約22兆9,000億円)になったと発表した。1~9月期の累計では53%増の5,834億ドル、年間で過去最高だった07年(年間で5,891億ドル)に9カ月でほぼ並んだ。トランプ政権の大型減税で膨らんだ利益を株主に還元する動きが加速。7~9月期に巨額の自社株買いを実施したのは半導体のクアルコム(212億ドル)、アップル(194億ドル)、オラクル(103億ドル)など。
12月18日の東京株式市場
相場のポイント
- 18日の日経平均は前日比391円安と大幅反落、後場に下げ幅を加速
- 東証1部騰落銘柄数は値上がり132に対して値下がりが1982と圧倒的に売りが優勢
- TOPIXが年初来安値を更新し、年初来安値銘柄は723銘柄と10月26日(805銘柄)以来の最多
- 米国市場で最後まで値持ちがよかったヘルスケア株が17日に大きく下落したことを受け、東京市場は医薬品が最大の下落業種
- 日銀はインデックス型ETFを703億円買い入れた。12月の買い入れは14日以来7回目。
主要な株価指標
- 日経平均株価:21,115円 (前日比-391円)
- TOPIX:1,562ポイント(前日比-31)
- NT倍率(日経平均÷TOPIX):13.51倍(前日13.49倍)
- 東証1部売買代金:25,098億円
- 東証1部年初来高値銘柄数1/年初来安値銘柄数723
- 東証1部値上がり銘柄数132/値下がり銘柄数1,982
- 東証1部騰落レシオ:74.53(前日79.36)
- TOPIX33業種
上昇上位:鉄鋼、輸送用機器、非鉄金属、海運など
下落上位:医薬品、サービス、その他製品、精密など
- 日経平均寄与度(日経平均の変動幅に影響した値幅)
上昇寄与度:スズキ(+2円)、日東電(+2円)、アドバンテ(+1円)など
下落寄与度:ファーストリテイ(‐36円)、ソフトバンクG(‐31円)、リクルートHD(‐22円)など
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