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2018年12月5日
【4日のニューヨーク株式市場は急落、ダウは一時800ドル超の下落】(12月5日配信)
マーケットコメント 2018年12月5日
【4日のニューヨーク株式市場は急落、ダウは一時800ドル超の下落】
12月4日(火)のニューヨーク金融市場
相場のポイント
- 4日の米株式市場で主要3指数は軒並み3%以上の急反落、ニューヨークダウは前日比799ドル安い25,027ドルで引けた。ダウ平均は10月上旬につけた年初来高値からの下落率は約7%に達した。
- 先週のパウエル米FRB議長のハト派的発言が改めて意識され米長期金利が2.91%台まで低下した。先週はパウエル議長の発言後に株価が急上昇するなどリスク・オンの材料となったが、今週はむしろ米景気減速が意識されリスク資産売りの材料とされた。
- 米2年債利回りが米5年債利回りを上回る「長短逆転(逆イールド)」が起きたことを受け景気減速の懸念が広がり、金融、資本財、情報技術など景気敏感株が売られ投資家心理を冷やした。
- 米中協議に関して、対中強硬派のライトハイザー米通商代表部(USTR)代表が責任者を務めることになり、協議の先行きを不安視する見方が広がったことも嫌気された。中国売上高が大きい建機のキャタピラーや航空機のボーイングが大幅に下げ、この2銘柄でダウ平均を約183ドル引き下げた。
- S&P500種総合の11セクターでは金融と資本財が前日比4%以上の下落となり、情報技術も3.9%の下落、公益のみが上昇した。
- ドル円相場は1ドル=112.70円台に上昇。米長期金利低下による日米金利差の縮小やリスク回避の円買いの動きも見られた。
米長期金利
- 10年国債利回り:2.91%(前日2.97%)、大幅に低下し景気懸念が意識された
ニューヨーク為替相場
- ドル円相場:1ドル=112.75-112.76円(前日113.63-113.64円)
米主要株価指数
- ニューヨークダウ30種平均:25,027ドル(前日比-799ドル)
- S&P500種株価指数:2,700ポイント(前日比-90)
- ナスダック総合株価指数:7,158ポイント(前日比-283)
- 米フィラデルフィア半導体指数(SOX指数):1,209ポイント(前日1,272ポイント)
- 米VIX指数(恐怖指数):20.74(前日16.44)
S&P500種株価指数の主な上昇・下落業種
- 上昇:公益
- 下落:金融、資本財・サービス、一般消費財、情報技術など
ニューヨークダウ30種平均への主な上昇寄与度・下落寄与度銘柄
(ダウ平均変動幅への影響)
- 上昇寄与: なし
- 下落寄与:ボーイング、キャタピラー、アップル、ユナイテッドヘルス・グループなど
国際商品市況
- ニューヨークWTI原油先物1バレル=53.25ドル(前日比+0.3ドル)
- ニューヨーク金先物1トロイオンス=1,246ドル(前日比+7ドル)
データを参照したサイト
ダウ平均変動に影響した銘柄はこちら↓
https://nikkei225jp.com/nasdaq/
金融市場に影響したと思われる材料
【米長短金利差が逆転】
- 4日の米債券市場では2年国債利回りが2.80%台、5年国債利回りが2.79%台と逆転した。2年債と5年債利回り逆転が景気後退のサインと意識された→米株式市場で金融株や資本財・サービスなど景気敏感株売りの材料とされた
【NY連銀総裁、段階的な追加利上げを来年も継続することを示唆】
- 米ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は4日、米経済が「極めて好調に」推移する中、連邦準備理事会(FRB)が来年も追加利上げを継続していくとの見通しを示した。同総裁は「堅調な成長と労働情勢、インフレ率が目標近辺で推移するとの見通しと、多様なリスク要因を踏まえ、段階的な利上げの継続が持続的な景気拡大とFRBの二大責務達成を助長する上で最善」と予想した。→米FF金利先物市場では、来年のFRBの追加利上げにブレーキがかかるとの見方が浮上しているが、修正を迫られる可能性がある
【英、EU離脱の助言文書公表へ】
- 英政府は4日、欧州連合(EU)からの離脱について、メイ首相が受けた法律上の助言を全て公開する方針を固めた。これまで助言の概要は公表していたが、野党が11日の離脱案の採決に臨むためには全容公開が欠かせないと訴えていた。公開する文書にメイ首相にとって不都合な内容が含まれていれば、英・EUの離脱案の了承に逆風になる可能性もある。→市場ではリスク回避の材料とされた模様
当面のマーケットのポイント ~金融市場の次の注目点~
【英国のEU離脱協定案の採決】
- EUと英国政府は11月25日に英国のEU離脱案について正式合意し、交渉決裂による「無秩序離脱」はひとまず回避された。
- 英国では来週11日にEU離脱案を議会で採決にかける方針で、4日から5日間にわたる審議がスタートする。しかし、与野党双方から反発が強く、EU離脱案が過半数の賛成を得るメドはたっていない。
- 11日に否決された場合、修正案が出され21日以内に2回目の採決が行われる見込み。審議が紛糾すれば「無秩序離脱」に対する警戒感が高まる可能性がある。4日の世界の金融市場はこうしたリスクを織り込み始めた公算が高い。
【米12月FOMCを控えた雇用統計に注目】
- 12月18~19日の米FOMCでは2015年12月以降の金融引き締め局面で9回目となる利上げが予想される。今週は米FOMCを前にしたパウエル米FRB議長の講演(12月6日)や、週末の米11月雇用統計が注目される。パウエル議長の講演は先週の講演後に高まった来年の利上げ停止観測の真偽を再確認する場となる。
- 7日に11月の米雇用統計が発表される。失業率の市場予想は50年ぶりに低かった10月と同じ3.70%と見込まれる。また平均時給の伸び率は前月比0.3%増と10月の同0.2%増から加速し、前年同月比では3.2%増と2009年4月以来の高い伸び率が予想されている。市場が先行きの賃金インフレを警戒した場合、先週浮上した米FRBの利上げ停止観測が後退する可能性があり、注意が必要だ。ただし、ドル高をサポートする材料となる
12月4日の東京株式市場
主要株価指数
- 日経平均株価:22,036円 (前日比-538円)
- TOPIX:1,649ポイント(前日比-39)
相場のポイント
- 4日の東京株式市場は8日ぶりに反落し、日経平均は前日比538円の大幅下落、終値は22,036円で引けた。前日までの7日連続高で1,000円以上上昇しており、利益確定売りが膨らんだ。米長期金利の低下を材料に円高・ドル安が進み株価指数先物に売りが膨らんだ。
- 午後にはニューヨークダウ先物が3日の清算値と比べて200ドル以上下落していると伝わると、下げ足を速めた。本日から英国でEU離脱案の審議が開始するが、来週の採決に向けてヘッジファンドが早めのポジション調整を行ってきた模様
- ファーストリテイ、ファナック、ソフトバンクGなど値がさ株が下落し、日経平均下落寄与度の大きい5銘柄で日経平均を147円引き下げた。
主要な市場内指標
- NT倍率(日経平均÷TOPIX):13.36倍(前日13.37倍)
- 東証1部売買代金:27,343億円
- 東証1部年初来高値銘柄数24 /年初来安値銘柄数22
- 東証1部値上がり銘柄数125 /値下がり銘柄数1,960
- 東証1部騰落レシオ118.26(前日123.4)
- TOPIX33業種
上昇上位:なし
下落上位:海運、石油石炭、建設、ガラス土石、その他製品など
- 日経平均寄与度(日経平均の変動幅に影響した値幅)
上昇寄与度:洋缶HD(+0円)、コニカミノルタ(+0円)、千代建(+0円)など
下落寄与度:ファーストリテイ(‐59円)、ファナック(‐37円)、リクルートHD(‐18円)など
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