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2018年12月11日
【米国株は反発、ダウ平均は一時前週末比500ドル安からプラスに浮上】(12月11日配信)
マーケットコメント 2018年12月11日
【米国株は反発、ダウ平均は一時前週末比500ドル安からプラスに浮上】
12月10日(月)のニューヨーク金融市場
相場のポイント
- 10日の米株式市場で主要3指数はそろって小幅に反発、ニューヨークダウは前日比34ドル高い24,423ドルで引けた。
- 午前の取引時間中に英国がEU離脱を巡る議会投票を延期すると伝わると、米国株は一段安、前週末比の下げ幅は一時500ドルを超えた。経済を混乱させかねない「合意なし離脱」の可能性が高まったとの見方から、短期筋の売りが膨らみ、下げが加速した。売り一巡後は持ち直し、大引けはプラスに転じた。
- 米クアルコムが10日朝、中国の裁判所がアップルのスマートフォン「iPhone」の販売差し止めの仮処分を出したと発表し、アップル株が一時売られたのも投資家心理を冷やした。世界景気の減速懸念から原油先物相場が反落し、エクソンモービルやシェブロンなど石油関連株が売られて指数の重荷となった。
- ただ、午後に入ると短期筋の売りが一巡。ボーイング、マクロソフト、IBMなどが持ち直し、ダウ平均はプラスゾーンに浮上した。ハイテク関連も買い直されナスダック総合は51ポイント高で引けた。S&P500種セクター別では情報技術が最大の上昇となった。
米長期金利
- 10年国債利回り:2.86%(前日2.84%)
ニューヨーク為替相場
- ドル円相場:1ドル=113.30-113.31円(前日112.70-112.80円)
米主要株価指数
- ニューヨークダウ30種平均:24,423ドル(前日比+34ドル)
- S&P500種株価指数:2,637ポイント(前日比+4)
- ナスダック総合株価指数:7,020ポイント(前日比+51)
- 米フィラデルフィア半導体指数(SOX指数):1,174ポイント(前日1,157ポイント)
- 米VIX指数(恐怖指数):22.64(前日23.23)
S&P500種株価指数の主な上昇・下落業種
- 上昇:情報技術、コミュニケーション、ヘルスケアなど
- 下落:エネルギー、金融、不動産など
ニューヨークダウ30種平均への主な上昇寄与度・下落寄与度銘柄
(ダウ平均変動幅への影響)
- 上昇寄与:ボーイング、マイクロソフト、IBM、マクドナルドなど
- 下落寄与:JPモルガン・チェース、ユナイテッドヘルス・グループ、エクソンなど
国際商品市況
- ニューヨークWTI原油先物1バレル=51ドル(前日比-1.6ドル)
- ニューヨーク金先物1トロイオンス=1,249ドル(前日比ドル-3)
データを参照したサイト
https://nikkei225jp.com/nasdaq/
金融市場に影響したと思われる材料
【英首相、離脱案の議会採決を延期】
- メイ英首相は10日、11日に予定していた欧州連合(EU)離脱案の議会採決を延期すると表明した。メイ首相は「もしあす投票に踏み切れば離脱案は大差で否決される。したがって現時点で議会の分裂を助長しないよう、あすの投票を延期する」と語った。今後の日程は未定→欧州株式相場は全面安の展開、外国為替市場ではポンドが対ドルで一時約1年8カ月ぶりの安値水準を付けた。
【米、労働市場の逼迫続く 10月の求人数11万件増】
- 米10月の雇用動態調査(JOLTS)によると、非農業部門の求人数(季節調整済み、速報値)は、前月から11万6000件増の707万9000件だった。求人数は8月に過去最高の729万3000件を記録後、9月は696万件とやや減少したが、10月は再び700万人を超えた→米労働市場の逼迫が続いていることを示しており、緩やかな賃金上昇が見込まれる。米経済に対する過剰な悲観論は修正される公算が高い
【米消費者3年先インフレ期待、11月は2.9%にやや低下】
- 米ニューヨーク連銀が10日発表した調査によると、11月は3年先のインフレ期待の中央値が2.9%となり、前月の3%から低下した。同インフレ期待は3月から前月まで3%で横ばいが続いていた。1年先のインフレ期待は3%と横ばい。4月以来この水準で横ばいとなっている→ 経済は堅調だがインフレ率の上昇も緩やかなことが確認された。
当面のマーケットのポイント
【TOPIXは下値模索の展開】
- 10日の東京市場でTOPIX(東証株価指数)は一時年初来安値を更新した。一部の値がさ株の株価水準が高いため日経平均は年初来安値を上回っているが、TOPIXは時価総額の指数であるため銀行株や通信、自動車など大型株の影響を受ける。株式市場全体として下値を模索していることを示す。
- 海外投資家の見切り売りが出ている可能性がある。JPX日本取引所の統計によると海外投資家は11月第4週まで3週連続で日本株を売り越した(現物取引で計5,440億円の売り越し)。欧米株式の下落が継続したことから、海外投資家保有比率の高い日本の銘柄に売りが出ている模様。
- 10日の日経平均は前週末と比べて459円安い21,219円で引けた。次のポイントは10月26日の安値20,971円、そして3月23日の年初来安値(20,617円)も視野に入ってきた。ただし、日銀は10日、3日連続でインデックス型ETFを買い入れた。今後も一定の買いサポート材料となる。
【底堅いドル円相場】
- 10日の東京外為市場でドル円相場は午前中に112.20円台まで円高となったが、午後に入り112.70円台までドルは回復した。海外市場では113円台の取引となった。今月の米FOMCでの利上げ観測の高まりや、12月末に向けたドルの需給ひっ迫などが意識されている。ドル円相場の日足一目均衡表の雲の下限が112.45円台にあり、ザラ場でこの水準を下回っても、引けで切り返す動きが数日間続いており、強いサポートラインとして意識されている模様。
【中国でファーウェイ製品購買奨励】
- カナダが米国の要請を受けて中国の通信機器大手ファーウェイのCFOを逮捕したことを受け、中国では一部の企業の間でファーウェイ製チップを優先的に使用する動きや、自社の従業員にファーウェイ製スマホの購買奨励を働きかける企業が出てきたと報道されている。一方、米アップル製品の不買運動も一部の企業で始まっている模様。米国株式市場で先行きアップル株式の悪材料視とされる可能性がある。
12月10日の東京株式市場
主要株価指数
- 日経平均株価:21,219円 (前日比-459円)
- TOPIX:1,589ポイント(前日比-30)
相場のポイント
- 10日の東京株式市場は大幅反落し、日経平均は前日比459円安の21,219円で引けた
- 米政府高官が米中貿易交渉で合意しなければ中国製品への関税を引き上げると発言し、米国株が大幅安となった流れを受けて、東京市場でも株式を売るリスク回避の流れが加速した
- 東証一部の銘柄騰落数は値上がりが149に対して値下がりが1,951と圧倒的に売りが優勢
- TOPIX東証株価指数が一時年初来安値となり、年初来安値銘柄数は442と急増した
- ファ-ストリテイとソフトバンクGで日経平均を87円引き下げたが、値下がり銘柄の多さから本日は値がさ株主導というよりより多くの銘柄の値下がりによる下落の色彩が濃い
主要な市場内指標
- NT倍率(日経平均÷TOPIX):13.35倍(前日13.38倍)
- 東証1部売買代金:22,704億円
- 東証1部年初来高値銘柄数4 /年初来安値銘柄数442
- 東証1部値上がり銘柄数149 /値下がり銘柄数1,951
- 東証1部騰落レシオ:86.87(前日96.70)
- TOPIX33業種
上昇上位:石油石炭、鉱業
下落上位:空運、サービス、食料品、電気機器、証券商品など
- 日経平均寄与度(日経平均の変動幅に影響した値幅)
上昇寄与度:第一三共(+1円)、昭シェル(+1円)など
下落寄与度:ファーストリテイ(‐53円)、ソフトバンクG(‐34円)、東エレク(‐17円)など
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