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マーケットコメント 2018年12月3日
【30日のニューヨークダウは前日比200ドル高】
11月30日(金)のニューヨーク金融市場
相場のポイント
- 30日の米株式市場で主要3指数は揃って反発し、ニューヨークダウは前日比199ドル高い25,538ドルで引けた
- 朝方は週末の米中首脳会談を翌日に控え神経質な展開が続いたが、徐々に貿易交渉の成果に備える買いが優勢となった。ダウは一時上げ幅を210ドルまで拡大させた。ダウの上昇寄与度ではボーイングやキャタピラーなど中国関連銘柄が買われた
- 長期金利の低下を受けてセクター別では公益、ヘルスケア、不動産など配当利回り銘柄が多いセクターが値上がりした
- 株価が上昇する一方で米国債も買われ、米10年国債利回りは2.99%と3%を割り込んだ
米長期金利
- 10年国債利回り:2.99%(前日3.03%)、米中首脳会談を控え安全資産とされる米国債に買い(金利は低下)
ニューヨーク為替相場
- ドル円相場:1ドル=113.55-113.56円(前日113.41-113.42円)
米主要株価指数
- ニューヨークダウ30種平均:25,538ドル(前日比+199ドル)
- S&P500種株価指数:2,760ポイント(前日比+22)
- ナスダック総合株価指数:7,330ポイント(前日比+57)
- 米フィラデルフィア半導体指数(SOX指数):1,239ポイント(前日1,221ポイント)
- 米VIX指数(恐怖指数):18.07(前日18.8)
S&P500種株価指数の主な上昇・下落業種
- 上昇:公益、ヘルスケア、情報技術など
- 下落:エネルギー
ニューヨークダウ30種平均への主な上昇寄与度・下落寄与度銘柄
(ダウ平均変動幅への影響)
- 上昇寄与:キャタピラー、ホームデポ、ボーイング、スリーエムなど
- 下落寄与:ゴールドマン・サックス、ディズニー、アップルなど
国際商品市況
- ニューヨークWTI原油先物1バレル=50.93ドル(前日比-0.52ドル)
- ニューヨーク金先物1トロイオンス=1,226ドル(前日比ドル-4)
データを参照したサイト
ニューヨークダウ平均株価の変動に影響した銘柄はこちら↓
https://nikkei225jp.com/nasdaq/
当面のマーケットのポイント
日経平均は買戻しから下値を固める展開へ
- 先週の東京株式市場は連日の上昇で持ち直した。日経平均は22,000円の大台を超え前週末から6連騰、29日には一時22,400円台まで水準を切り上げた。週明けの東京市場は米中首脳会談で追加関税の猶予が決まったことを受けて買戻しが強まると予想される。警戒していた為替市場もドル高・円安が進むとみられる。日経平均は週前半に11月に付けた高値22,583円上回る可能性がある。また勢いが付けば10月以降の下げ幅の半値戻し22,710円を超える可能性もある。買戻し一巡後は下値を固める展開が予想される。
米中首脳会談
- 米中両国は12月1日に開いた首脳会談で、米国が中国への追加関税を猶予すると決めた。米側は90日以内と期限を区切り、合意できなければ2000億ドル分の中国製品の関税率を10%から25%に引き上げるとこととなった。交渉決裂による貿易戦争の激化という最悪のシナリオは回避された。引き続き交渉が続くため貿易交渉の出口は見えないものの、関税に対する影響はかなり限定的になるとの思惑が広がる可能性が強い。世界のリスク資産市場は好感するのではないか。
- 貿易問題の長期化で米国の農業分野では影響が出始めている。米国農作物の在庫が急増し始めたという報道がある。また2018年の主な農業州における2018年の債務整理申請数(定期的収入のある農家や漁師など)が金融危機後の最大になっている。中間選挙において民主党が幾分盛り返してきていることを考えると、貿易問題を長期化しづらくなる可能性もある。貿易問題の悪影響は経済問題から政治的リスクになりつつあるといえる。
経済指標やFRB議長の議会証言
- 今週は米国で重要な経済指標の発表が多いほか、パウエル米FRB議長の議会証言が注目される。米景気の情勢や利上げの早期停止観測の真偽を再確認する局面となる。ちなみに7日に発表される11月の米雇用統計は平均時給が前月比0.3%上昇と10月の同0.2%を上回り、前年比では3.2%上昇と高い伸びになると市場では予想されている。週後半は、先週浮上した利上げ停止観測が後退する可能性に注意が必要だ。
相場スケジュール(12月第1、2週、予定であり変更の可能性があります)
3日:11月米ISM製造業景況指数、米財務省・NY連銀等主催年次会合
4日:豪州経常収支、豪州金融政策決定、EU財務相理事会(イタリア制裁手続き決定?)
5日:豪州7-9月期GDP、パウエル米FRB議長が米上下両院委で証言、ベージュブック(地区連銀経済報告)、11月米ISM非製造業景況指数、
6日:パウエル米FRB議長講演、OPEC総会
7日:11月米雇用統計、中国外貨準備、米暫定予算期限
10日:対日貿易交渉「TAG」に関してUSTR公聴会(ワシントン)
11日:英EU離脱協定案の英議会で採決開始→否決の場合、21日以内に2回目の採決(可能性)、ブラジル金融政策決定会合(~12日)
13日:ECB理事会「量的緩和」年内終了正式決定(見込み)
14日:11月米小売売上高
11月30日の東京株式市場
主要株価指数
- 日経平均株価:22,351円 (前日比+88円)
- TOPIX:1,667ポイント(前日比+7)
相場のポイント
- 30日の東京株式市場は6日続伸、日経平均は前日比88円高の22,351円で引けた。東証1部の銘柄騰落数は値上がりが1,311、値下がりが737と買いが優勢だった
- 週末の米中首脳会談を前に何らかの進展があるのではないか、との期待から買い戻しが優勢となった
- 日経平均の上昇に寄与したのはテルモ、KDDI、セコム、大日住薬、大塚HDなど内需、ディフェンシブ系が多い。下落に寄与したのは京セラ、エプソン、ダイキン、ファナックなど外需系が多い
主要な市場内指標
- NT倍率(日経平均÷TOPIX):13.40倍(前日13.42倍)
- 東証1部売買代金:36,637億円
- 東証1部年初来高値銘柄数32 /年初来安値銘柄数10
- 東証1部値上がり銘柄数1,311/値下がり銘柄数737
- 東証1部騰落レシオ113.78(前日102.69)
- TOPIX33業種
上昇上位:石油石炭、鉱業、医薬品、精密機器など
下落上位:証券/商品、電気ガス、不動産、空運など
- 日経平均寄与度(日経平均の変動幅に影響した値幅)
上昇寄与度:テルモ(+10円)、KDDI(+10円)、セコム(+9円)など
下落寄与度:京セラ(‐12円)、エプソン(‐8円)、ダイキン(‐7円)など
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