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2018年12月10日
【7日の米国株は大幅安、ダウ30種平均は558ドル安】(12月10日配信)
マーケットコメント 2018年12月10日
【7日の米国株は大幅安、ダウ30種平均は558ドル安】
12月7日(金)のニューヨーク金融市場
相場のポイント
- 7日の米国株式市場ではダウ30種平均は3日続落し、前日比558ドル安の24,388ドルで引けた。米中貿易戦争の長期化懸念から中国事業の比率が高いボーイングとキャタピラーが大幅安となり2銘柄でダウを90ドル引き下げた。目標株価が引き下げられたアップルは3.5%下落、さらにユナイテッドヘルス・グループ、IBMを含めてこの下落寄与度上位5銘柄でダウ平均を214ドル引き下げた。値がさ株主導による下落を示している。
- 朝方は小高く始まった。取引時間前に公表された11月の米雇用統計は米経済の堅調さを示す内容で、市場の一部でくすぶっていた景気後退入りへの懸念はいったん後退した。
- 下げのきっかけは米紙ウォール・ストリート・ジャーナルの報道。米連邦司法当局は米国企業にサイバー攻撃を仕掛けたとして中国政府系ハッカーを刑事訴追する見通しと報じた。中国通信機器大手の幹部逮捕に続き、米中摩擦の激化が意識された。米中貿易摩擦への懸念や英国の欧州連合(EU)離脱問題を巡る不透明感から、投資家がリスク回避姿勢を強めた。
- アップルなど時価総額の大きいハイテク株の下げが目立ち、ダウ30種平均は昨年末終値を再び下回った。アルファベット、アマゾン・ドット・コムなど主力IT関連も同3~4%下落しナスダック総合は同3.0%下落とダウの同2.2%下落を上回った。米フィラデルフィア半導体指数(SOX指数)は同3.7%と大きく下落した。投資家の不安心理を示す米VIX指数は23.2と再び節目の20を上回ってきた。
- 米債券市場では安全資産としての国債に買いが入り6日続伸、米10年債利回りは2.84%まで低下した。為替市場ではドル円相場が112.70円台と株式市場でリスク回避姿勢が強まった割には比較的安定している。
米長期金利
- 10年国債利回り:2.84%(前日2.89%)、6日続伸、米国株安を受けてリスク回避の債券買い(金利低下)が継続
ニューヨーク為替相場
- ドル円相場:1ドル=112.70-112.80円(前日112.67-112.68円)
米主要株価指数
- ニューヨークダウ30種平均:24,388ドル(前日比-558ドル)
- S&P500種株価指数:2,633ポイント(前日比-62)
- ナスダック総合株価指数:6,969ポイント(前日比-219)
- 米フィラデルフィア半導体指数(SOX指数):1,157ポイント(前日1,202ポイント)
- 米VIX指数(恐怖指数):23.23(前日21.19)
S&P500種株価指数の主な上昇・下落業種
- 上昇:公益のみ
- 下落:情報技術、一般消費財、資本財サービス、素材など
ニューヨークダウ30種平均への主な上昇寄与度・下落寄与度銘柄
(ダウ平均変動幅への影響)
- 上昇寄与:なし
- 下落寄与:ボーイング、ユナイテッドヘルス・グループ、アップル、キャラピラー、IBMなど
国際商品市況
- ニューヨークWTI原油先物1バレル=52.6ドル(前日比+1.1)、OPECと非加盟の主要産油国は7日の会合で減産の延長で合意し、需給改善を期待した買いが膨らんだ
- ニューヨーク金先物1トロイオンス=1,252ドル(前日比ドル+9)
データを参照したサイト
https://nikkei225jp.com/nasdaq/
金融市場に影響したと思われる材料
【米11月雇用統計は12月利上げを正当化する内容】
- 米労働省が発表した11月の雇用統計は、非農業部門の雇用者数が前月比15.5万人増と前月の同23.7万人(改定)増から鈍化し、市場予想の同20万人増を下回った。時間当たり平均賃金の伸びは前月比0.2%上昇と前月の0.1%(改定)上昇から拡大したものの、予想の0.3%上昇には届かなかった。
- 11月の失業率は3.7%と前月と同じだが、1969年以来およそ半世紀ぶりの低水準を維持している。労働市場はほぼ完全雇用状態で緩やかな賃金上昇が継続すると考えられる→12月米FOMCでの利上げは濃厚と思われる。来年に向けての利上げペースが最大の注目点。FOMCメンバーのFF金利見通し、パウエル米FRB議長の記者会見などに注目が集まろう
当面のマーケットのポイント
【英議会のEU離脱案採決、メジャーSQを控え荒っぽい展開が予想される】
- 今週の日本株市場は、前週末のニューヨーク株式市場急落の影響を受け週初は大幅安で始まるとみられる。シカゴの日経平均先物は21,300円台で引けており7日の日経平均の終値より300円強安い。しかし、売り一巡後は様子見姿勢が強まるとみられる。なお、米トランプ政権のなかで規律を重視し、政権安定の要の一人だったケリー米大統領首席補佐官が年末までに退任すると報道されておりややネガティブ材料視される。
- 日経平均は10月以降、21,000円~22,500円のレンジで推移している。2月の米VIXショック時は一時20,500円台まで落ち込んだが、それ以降は下限が21,000円台を維持している。一方、7日の日経平均予想EPSは1,784円と過去最高だった11月30日の1791円と比べてもほぼ高値圏にある。仮に日経平均を21,000円とすると、予想PERは11.7倍とアベノミクス期間の最低となる。株価にはオーバーシュートが付き物だが、21,000円台、さらに20,500~21,000円ゾーンは中長期的スタンスで「種を蒔く」水準と考えられる。
- 日銀は先週、ETF(インデックス型)を4日、6日、7日と703億円ずつ買い入れた。今週も前場に下落する局面ではETFの買い入れが予想される。
- 先週の米国株式市場はニューヨークダウが4日に前日比799ドル安、6日に同79ドル安、7日に同558ドル安と週末にかけて急落し、米債券相場が急上昇(金利は急低下)したが、欧米投資家がクリスマス休暇入りを前にリスクポジションを減らすために、早めに株式売り・債券買いを進めた可能性がある。
- 今週の注目イベントは11日の英議会におけるEU首脳会議で決定した離脱協定案の採決実施。可決される可能性は低いというのが市場コンセンサスだが、実際そうなった場合は一時的に円高・株安となる公算がある。ただし、否決された場合には英政府が21日以内に二回目の採決を行う予定となっている。英政府としては合意案の修正、離脱期限の延期などの新方針を提案する可能性がある。「合意なき離脱」という最悪のシナリオが回避されれば、その後は切り返しが予想される。
- 経済指標では12日に米11月のCPI、14日には11月の米小売売上高や米鉱工業生産・設備稼働率の発表を控える。物価の安定と年末商戦スタートの強さが確認される。中国では14日に11月の小売売上高、固定資産投資など主要経済指標の発表を控える。日本は14日に12月日銀短観の発表が予定される。14日は株価指数先物とオプションの特別清算日(メジャーSQ)を控え、週前半はポジション調整の動きが強まりやすい。3月、6月、9月、12月のメジャーSQはポジションが入れ替わり、相場の転換点となることが多い。12月SQは安値近辺で迎えるため、来年前半に向けての上昇相場の起点となるかが注目される。
12月7日の東京株式市場
主要株価指数
- 日経平均株価:21,678円 (前日比+177円)
- TOPIX:1,620ポイント(前日比+9)
相場のポイント
- 7日の東京株式市場は4日ぶりの反発、日経平均は前日比177円高い21,678円で引けた。6日の米株式市場でダウ30種平均が一時、前日比800ドル近い下落から最終的には79ドル安に急速に下げ渋り、東京市場でも安心感が広がった。前日までの3日続落で計1,000円超下落しており、値ごろ感からの買いが入った模様。
- 業種別では小売り、陸運、サービス、電力など内需関連が買われた。一方、原油先物価格の下落を受け石油石炭、鉱業、非鉄金属などエネルギーや商品市況関連が売られた。
- 日経平均寄与度ではファーストリテイが1銘柄で指数を62円押し上げ、ユニー・ファミマ、リクルートHD、セコム、花王の上位5銘柄で104円押し上げた
主要な市場内指標
- NT倍率(日経平均÷TOPIX):13.38倍(前日13.35倍)
- 東証1部売買代金:25,406億円
- 東証1部年初来高値銘柄数14 /年初来安値銘柄数 218
- 東証1部値上がり銘柄数1,016 /値下がり銘柄数1,028
- 東証1部騰落レシオ:96.70(前日96.10)
- TOPIX33業種
上昇上位:小売、陸運、サービス、その他製品、電気ガスなど
下落上位:石油石炭、鉱業、非鉄金属、繊維製品、鉄鋼など
- 日経平均寄与度(日経平均の変動幅に影響した値幅)
上昇寄与度:ファーストリテイ(+62円)、ユニー・ファミマ(+20円)、リクルートHD(+8円)など
下落寄与度:ソフトバンクG(‐21円)、大日住薬(‐8円)、武田(‐7円)、東エレク(-3円)など
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